12,ゲーム開始5日目・リアル編part2
んー、昨日はちょっとした収穫がありましたね。帰宅してからPDOログインが楽しみです。よくある展開だと図書館系の施設ではなにかスキルが取れたりするんですよ。
「おにーちゃーん!起きてるー?」
おや、今日も天音が呼びに来ましたね。おかげで寝坊することも無くてありがたいです。
「起きてますよー」
ガチャッ
「おはよー!おにーちゃん!」
「天音おはようございます」
さて朝ごはんを食べに下に降りましょう。
今日の朝ごはんはバターロールにしましょうか。トースターで外がカリカリになるまで焼いて食べると中のバターがパンに染みて美味しいんですよねー。
6つ入りなので今日3つ焼いてまた明日食べましょうか。
はー、ちょっと熱めのバターがトロトロで美味しいです……外がカリカリなので食感も楽しめますしね。
「あー、お兄ちゃん今日はバターロール食べるんだ!私はこれ!奥に隠してたメイプルメロンパン!」
あー、やっぱりそれ食べるつもりだったんですね。見つけて美味しそうとは思いましたが食べなくて良かったです。
それにしても美味しそうに食べますね。
「天音、私は今日も先に準備してますからね。あと急がないでゆっくりちゃんと噛んで食べてきてください。」
「はーい(モグモグ)」
今日は少し寝癖があるので直しませんとね。
「お兄ちゃんおまたせ!」
「待ってないので大丈夫ですよ、それじゃあ行きましょうか」
「うん、ありがと!」
さて今日も昨日と同じく母校に妹を送っていってから高校に向かいます。
道すがらすれ違う人にはしっかり挨拶しつつ天音と話しながら歩きます。
今日は雫さんとは会いませんでしたね。
そのまま何事もなく中学の門の前まで来ましたがなにやら今日も人だかりができてますね、このまま天音と別れて大丈夫でしょうか……
「あ、あのっ!!」
「はい?どうしました?」
はて?いきなり女子生徒に話しかけられましたがどうしたんでしょうか?昨日の天音を囲っていた男子とは違ってこちらを睨みつけたりすることもないあたりいい子そうに思えますが。
「えっと、天音ちゃんとはいったいどういう関係なんですかっ!?」
「ん?天音とは兄妹ですよ」
「えっ!?兄妹!?……羨ましい(ボソッ)」
「美人姉妹尊い…」
「ウボァ……お姉様尊い……」
??質問に答えたら何故か周りの人達が突然お姉様だとか尊いとか言い出したんですが……
「あの!お姉さm……じゃなくてえっと……」
「あ、今更ですが詩音と言います」
「あ、すいませんありがとうございます。詩音さm、詩音さんの公認ファンクラブの設立許可を頂きたくて……」
ふぇっ!?ファンクラブですか!?何故??
「え、えぇ構いませんよ。いくつか条件がありますが」
「っ!ありがとうございます!それで条件というのは?」
「それでは条件を言いますね、
①他人に対して迷惑をかけないこと
②強制的にファンクラブに加入させようとしないこと
③天音が危害を被らないようにすること
の3つです。
これらが守られなかった場合は守らなかった人をファンクラブから追放及びファンクラブの活動の一定期間の休止のペナルティが課されるということで」
「はいっ!分かりました!会員みんなに徹底させます!」
「ではまた放課後来ますからね、あとファンクラブの会員名簿は管理できるようにしといてください」
「はいっ!」
おっと、少し急ぎませんとゆっくりしてたら遅れてしまいますからね。
「おはようございます」
「よっ、詩音おはよう。今日は寝坊でもしたのか? 」
「入間ちゃんおはよー、寝坊なんて珍しいねー」
「いえ、寝坊ではありませんよ。中学の方でちょっとありましてね。」
「中学?天音ちゃんが通ってる俺たちの母校のだよな?」
「はい、そうですよ」
「ねぇ中学校の方で何があったのかって聞いても大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ。別に話したくないような内容でもないので」
「端的に言えば何故か昨日から今日の間に母校の方でそこそこ大きな規模の私のファンクラブが出来てました」
「は?ファンクラブ?詩音の?」
「えっ!?入間ちゃん昨日いったい何したの!?」
「いや、昨日妹を迎えに行ったら告白大会みたいなことやっててですね。
妹がなんかもう辟易してるのにそれに気づてない男子生徒が多すぎて少しイラッとしたのでちょっと大きめの声で妹のことを呼んで一緒に帰ってきたんですよ。
その時にこちらを睨んできた人がいたので所謂口元は笑みを浮かべているけど目が一切笑ってない笑顔を向けて帰ってきたんです。
そして今日も妹を送っていったら何故か正門付近に待機してた女子生徒に私が囲まれるという……」
「うわー、入間ちゃん大人気じゃん。もしかしてお姉様とか言われたりした?」
「言われましたよー、さくらさんよく分かりましたね。」
「それでファンクラブ設立の承認したり設立を条件を決めたりしてたらこんな時間に……」
「なるほど、お疲れ」
「ありがとうございます……」
んー、今日の学校も終わりましたねー。
今日は授業も特に好きじゃないようなものはなかったのでちょっと楽でした。
さて、それでは天音を迎えに行きましょうか。
「なあ詩音、今から中学行くんだよな?俺達もついて行っていいか?」
ん?俺達?
「あ、私もついて行って大丈夫かな?」
あぁ、さくらさんもってことですか。別に問題は無いですね。
「はい、大丈夫ですよ。それじゃぁ行きましょうか」
さてと、中学に着きましたね。そして朝と同じく女子生徒が人だかりを作ってますね。
そしてその真ん中にいるのが天音ですね。
「天音ー!」
「あっ!お兄ちゃん!!それにカイさんに咲良さんも!」
「よっ、久しぶり」
「天音ちゃんおひさー!」
「咲良さんおひさでーす!」
「お姉さまー!!」
「あら、あなたは今朝の……」
「はっ!お姉さまが私のことを覚えていてくださった…だと!?」
「透花ちゃん羨ましい!!」
「あ!お姉さま、私の名前は藤鐘透花と言います!」
「藤鐘さんですね、自己紹介ありがとうございます」
「あぅあ……お姉さまに…名前呼ばれた…我が人生に一遍の悔いなし……」
あれ?なんか藤鐘さんがどこぞのラスボスみたいなセリフを呟いたと思ったら両手で胸を抑えてるんですけどどうしたんでしょうか。
「……ファンクラブ会長ってどんなやつかと思ったら思いのほか愉快なやつだな」
「うん、見てて飽きなさそうだよね。
あ、一つ質問なんだけどみんなはなんで詩音ちゃんのファンクラブを作ろうと思ったの?
実際私達の高校にも似たようなのはあるけどそこまで表面化してないから中学生はいないと思ってたんだけど、今朝詩音ちゃんが中学校にファンクラブが出来たって言ったから気になって」
ん?ちょっと咲良さんの言った内容に突っ込みたいところがあるんですが、高校にもファンクラブもどきがあるとか初めて知ったんですけど!?
「えぇっと、まず作ろうと思いたったのは昨日です。
天音ちゃんに対して男子が複数人で告白してたんです。天音ちゃんも最初はちゃんと理由とか言って振ってたんですが途中から天音ちゃん帰りたそうにしてたんですが男子達が周りを囲んでいるせいで帰れなかったんですよ。
その時お姉様がちょうど迎えに来て一緒に帰れたんですけどまぁ男子から見たら自分達から奪っていったように見えたんでしょうね。
それで何人かはお姉様を睨みつけたりした不敬な輩もいまして、そんな輩にお姉様が向けた感情の一切こもってない塵芥を見るような目が私達の目にも写ったことで何人かは「お姉様」って言い出してそこからどんどん規模が大きくなり結果としてファンクラブを結成してお姉様に害をなす輩を××するってことで全員の認識がまとまりました。」
「あぁ、天音ちゃん関係か、それなら納得。本人に自覚はないかもしれないけど詩音もかなりのシスコンだからな。」
「なるほど、確かに私も詩音ちゃんのあの目には新たな扉を開かせる効果があると思う。」
えぇ、カイくんの方はまだしも私にそんな力はありませんよ。
「ですよね!お姉様のあの冷たい目はいいですよね!
同志咲良さん、いま名誉会長の席が空いているのですがファンクラブ、加入したくありません?我々にとっても高校のファンクラブと協定を結ぶための橋渡し役がどちらにも在籍してくれていると有難いんですよ」
「入るよー、名誉会長だったら直接的にファンクラブの運営に干渉したり出来ないからいい役職だと思うしね。橋渡し役が両方の組織にいた方が楽なのは私も同感だしね。
それじゃあ今夜早速高校のファンクラブのグルで協議するね!」
「ありがとうございます!あ、連絡先って交換して貰えますか?」
「うん、全然大丈夫だよ。今からする?」
「はい、それではお願いします」
あばぁ……ファンクラブの規模が大きくなってゆくぅ……
ていうか××ってなんですか、すごい不穏なんですけど……
その後はカイくんと咲良さんと別れて天音と一緒にうちに帰りました。
それでは今日もログインしましょうか。
「ダイブ・イン」
さてそれでは昨日聞いた通り教会に書庫があるらしいので向かいましょう。
教会に着きましたね、それでは神官さんから利用許可も貰ったことですし早速書庫に入りましょうか。
おぉ、図書館ではなく書庫らしいですがかなりの蔵書数ですね。中世の西欧国をイメージしたような街並みの中にこれだけの本があるとは、この世界ってもしや印刷技術や製紙技術かなり進んでます?
面白そうな本ないですかねー?
おや、これは……初代魔王と初代勇者についての本ですか。……ふむふむ、結構途中まではよくある話だと思っていたら魔王と勇者が実は相思相愛で最終決戦の時にその時代今のように軽い装備に強力な付与を施す技術がなかった為互いにフルプレートアーマーにフルフェイスヘルメットで戦いその結果お互いが最愛の相手だと知らずに殺し合い刺し違えたと。
……いやこれさすがにバッドエンドすぎでは?
教会にこんな昏い本あるとか初めて読んだ子供がトラウマになりますよ。
他にはないですかねー、よくある図書館系の施設で本を読んでいたらスキルを覚えたみたいなのを期待してたんですけど。
《ピロンッ条件を満たしたためスキル『速読』を習得しました。条件を満たしたためスキル『識別』を習得しました。》
……わぁ、ちょっとタイミングよすぎじゃぁないですかねぇ。
さて気を取り直して残りの本を見ていきましょう。ふむ、この世界の種族についてや魔力について、魔法の種類についてなど興味深い本は沢山ありますが変わったスキルは未だに取れませんね。もう少し奥のほうにある本を見てみましょうかね。
おっ、死霊魔術の書ですか。これは読まなければ。あー、おー、なんかわかりづらい感じで書いてますねー。ですがなんとか解ります。最後まで読みましょう。
《ピロンッ条件を満たしたためエクストラスキル『死霊魔術』を習得しました。》
おや?読み終わったらアナウンスが、ええっと。これエクストラスキル枠なんですか。これまで得たエクストラスキルは普通のスキルと違ってスキルレベルが無いので進化が無いんでしょうか?死霊魔術も他と同じくレベル無しでしょうかね?
とりあえず何かしら役立ちそうなスキルを習得するという目標は達成したので外に出てステータスを確認しましょうか。書庫の中は読書に関するスキルしか発動しないんですよね。ステータスはシステム的なものなので使えるのかと思ったんですが使えませんでしたし。システム的なものも本に関係ないと判断されたら発動しないんでしょうね。
おや?このゲームって確か現実の2倍の時間でゲーム内時間が流れるんでしたよね?その割には書庫の中にいたのに中の時間も外の時間もほとんど時間が経過していないんですが、もしかして書庫系の施設には独自の加速率が設定されてたりするんでしょうか?
さて、考察は後回しにして今は先にステータス確認からしましょうか。
「ステータスオープン!」
name:シオン
種族:人族
mainjob:錬金術師 Lv1
subjob:隠者 Lv1
種族Lv:12
HP 177
MP 195
STR 50
INT 50
VIT 30
MND 30
AGI 38
DEX 50
LUK 38
STP 10
SKP 26
スキル────────────────────
・ノーマルスキル
『閃光魔法 Lv5』『暗黒魔法Lv4』『体術Lv10☆』『裁縫Lv3』『錬金術Lv1』『鑑定 Lv7』
『料理Lv3』『操糸術 Lv4』『無属性魔法 Lv11』『魔力制御 Lv11』『気配探知 Lv1』
『気配遮断Lv8』『跳躍Lv10☆』『危険予測 Lv1』
『魔力探知 Lv7』『暗視 Lv10☆』『熱探知 Lv6』
『魔闘術 Lv7』『縮地 Lv6』『剣術 Lv5』
『攻撃予測 Lv1』『速読 Lv6』『識別 Lv3』
・エクストラスキル
『切断』『思考拡張』『死霊魔術 Lv1』
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称号─────────────────────
【運聖兎の加護】【断ち切る者】【管理者の親愛】
【ジャイアントキリング】【隠者】
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続きが気になる方などいましたらブクマや感想等など貰えると作者のモチベが上がって続きが出たりするかも。作者の別作品『奈落に落ちたら案の定裏ダンジョン直行ルートでした』の方もどうぞよろしくお願いします。こちらは今作と違って異世界物、クラス召喚系になってます。




