②外伝,BDA公式戦2(57.5話)7月9日(土)
皆さんあけましておめでとうございます()今年も自作をよろしくお願いします。色々ありますが一応生きてるので作品自体を消さない限り更新は続けます。
イベント開始直後、どこかのスクアッドが無差別爆撃をしかけたことで一気に1、2割程のスクアッドの名前が参加者表から消えました。メンバーが1人でも生きていればダウン状態の味方を低体力状態で蘇生できますが全滅すればその時点で即脱落です。開始直後ということでフィールド限定アイテムであるアーマーを取れてなかったんでしょうね。
一応通常の装備でも被ダメージは減らせますがアーマーは耐久度分のダメージを肩代わりしてくれるアイテムなのであるのとないのとでは大違いです。
これは入手できるのも使用できるのも試合中のみなので他の特殊装備と同じよう(事前に入手したものを物を持ち込むことができません。
なので普段のランクマッチですら発見されればそれを狙っての撃ち合いや撃ち合いの漁夫の利狙いで第三勢力の介入を引き寄せるくらいには需要があります。
何より一試合中に出現する数がランダムなのが一番の原因です。使うには拾うしかないのに最初に落ちてる場所も落ちてる数もランダムで補給物資に入っている確率もランダムですからね。
まぁうちは1人その例外がいる訳ですが。その例外であるグレイさんは装備しているマントの効果で通常装備枠のダメージ軽減に加えてさらに被ダメージを抑えることができます。しかもアーマーと違って持ち込み可能な装備なので他にも同じ装備をしている人がいる可能性もゼロではありません。
「どうする?適当に毒でも撒いとく?」
唐突にオロチさんがそう言いました。毒はオロチさんの選んだ種族である獣人族の蛇種で選択できる固有技能のうちの一つで一度に出せる量と出したあとのクールタイムはありますが理論上無限に出せます。
しかも毒には何種類かあるので罠師プレイが好きな人やPvPよりPvE派の人が時々使っていたりします。
普段の試合でも1試合辺りだいたい5、6回は使えるのでクールタイムはそこまで長くありません。
しかも固有技能で作れる毒の量は毒弾作成で6発分程度ですが銃弾作成に使った場合でもクールタイムに入ってからある程度節約していれば弾丸を使い切る前にクールタイムが復活します。
なので罠作成に容量を割かなければ意外と感覚を開けずに毒を使うことができます。
「とりあえず、こっちから攻めるかこのまま相手が来るのを待つか決める?」
歩きながら話しているとそうコタツさんが提案して来ました。
「自陣に籠って相手を待つならフィールドの中央付近に拠点作った方がいいな」
「うん、中心に近ければ1時間ごとにあるフィールド縮小の時に急いで動かなくて済むし」
普通の試合の時もあるフィールド縮小は光の壁が出現しそれが徐々に範囲を狭めて来ます。
そして壁は通り抜けることができますが外側はダメージエリアなので縮小後のエリア範囲内にいないプレイヤーは縮小が始まると急いで範囲内に向かう必要が出てきます。
「それじゃ拠点は私が作れるからそれでいい?」
最初から中央に拠点を構えることが出来れば罠を貼って閉じこもりつつ縮小の時に外から走ってくるプレイヤーを狙い撃つことも出来ますからね。
全員コタツさんの意見に賛成したのでこのまま中央エリアを目指します。そして今のところはどのスクアッドからも襲撃されてないので無傷で進めています。
「ん?ちょっとストップ!今一瞬アビリティが発動した気が━━━ッ!?」
歩いているといきなり†シュヴァルツ†さんが叫びました。
「俺から見て1時の方向、斜め上から攻撃、弾道1本、弾種は実弾ッ!!」
どうやらアビリティである『超直感』に反応があったようです。このアビリティは使えば使うほどに精度が上がり、†シュヴァルツ†さんと同じ最大レベルに達している人は攻撃の方向、相手の距離と方角、攻撃の種類とその軌道が分かるようになります。
そこから攻撃を避けたり迎撃したりできるかどうかは個人の技量次第ですが使いやすくて強力なので初心者から玄人まで幅広く使用者がいるアビリティです。
一応プロの人にもこのアビリティを愛用してる人がいるので全アビリティ中でも人気の高さは常に上位です。なので使用者の人数が多い上に技能の幅が広いことでトップクラスに対策と開拓が進んでいるアビリティですね。
†シュヴァルツ†さんの声とほぼ同時に全員がそれまでいた場所から飛び退いた直後、断続的に響く銃声が聞こえ、地面や木の幹に弾痕が刻まれました。
そして銃弾が飛んできた方向を警戒しながら進もうとすると
「ヒャッハァッ!ぶっ飛べぇッ!!」
そう言って妖精族の女性プレイヤーが魔法弾式ガトリング砲から無数の弾丸を上空からばら蒔いて来ました。恐らくさっき銃弾を撃ってきたスクアッドのメンバーでしょう。
妖精族は当たり判定が小さいので動きながらだと当てにくい上、スタミナ管理を怠らなければ1度高所に移動してから滑空するように逃げることもできます。
そしてガトリング砲や多連装ミサイルのような広範囲に攻撃ができる武器は超直感対策としてメジャーなのでイベントにはそれらを持ち込む人も一定数います。
「右手に『遅延毒』、左手に『麻痺毒』」
「『毒液合成』『毒霧』」
セオリー通り上空に逃げようとしましたがその前にミズチさんがコートの内ポケットから2本の試験管のようなものに入った毒液を取りだすとそれを合成し、空中に毒霧として散布しました。
「『風車』」
そして†シュヴァルツ†さんが剣を1本だけ持ってそれをぐるぐると円を描くように両手で回し始めました。
本来は剣士プレイを始めた人達が何とか銃撃に対抗できないか編み出した技術ですが早く回せば回すほど隙間が無くなり銃弾を弾きやすくなると共に回っている剣から風が生まれるという副次効果があります。
今回はそれを利用して空中の毒霧を銃撃してきた相手に向けて吹き飛ばしました。
「ちょっ!?やめっ・・・ヤメロォー!あばばばば・・・・・・」
毒霧に飲まれた相手は麻痺毒の効果で痺れて落ちていきました。落ちた場所は今向かってる方向とは逆ですし遅延毒によって動きも鈍くなっているので放置で良さそうですね。
あれからは特に妨害や襲撃も無く中心エリアから2回りほど外のエリアに着きました。目的地までもう少しです。途中で1度エリア縮小が入りましたが私たちは既に内側に向かっていたので関係ありません。
まぁもしかしたらこれから生き残りの人と会うことが増えるかもしれませんがね。
でも今1段階縮小したということはもうイベント開始して1時間経ったという事なので残りは2時間です。この後のエリアは開幕から2時間経過でさらに1段階縮小し残り時間が30分になった時点で通常マッチの時と同じように段々と継続して縮小して行きます。
数組のスクアッドと遭遇しましたがオロチさんが予備の毒で動きを止めるとすぐに†シュヴァルツ†さんが飛び込んでいきました。
「あちょっ・・・・・・『自動木人・派生・盾使い』先に行ってるから!」
そしてそれを見たグレイさんが急いで6つつの種を撒き、アビリティを使用して木の幹で作られた人型の上から木や蔓、枝葉で作られた鎧と盾を装備した2体の派生木人を作り出し、†シュヴァルツ†さん援護に向かわせました。
通常の素の木人は1つの種で作れますが今回のように役割ごとに特化した物として作る場合は2つから3つの種を消費します。
複数組の敵スクアッドを†シュヴァルツ†さんに任せましたが私が最後に見た時点で剣の刀身を盾代わりにして銃弾を弾きながら無理やり相手に近づいて斬りつけたり、逃げる相手に対して片手の剣を地面に突き立ててから腰のハンドガンを抜いてそのまま相手の頭を撃ち抜いたりしていたので心配する必要は無さそうですね。
「さて、あのVR戦闘狂はそのまま置いといてもいいから私たちは拠点作ろうか。終わったら勝手にこっち来るでしょ」
†シュヴァルツ†さんと別れて少し歩いているとグレイさんがそう言いました。何となく呆れてるような感じの声音です。
その後森の中で開けた場所に出ました。グレイさんがいくつかの種を取り出すとそれを地面に撒き、
「拠点はここでいいかな。『要塞大樹』そして『聖樹の守護者』!!」
と唱え終えると地面から大樹が生え、その根が隆起すると大樹の周囲を円形に囲い、さらに囲んだ根から新芽が生えて瞬く間に成長し、城壁のようになりました。その後に大樹の根元と幹の上の方にはドアが現れ、幹にあるドアの所には蔓が絡まってベランダのようになりました。使い捨て拠点の完成です。
そして大樹の要塞が完成すると今度は地面からクリーム色をした木の幹が伸び、それから枝が伸びて人型を作ると色々なところから黄金色の蔓が伸び、人型の全身に巻き付くと鎧になりました。
†シュヴァルツ†さんの援護のために出したものより大きいです。
「ふぅー。これで手持ちの種はほとんど使い切ったから敵が来たら対処お願いね〜。私は枝に生ってる木の実を回収して投げたりして援護するから」
グレイさんはそう言って根元のドアから樹の中に入っていきました。上の枝に生っている木の実は森精族専用のアビリティの効果で熟していない物でも森精族が手に取るとすぐに熟して使えるようになるので今のグレイさんのように手持ちの装備が尽きた上拾える武器も残ってなさそうな状況でも一応援護ぐらいはできます。
「ねぇねぇ葛葉、そろそろ私も戦いたい」
根元のドアに近いところから地面に出ている根に腰掛けながら拠点が出来たことでこれからどういう風に動こうか考えているとコタツさんがやって来て上から顔を覗き込むような姿勢でそう言って来ました。
「ならオロチさんに言って外に出ます?装備的に役割分担するなら前衛は任せることになりますけど」
「オッケー、それでいいよ。それじゃ私がオロチに言ってくる!」
なので提案すると一気に笑顔になりオロチさんがいる大樹の中に走っていきました。戻ってくるまで手持ちの装備を確認していましょう。
「言ってきたから早速やって行こーっ!」
少ししてこたつさんが戻ってきたので早速行ってみましょう。
「大太刀持ちだっ!囲め囲め!!森なら長物は振り回せないから有利だぞ!」
拠点の正面から出て歩き始めてすぐのところで敵スクアッドメンバー6人と遭遇しました。見た目は全員同じ迷彩服で統一されていてそれぞれゴーグル、ガスマスク、フルフェイスマスク、ヘルメット、サングラス、マントで個性を出していてサバゲーマーに居そうな見た目です。
相手はコタツさんの腰に吊るされた大太刀を見て自分達が有利だと思った様です。今いるのは森林エリアなので太刀や大型の銃器は基本的に不推奨とされています。
「ニャハハハハハッ!障害なんぞ全て斬れば関係なぁしッ!!」
まぁコタツさん含む一部の近接特化プレイヤーからすれば関係ないみたいですけどね。今も笑顔で笑い声を上げてクルクル回りながら相手との距離を詰めて行ってますし。
相手はコタツさんを狙おうにも頭は他の部位より狙い辛いので手足や胴を狙っているようですがコタツさんが動き回ってるので撃つまでに時間がかかるのもあって全然当たっていません。
私は後ろからコタツさんの迎撃に集中してる相手を両手のサブマシンガンで撃ったりしています。私の方にタゲがほとんど向いていないので援護が楽ですね。
そしてある程度相手との距離が縮まりもう少しで間合いに入るところで回転体の勢いで抜刀し、その場で地面に強く踏み込み急停止すると再び大きく体を捻ってその勢いを乗せた大太刀を振るい相手のスクアッドのメンバーのうちフルフェイスマスク、ヘルメット、サングラスの3人の胴体をまとめて切断しました。
「━━ッ?!に、逃げるんだぁ……勝てるわけが無い」
それを見たマントの人がそう言ってガスマスクとゴーグルの2人を連れて逃げようとしています。
「ふふふ、・・・・・・どこへ行こうというのかね?」
「ヒェッ」
ですがその前にコタツさんが後ろに回っていました。そして、
「セェイッ!」
残った3人もコタツさんの少し前の焼き直しのようにまとめて刀の錆になりました。
「ふふふ、魔猫からは逃れられない、だよ!」
凄くいい笑顔でイキイキしてますね。やっぱりコタツさんも†シュヴァルツ†さんと同じようなタイプなのでは?
「いぇーいっ!コタツさんだいしょーり〜。ねぇ葛葉、次は拠点の反対行ってみよー!!」
ほんとににっこにこですねコタツさん。そして私はコタツさんに連れられて拠点の方に戻り途中で†シュヴァルツ†さんと遭遇しましたが†シュヴァルツ†さんは拠点に戻り私たちは拠点をスルーして反対方向に向かいます。
私たちは東から来て拠点を構えた後、さっき南に行ったので次が終われば残るは西方向です。
それが終わる頃には時間も残り少なくなってると思うのでそれまで生き残っていれば残るはマップ縮小で追い立てられてきた人や私たちのように拠点を作っている人だけになります。
持ち込んだ装備は使い切るつもりで倒せる相手は逃さず倒していきましょう。




