3話話 ノーと言える大人になりました。
やっとタイトルが決まった。タイトル以外は浮かぶんだけど、難しいですよね。
食事も終わり子供達はお昼寝をしている。ナノ君も混ざって寝ている。でも俺の中でナノ君は喋っている。不思議だ。
「さて、私はそろそろ教会に戻りますね。」
「そういえばリリアは、教会でないと仕事は出来ないのか?ご飯じゃなくても手が空いたら顔を出してきてくれると助かる。会えれば嬉しいからさ。」
リリアは顔を赤くして、ポカポカユーイチを叩き始める。可愛いな。
「また顔を見せにくるわ。」
「ああ。待ってる。」
リリアは目の前から消える。そして騒ぐグレッグ。
「アニキ!甘過ぎます!!さっき食べたプリンより甘いですアニキ!」
ミリィちゃんとメルちゃんはこちらを見ながらコソコソ話しをしている。仲良くなってるのはいいが、何を話してるか聞かないぞ。話しをぶった切る!
「では細工の販売班。売り上げはどうだったか報告を聞こうか。」
するとバルが袋を取り出して渡してくる。
「こちらが売り上げになります。予想より高く売れまして、売上から宿代を支払い、残りが銀貨89枚と銅貨36枚となってます。今後も定期的に購入したいと店の者も言ってました。」
「メリッサ。販売としては定期的に続けて平気かな?」
「はい。大丈夫かと。問題が2点ほどありまして、ユーイチさんの聖人認定。その関連である私達ですので、次回からは値段が跳ね上がると予想されます。その為、金額が予想出来ません。私達の姿も見られているので、関係者だと町の人達にバレています。
そして二つ目ですが、荷馬車を轢く馬を買うには費用が少し足りません。ユーイチさんからお預かりしたのを使えば買えますが、それをすると手元に残る金額に不安が残ります。」
そうか。まぁ2、3回往復すれば馬は買えるんだね。まぁ旅も楽しいし、このまま頑張るかな。
「では、今後も定期的に村から町に売りにくるとしよう。馬が買えるまでは今のスタイルで販売していく。そして子供達が増えたので、次回は村に残るグループと町に来るグループに別れる事とする。足代わりの俺は確定で、あとはその時その時で交代しながらだな。」
袋から銀貨を8枚取り出す。
「ありがとう。そしてこれがお前達の小遣いだ。1人2枚で悪いが、食費やら宿泊費を抜いたと思って勘弁してくれ。
残りの全員で子供達の衣服とマモリちゃん。ナノ君の村人らしい格好の服も必要だから、買いに行ってきてくれ。クリミアさんの土産も頼めるか?お世話になってるからな。
もちろんメリッサたちの服や必要な物があったら必要経費として買ってくれ。そして男達は一応護衛役ね。
何かあったらナノ君が助けてくれるから。俺とマモリちゃんの顔が隠せそうなマントもお願い。」
マモリちゃんがリリアに似てるのもヤバい。
「あと、帰りに商業ギルドにメリッサは顔を出してくれ。『聖人認定されたユーイチの関係者で、私達はすぐ村に帰ります。』と言えば動くはずた。」
貰える物は貰って帰りますとも。謝罪で馬が買えそうな気がします。さて、いい加減止めるか。
「マモリちゃん?そろそろ食べるのやめようか。見ていてちょっと気持ち悪くなってきたよ。」
1人まだ食べているマモリちゃん。そりゃナノマシンだから太らないし、消化というか消滅させてるの知ってるけど、食べ過ぎです。
「はい。わかりました。これでお昼ご飯は終わりですね。夕飯が楽しみです。」
顔を青ざめさせる一同。俺はヤバい人をこの世に誕生させたかもしれない。世界を別の意味で喰らい尽くせるぞ?
「マモリちゃん。君の服を買って来て貰うから、サイズを計らせてあげて。靴とかも必要だからね。」
「ユーイチさん。サイズなどは任せてください。すでに子供達のサイズも測定済みですので、メリッサさんと誰か付いて行ってくれれば、私が話しをして選びますので。」
あぁ。細工の販売をした時みたいに遠隔で話しをするのか。
「それでお願い。似合うのがあるといいね。あと、お金は使い過ぎないようにね。」
さて、買い物を頼んで、グレッグ達が買い物に出て行った。人が減ったらアイツらは来るのかな?そんな事を考えていると、10分ほどして『来ました。』とマモリちゃんが告げる。
部屋がノックされたので、ユーイチが扉を開けると、笑顔で顔が固まったような奴らが居た。全部で3人。法衣を着ていたり、謎の制服を着ていたり高そうな服を着ている奴等ばかりだ。
「猊下。お会いしとうございました。わた」
無視して歩き始めるユーイチ。後をついてくる知らない奴ら。受付に着くと亭主を呼ぶ。
「ユーイチと言います。メモや伝言が有れば聞きたいのですが。」
束になったメモを貰う。どれもこれも猊下に挨拶を。と書いてある。
「亭主。何故部屋に人が尋ねて来るんですか?休ませて欲しいと伝えていた筈ですが。」
周りが騒いでいるが興味がない。汗をかいている宿屋の亭主の返答を待つ。ダメだコイツ。
はぁ。もう帰ろう。宿屋の外にはまだ人が沢山いる。俺を見て拝んでやがる。イラッとする。
「お前ら全員立て!!」
大声で座ってる人達を怒鳴りつける。皆がビクッとして立ち上がる。
「俺はただの人間だ!他の聖人認定された人が偉いかも知れないが、俺は我儘に、自分の為に、家族の為に生きてるただの人間だ!
拝むのは神様だけにしろ!俺を拝んで幸せになろう。幸せになるなんて考えるな!
教会から捨てられた子供達が飢えてるのを見て見ぬ振りしてる奴らが、幸せになれると思うな!
聖人認定された俺を利用しようとする奴らには興味はない!俺に関わるな!!」
何故か無性に腹が立って怒鳴ってしまった。次回の木工細工の売り上げアップの聖人認定の評価が下がってしまった。どうしよう?まぁ棚ぼたレベルなんだし気にしないでおこう。
愕然としてる奴らを放って俺は部屋に帰る。部屋に帰るとマモリちゃんが笑っていた。
「ユーイチさん。感情の変動が激しいですが、進化の影響ですか?」
あ、可能性はあるな。困ったぞ。メリットもあったがデメリットも大きいな。それより、マモリちゃんが笑うのは初めてだな。
「マモリちゃん。笑った気分はどう?」
今気がついたのか、さらに笑ってる。
「変な気分です。これもユーイチさんに引っ張られているんでしょうか?」
「悪い事じゃないんだから、いいんじゃない?それより宿屋の亭主が気に入らないから帰ろう。って言ったら不味いかな?」
「ユーイチさん次第ですよ。私は付いていきます。」
《僕も。着いて。行くよ?》
「ありがとね。2人とも。それじゃみんなが戻ってきたら帰ろうか。テントの寝袋も新しくて高いやつを取り寄せられるようになったし。」
買い物に行ったメンバーが戻るまで、ユーイチはマモリちゃんとお茶を飲む事にした。
1時間ほど経ってから、買い物組が帰ってきた。商業ギルドの役員を連れて。
「お帰り。みんな急で悪いけど、宿を引き払う事にした。今から村に帰ります。」
事情を説明して、帰り支度をして貰う。その間に商業ギルドの役員と話しをする事になった。もちろん部屋には入れず、一階の食堂で。そしてギルド職員の前で亭主に伝える。
「亭主。私の名前を使った商売をしないでくださいね。金を払って泊まっているのに、断りもなく人を通すような宿屋には関わりたくないので。この話し合いが終わったら宿から出ますので。」
あたふたしてる亭主なんて知らん。
「お待たせしてすみません。私がユーイチと言います。お名前を伺っても宜しいですか?」
目の前に居る職員は30代のやり手感のある男だ。
「初めまして。私は商業ギルド、副ギルド長を務めさせて頂いています。ガシロアと申します。この束は聖人認定おめでとうございます。」
「残念ながら、聖人認定には興味がありませんので、おめでたくないのですよ。利用しようとする人が多くて困っています。なので私はギルドに入らず過ごしているのです。
さて、腹の探り合いは嫌いなので、こちらから提示します。私は貴方と交渉するつもりはありません。貴方が今から話す事を聞いて、私が『受け入れる。』『受け入れない」のどちらかです。再交渉はありません。説得も泣き寝入りもありません。敵対するなら潰します。どうぞ言いたい事を言ってください。」
「中々直接的な方ですね。では私からの提案を伝えます。こちらは詐欺行為に対する謝罪と発見に感謝して金貨20枚を用意させて頂きました。ギルド役員のポジションも用意させていただき、月2枚の金貨をお支払いします。」
「お断りします。お帰りください。いえ、私が宿から出ますので、お好きにしてください。ではさようなら。」
ユーイチは立ち上がり、歩き始める。何か言ってるけど、もう聞いてない。
「話しが終わったから帰るぞー。準備はいいか?」
メリッサが慌てて声をかけてくる。
「ユーイチさん!なんで副ギルド長を無視してるの!?」
「あぁ。いいのいいの。俺を利用する気満々な人の話しは聞かない事にしてるから。初めから入らないって言ってるのに、ギルドに入れようとするなんてオカシイだろ?ただでさえ嫁さんの事があったりするんだから、権力闘争に巻き込まれる気はありません!
俺はギルドに入ってないんだから、入場料も払っているし、問題なし!」
「アニキ!半端ないッス!」
慌てたガシロアが、メリッサ達に訴える。
「貴方達も商業ギルドの一員なら止めなさい!」
「その前に奴隷なんで無理です。」
ハッキリ言ったな。メリッサ。みんなが子供達を抱き抱えて宿から出ると荷馬車へと歩きだす。そして馬のない荷馬車に乗り込む。
「うまがないのに、なんでのるんだ?」
疑問に思うだろ?メルちゃん。馬はここなんだよ。1人だと暇なんだよね。と思いつつ、荷馬車を引いて走り始める。
「なんで引っ張ってるの!?」
「馬がいないからだよ!」
貧乏がいけないんです。代わりに美味い物なら食べれます。
副ギルド長を置いて走り去り、門へと近づく。入場した時に居た門番だった。
「せ、聖人様、奴隷だったんですか?」
「奴隷じゃねぇよ!馬がない。力があるから引っ張ってるだけ。そのうち馬を買うさ。」
「無理しないでくださいね。お気をつけて。」
この町の門番と屋台の亭主は良い人間だったな。そんな事を考えつつ走るのであった。
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