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始まりの始まり

この番外編は

はじまりの合図の前のお話です

この短編だけでも読めるかと思います。が!

是非!連載中のお話も読んで頂けたらと思います


このお話は佐々木視点で書いております


ではでは!


AYA

窓から見ている君はどんな声でどんな風に話すのか…

君の声が聞いてみたい




「はい!次は30本ダッシュ!」


マネージャーのよく通る声と共に、グラウンドで野球部員全員が一斉に声を出して、ダッシュを始めた


横一列に並んだ中に自分も入り、ダッシュする

まぁ。所謂、体力作り的なものだけどなかなかキツイ


ダッシュ1本目が終わり、2本目のダッシュまでまだかかりそうだと思い、額から流れる汗を、拭いながらふといつもの様にある場所へと視線を向ける


グラウンド側からすると右側に建っている

教室のある一角

そこは、いつも窓が一つだけ開いていて

フェンス越しだから顔まではっきり見えないが誰かいつも野球部の練習を見ていた


そして、あからさまに見ない様に今も汗を拭いながらキャップ帽の隙間からチラっと教室を見ると…


やっぱり居た!


しかも、見た感じでは男の様に見える


最初の頃は野球部にでも入りたいのかと思っていたけど、同じ部員の奴に話したら


「あの棟の教室って事は進学クラスだろ?

まずねぇな」


と言われ

じゃあマネージャー狙いか?と思ったが見ているのはグラウンドの部員達の方でマネージャー狙いって訳でも無かった


じゃあ、何だ??


と気になりだして、いつの間にかグラウンドでの部活の日は自然と目が行くようになった


進学クラスか…

勉強勉強でちょっと息抜き程度に見てるだけかな

俺は普通科だから全く関わりが無いから良く分からんけど



で。

今日もいつもの定位置でグラウンドの方を見ているのを確認して何故だか嬉しくなる

例えそれが誰であっても誰かが見ているだけでやる気が起きたりするもんだ


「2本目ダッシュ!」


マネージャーの声に俺は一際大きな声で返事する


「おぉー!佐々木気合い入ってんなぁ~!」


と監督に言われ「うっす!」と返し、走り出した


しばらくして、水分補給の為にベンチの方に向かいながら窓の方を見ると、丁度窓を閉めている所だった


あ…もう帰るのか


っと何だか少し残念な気持ちになり


ん?残念?

何でだ?


自分でも理解出来ない気分になった



「お疲れ様~!どうした?何か難しい顔してるよ?」


ベンチに入るとマネージャーで同級の町田香織が声を掛けてきた


マネージャーは2年で町田1人、後は1年のマネージャーが2人


町田は髪を後ろに束ねてジャージ姿でテキパキと指示する姿は部員からもかなり信頼されている

他の部員からは「可愛い」と言われる容姿もしてる


俺は同級で、同じクラスって言うのもあるし何より町田自身がハッキリした性格だからマネージャー兼クラスメイトって関係でしか無い

基本的に俺は誰とでも喋るが町田とは部員とマネって言う関係性がある為、クラスの女子の中でもよく喋る方だと思う


町田に難しい顔と指摘され、マネージャーの彼女なら何か知っているかと思い水分補給のドリンクを飲みながらそれとなく聞いてみた



「いや…グラウンドの右側の棟の教室から野球部の練習よく見てるのって進学クラスの生徒だよな?」



すると、町田は作業の手を休めず思い出すかの様にブツブツと「進学クラス…ん~」

と言ったかと思うと、突然俺の方を見て



「あぁ!思い出した!特進科の西野奈央だよ!」


びっくりしたのは町田が窓から見ている生徒の名前をフルネームで言った事では無く

その西野奈央と言う生徒だと断定したからだ


「え…西野奈央だよって断定してるけど…町田知り合いなのか?」


「んな訳無いじゃ~ん!私、特進科に同じ中学の友達居るからその子に聞いただけ、大抵いっつも野球部見てるから気になってさ~そうそう!西野君だわ!」


西野奈央…かぁ

どんな顔してんだろうな…


俺はどんどんその顔も声も分からない生徒に興味が湧いてきた


「なぁ…その西野ってどんな奴?やっぱ特進科だから勉強出来るんだろ?」


「え~??私も詳しくは分からないけど、確かに勉強出来るって聞いた事あるなぁ…身長も小さいって、確か私とあんまり変わらないんしゃないかな?」


町田は俺より20センチ違うから男にしてはかなり低い方だな…


町田は俺が色々聞いてくる事にニヤニヤしながら


「何なに??女の子が見てるって思ってたのにちょっと残念?」


なんて見当違いな事を言って来たが、西野自身に興味があると思われて無くてホッとした


「そんなんじゃねぇよ」っと笑って誤魔化した


「またまたぁ~可愛い女の子が見てるって勘違いしてたんじゃない?」


そう言いながら、肘で町田は俺をつついてからかってさも嬉しそうだ


「あのなぁー!」


と町田と駄弁っているとグラウンドから監督が「こらぁ!そこ部活中にイチャつくな!佐々木も早くグラウンド戻れ!」っと吠えてきた


やべ!


「んじゃ!サンキューな町田!」


「はいはい!部活頑張ってこーい!」



キャップを被り直しグラウンドへと戻る為

俺は走り出した



それから

特進科にいると言う西野の事がどうしても気になって、たまに選択授業での移動の時にわざわざ特進科の教室の前を通る事が日課になった


ほんの数秒だが教室の中をチラっと覗くと

毎回あの窓際の席には別の生徒が座っていて、窓際に座って野球部を見ていたのにはやっぱり何か目的があるのか…と更に俺は気になってしまう


しかも、今教室には西野らしき生徒は居ないようで、少し残念な気分になった


そんな事を思いながら前を向いた瞬間

ドン!

と誰かとぶつかってしまった

ぶつかった相手は尻もちをついて持っていた教科書やらノートやからが散乱していた


やべ!

俺が余所見していたからだ!


慌ててその生徒に駆け寄り、散乱した教科書とノートを拾いながら声をかける


「ゴメンな!大丈夫?俺が余所見してたから」


尻もちをついた生徒は俺の顔を見ずにコクコクと頷いた、どうやら尻もちをついた事が当人は恥ずかしい様だった


「何やってんだよ!佐々木~お前体デカいんだからちゃんと前見ろよ~」


移動教室まで一緒に着いてきたクラスメイトの沖田に茶化される「分かってつうの!」と俺もまさか相手が居るとは思って無かったんだよ


すると、それまで俯いていた相手が「え……」

っと俺の顔を見上げびっくりした顔でこっちを見ている

その生徒は男の割に肌が白く顔も身体も全体的に小さいく小柄だった


俺が話掛けようと口を開きかけた瞬間、特進科の教室から何の騒ぎだと見に来た野次馬の中から、女子生徒の声が聞こえた


「あれ?西野君?どうしたの!?」


え……西野?


窓際の席からいつも野球部見ている西野奈央本人?


俺が驚いている内に西野と呼ばれた生徒は慌てて散乱した物を拾い集め、次いでに俺が拾っていた教科書も俺の手から抜き取り、小さい声だったが、「あり…がとう」と言いながら教室の中に入って行った



「ぅおーい!佐々木?何フリーズしてんだよ!!」


と俺の頭に沖田がチョップを食らわして来た


「えっ…!あ、あぁ。何でも無い」


「んじゃ!早く移動教室行こうぜ!」



西野の顔を思い出し急にドキッと胸がなった


それは突然現れた野球部を窓際から見ている生徒に会えたからなのか…

それとも…これは?

俺はこのモヤモヤとした気持ちが分からなくて西野と話すきっかけが無いか考える


それにしても…

男にしては目も大きく、鼻は小さくて…一番印象的だったのが声だ


変声期を迎えているはずの男の声にしては低過ぎず高過ぎず心地良い声


耳にいつまでも残る声


やっと聞けた窓から見ている君の声、君の顔


顔を見て、声を聞いたらもっと西野奈央の事が知りたくて堪らなくなった


もっと深く知り合えばこの胸が高鳴る理由も分かるかも知れない



今日の部活で窓際から練習を見ていたら

その時思い切って声をかけてみよう!


そう思うと俺の足取りは軽やかなものとなった





これがはじまりの合図の前のお話

佐々木編終わり

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