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32,GW2日目③→3日目①(31日目)

 さて2人は5匹相手にどう立ち回るんでしょうか。


「ルキスー、私がお猿さんと戦うからルキスは狼さんの相手お願い!」


「わかった、だけどまず僕が魔法撃ち込むからその後にスピカが行って」


「リョーかいっ!」


 そう言うとルキスが畳んでいた翼を開き飛び上がりました。そして空中に留まり詠唱を始めました。

 ルキスの使える魔法は竜魔法のみですがそもそも竜魔法を見るのはこれが初めてですからね。じっくり観察するとしましょう。


「すぅー━━━━っ我が身に宿りし竜の力よ、その力を牙へと変え我が敵を喰らえ!『竜の牙(ドラゴンファング)』」


 詠唱が完了したのかルキスの呟きが止まりましたね。そして両手のひらを合わせました。すると狼と猿のところに魔力反応が見えます。王乃瞳で見ているので普通の魔力視や感知系スキルではわからないと思います。

 そして魔力の動きが収まると同時に猿と狼がまるで何かに噛まれたかのような傷をつけて倒れました。詠唱の中で聞こえた言葉に牙ってありましたしそういうことなんでしょうね。でも一定以下のレベルでは探知不可能な不可視の範囲攻撃ってゲームバランス的に大丈夫なんでしょうか?


 まぁ、何か問題があるようなら運営さんがなにかしてくれるでしょうし気にしなくていいですかね。それにしても、ルキスは防御型かと思ったら広域攻撃もできるとは。


「むールキスなんで独り占めしちゃうの!2人で役割分担するっていったのにー」


 スピカがお怒りですね。まぁ、それも仕方ないことだと思いますけど。おや?これは・・・・・・



「スピカ、奥から魔物の反応がありますよ。今のよりも多いです」


「ほんとっ!?それじゃあ私が全部倒す!ルキスはそこで見てて!」


 そう言うとルキスと同じく畳んでいた翼を開くと反応がある方向に飛んで行ってしまいました。まぁ放っておいても問題ないとは思いますが一応追いかけましょう。



◇◇◇



 むふー、さっきはルキスに取られちゃったけどこれは私の獲物だから誰にも渡さないよっ!


 ご主人が言ってた魔物の群れってあれかな?それじゃあ早速魔法を準備しよう。




 相手も私に気づいたみたいだね、だけど残念。もう私の勝ちだよ!


「『ホーリーブラスト』!『ライトニングエッジ』!」


「「「「「ガァッ……」」」」」


「「「キキィー……」」」


 私の得意な神聖魔法と閃光魔法の攻撃で群れは全滅。んー、手応えなかったなー。前戦った頭が3つある狼くらい強い相手がいたらいいのにー。


「アオーンッ!」


んん?何かな?狼の遠吠え?


「キキーッ!!」



それに猿の鳴き声も。・・・・・・もしかして・・・・・・


「「「「「ガルァッ!!」」」」」


「「「「キィー!」」」」


 あはっ、やったね。さっきの群れをルキスに取られちゃったけどこれなら満足できそうかも?


 あ、狼と猿が1度に沢山飛びかかって来た。魔法一撃で倒せるのはさっき群れに魔法を撃ち込んでわかったけど今回もそれすると楽しくないからなー。魔法縛りで戦おっか!


 まずは投擲用仕込みナイフを投げて勢い任せで飛び掛ってくるのを邪魔してその間に腰につってあるナイフを抜いて準備完了。


「『ライトニングエンチャント』『ライトニングエンチャント』すぅー……はぁー……それじゃ行くよーっ!」


 まず翼で一気に近づいて回転、それだけで周りの魔物が倒れていく。さらに元同族の死体を目くらましにしてくる少し頭のいい魔物には回し蹴りで対応。ご主人にぶーつつくってもらっておいてよかった。浮遊で滑るように移動できるから相手の虚を突く事も出来る。そうして隙を晒してくれた相手も容赦しないで倒していくよ。


 そんなふうに倒してたら今度は前後左右4方向から飛び掛って来た。ご主人も言ってたけどこういう時は慌てずに1匹を足場にして上に上がればあとは勝手に自滅してくれるからその残りをあとから狩り取ればいい。その通りだね、4方向から飛び掛ってきたから止まれずに4匹とも互いにぶつかって倒れちゃった。


 そして私はその4匹に近づいてナイフで首を1度ずつ切っていく。これもご主人からの受け売りだけど一撃浴びせることしか出来ないならできるだけ傷を大きくするようにした方が効率的みたいだから私もそうしよ。

 4匹とも喉元を両手のナイフで大きく切りつけておいたからほっといても倒れるはず。



 はー、ご主人来ないなー。


 それになんか面倒くさくなってきた。魔法使わないで倒すつもりだったけどそれももう辞めた!もう倒しても倒しても湧いてくるしこんなの戦闘じゃなくてただの作業だよ!!

 だから魔法解禁!私の今使える最大火力で全部まとめて消し去ってあげる!!





「白き神威の光、金の星天の光、螺旋を描き交じりあえ!

其は地をその色で塗りつぶし空をその色で染めあげる!

その力をもってこの地に在るものに終局を齎せ━━━━━━━ッ!

星終(シュテルン)裂天(エンデ)』!!」



◇◇◇


 はぁ、それにしても一体スピカはどこまで進んで行ったんでしょうか?

 道端に大量魔物の死体が落ちてますよ。基本的に魔法で即殺されたっぽいので回収は楽ですけどね。


「ん?主あっちからすごい魔力を感じる」


 ふむ?魔力ですか?今は死体が多すぎて探知系が邪魔なので切っていましたが再発動してみますか。魔力探知を持っていないルキスがわかるレベルとなると相当なものですよ。

 私の探知は本能とかじゃなくてスキル頼りなので分かりませんがルキスとかスピカは一部本能的なもので探知しているフシがありますからね。そんなルキスが魔力を感じるということは本当にそこにそれだけの魔力があるんでしょう。


 探知発動・・・・・・あー、これは……正直今すぐここから逃げたいんですが。いや、確かに相当な魔力量だろうとは思いましたが予想以上にとんでもないですよ。



 たぶん全プレイヤー内でもこのレベルの魔力持ちはいないんじゃないでしょうか?そんなレベルの魔力量ですよ。

 今はその魔力も1点に集まってますがあれが解放されたら私たちがいるここまで被害を受ける可能性もあります。

 これは以前エマさんから教わった防御結界の使用不可避ですね。


この結界、詠唱は長いですし今まで成功したことも数える程しかないんですがそれでもやらないよりはマシです。成功すれば多分あのクラスの魔力の奔流に当てられても耐えきれるはずですし。


「光の柱と虚無の壁、闇の帳と水銀の膜。あらゆるものを呑み溶かす混沌の雫をもって其れらを溶かし合わせ永劫不朽の盾と成せ。盾よ我が身に有る境界の力と混ざりて我に害なす万象を隔てよ━━━━━『絶界』!!」


 4本の光柱とそれらを繋ぐようにある触れたもの全てを無に帰す虚無の壁、それを闇と水銀の膜が覆い混沌の力で混じり合う。そして混じり合い生まれた盾は私の持つ境界の力によってその範囲を広げ絶対の防御を齎す結界になる。


 まぁ、エマさんの説明受け売りですが久しぶりに成功しましたね。水銀は以前使う時は薬品扱いのものを使っていて今回は自分で用意したもの、水銀魔法で出したものを使ったのが成功した要因でしょうか?素材によって成功率が変わるとかありそうですしね。またエマさんの所に行った時にその辺のことも聞いてみましょう。水銀魔法を習得してから会ってないですしね。


 そして結界が構築され終わると同時に視界を眩い光が覆いました。そして数分とも数秒ともわからない時間の後に目を開けるとそこには白に染った景色がありました。


 ダンジョン内での攻撃の余波が外まで届くことは無いとはいえこれは……既に少しずつダンジョンの再生が始まっていますがこれほどの威力の攻撃なんて一体何したんですか……ダンジョンが耐久無限自動再生機能付きの建造物とはいえこれは完全再生まで少し時間がかかりそうですね。



 スピカは大丈夫でしょうか……召喚枠を見たところ死亡判定は受けてないみたいなので生きてはいるでしょうが……先を急ぎましょう。






 あれから少し進むと倒れている人影が見えました。近づいて見るとスピカであることが分かります。


「ん、んー……あっご主人とルキス〜」


 ほっ、本人は一応無事みたいですね。


「スピカ、次からは1人で突っ込みすぎたらダメですからね」


「はーい」


「あとスピカだけじゃなくてルキスもですからね」


「わかったー」


「さて、それでは2人とも次からは1人で突っ込まないように気をつけてくださいよ」


 なんてこと言いましたが白く染まったダンジョン内に魔物の反応は感じられませんね。もう帰りましょうか。


「スピカ、ルキス、ダンジョン内に魔物の気配がありませんね。今日は帰りましょうか」


「「はーい」」


「予定より短くなった代わりにダンジョンが元通りになったらまた来ましょう」


 それにしても、この現象が起こったのが不人気ダンジョンの下層で良かったですよ。もし上層か人気ダンジョンで起こっていたら確実に掲示板で話題になっていたでしょうから。

 あとはこの不人気ダンジョンを下層まで行こうとする変わった人が来ないことを祈るだけです。


 スピカとルキスには戻ってもらい徒歩でダンジョンの外に向かいます。そして第2の街に戻りそこからゲートを利用することで第1の街まで帰りました。



 さてと、今日はあと何をしましょうか。今日元々ダンジョン探索の予定しかなかったんですよね。フレンドリストを確認しますが皆さんGWでどこかに行ったりして忙しいのか誰もログインしていませんし。



 もう今日はログアウトしてしまいましょうか。生産する気分でもないですしね。





 ログアウトしたら喉が乾きました、乾燥しているんでしょうか?加湿器をつけておきます。さてと、冷蔵庫になにか飲み物は入っているでしょうか?炭酸系の刺激があるものではなく麦茶とかがあれば嬉しいんですがはたしてどうでしょう?



 orz......炭酸しかないじゃないですか……これは天音用でしょうし。あの子1、2本飲んだと思ったらいつの間にか新しい炭酸飲料が追加されていますからね。仕方ありませんね、買いに行きましょうか。近くの自販機で買うよりもスーパーまで歩いていった方がお得ですし今日もそこで買いましょう。


 ん?冷蔵庫の扉を閉めようとした時それに目が止まりました。炭酸と同じような色合いのペットボトルに入って炭酸と一緒に並べてあるのでそれも炭酸だろうと思ったらグリーンティーって書いてあるじゃないですか。親にデバイスでお茶のペットボトル1箱買ってきてくれるように頼んで私はグリーンティーを飲みましょう。


 容器からコップに注いでいると上から降りてくる足音が聞こえてきました。


「んー!GWの課題多すぎ!特に社会科酷すぎるー」


 天音が課題についての愚痴を叫びながら降りてきました。そして冷蔵庫を開け炭酸水をコップに注いでいます。


「ねーお兄ちゃん、中学のGW課題が多すぎてPDOする時間が取れないー。

しかもお父さん達が休みが取れたからって明日から3日間おばあちゃんの所に行くって言ってたから余計にできない」


 天音は例年通り課題に追われているみたいですね。ですが天音が通っている中学校の課題って多くが普段使ってるワークや問題集から出されるので時間がある時や自習時間に先々やっておけば実質課題自体はしなくても済むはずなんですけどね?


 それと何だか気になることを言っていましたね。明日から3日間祖父母の家に行くとか。私その話聞いてないんですがどういうことなんですかね?


 一応クラン予定組チャットの方で明日からログイン出来ないということは連絡しておきます。それにしても唐突ですね。まぁ、両親ともにまとまった休みがなかなか取れないのでそれも仕方ないとは思いますけど。


今日のうちに明日以降の準備も済ませておきましょうか。着替えと寝間着と保湿液と・・・・・・


「あっ!そうだ言い忘れてたけどおばあちゃん家VR環境整えたらしいよ!あっちでもPDOにログインできるね」


 ふぇっ!?え、うちの祖父母VRにも手を出したんですか。まさかVRMMOとかやっていませんよね?まぁ母方の祖父母は両者ともに実年齢と比べて見た目がかなり若いので万が一VRMMOやってても若い人に混ざって楽しんでそうなので問題はないんですけどもね・・・・・・

 とりあえずさっき打ったチャットは取り消しておきますか。






 はい、当日になりました。祖父母の家はなかなかに遠いので道中は乃亜とデバイスでやり取りしたり天音とおしゃべりしつつ祖父母の家に着くまで時間を潰していましょう。




続きが気になる方などいましたらブクマや感想等など貰えると作者のモチベが上がって続きが出たりするかも。

作者の別作品『奈落に落ちたら案の定裏ダンジョン直行ルートでした』の方もどうぞよろしくお願いします。こちらは今作と違って異世界召喚物になってます。クラス召喚です。

猫蜜柑 @mikanneko__ 作者のTwitter貼っときますので興味ある方はフォローお願いします。基本的に日常ツイと頭に浮かんだ設定流すのがメインです。

その他作中キャラへの質問があればその質問の該当キャラが答えます。


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