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アイエナジー

「さて、洋一様にも御許し頂けたところで2番目の質問にお答えさせて頂きます」


「え?俺の治療をする為にじゃなかったのか?」


「ハハハ、勿論それが第一の理由ではあります、ありますが…」


何だろう?脳を改造されたとか色々あって忘れてたけど、そういやアパートを買い占めたとか言ってたな…新しいオーナーになったんだから、あれか家賃交渉だな


「ああ、わかっている。で?いくらなんだ?」

家賃交渉には俺に1日の長があるはず。ここは先手をとって余裕の態度で望む!


「おお!思いの外、頭の回転の早い方の様で助かります。そうですね毎月50万円で如何ですか?」


「なんだと?!」


「すみません安すぎましたか?いきなり高額にすると警戒されるかと思って、では毎月500万円でどうでしょう?」


「まて!吹き抜けになって広くなって、何かデザイナーズマンションみたいになってるからって高すぎる!10万円以上は無理だ」


「10万円…いささか安すぎる気もしますが、分かりました洋一様がそれで良いと仰るなら、その価格でお願いします」


10万円…給料の半分近いから厳しいが…しかし治療してもらわないと行けないし、半年間の我慢だ!それまでに新しい引っ越し先を探さないとな。


契約書にサインをする


「では、タンサ様」


「うむ」


おもむろに立ち上がるタンサ、どうしたのか?


「では契約の儀式を執り行う」


契約ってそっちだったのか?魔法少女的なあれなのか?も、もしかしてキスとかそう言うあれかな…いや、確かにタンサは可愛いけど中学生ぐらいにしか見えないしな…俺はロリコンではない!


「ちょ、ちょっと待て」


「どうされました洋一様?」


不思議そうな顔で、こちらをみる二人


「や、やっぱり、そう言うのはマズイんじゃないかな?」


「私が相手では嫌なのか?」


タンサちゃんが下を向きシュンとしながら言う


「いや、そう言う訳ではないが…日本には法律と言うものが有ってだな」


「洋一様!不本意だとは思いますがタンサ様の為にどうかお願いします」頭を下げるイケメン野郎


「分かった…そうまで言われては仕方ない。タンサ、優しく頼む」



「うむ、分かった」


ついにこの時がファーストキスが、聖夜の奇跡が訪れた!


ソファに座ってる俺にゆっくりと近づいてくるタンサ、対面に来て俺の左肩を掴む。そして…


そして、タンサの左腕が光ったと思ったら

俺の左胸を貫いた


「ぐおおぉぉ…って痛くない?」


「大丈夫ですよ洋一様、タンサ様の左腕は現在は高次元の世界にありますので肉体に触れる事はありません。貴方の魂に直接、タンサ様の魂回路をつなぐ運命コードを刻んでいるだけですから」


「どういうことだ?」


「ですから、契約書に書いてある通りですよ。異世界転移する為に必要なアイエナジーを集める為に、貴方の魂とタンサ様の魂回路を繋いでいる所です」


「へえ異世界の住民だったのか通りで…って初めて聞いたぞ!」


「はい、初めて言いましたからね。ただ契約書にはちゃんと書いてありましたよ」と言って笑うイケメン野郎…絶対確信犯だな?


「そのアイエナジーが必要ってのは分かったが、それは何なんだ?」


「うーん簡単に説明すると愛の力ですね。異世界を渡ると言うのはそんなに簡単じゃないんですよ。それこそ奇跡でも起こさないとね」


「その奇跡を起こす力がアイエナジーと言う事か?」


「ざっくりと言うとそう言う事です」


「そうか…でもそれだったら貴様でも良かったんじゃないか?俺みたいな非イケメンじゃなくても」


そうだよ、俺は御世辞にもイケメンとは言えない…顔自体は普通くらいだが、中年太りでメタボってふっくらしてるし、他も年齢並みにちゃんと老けている。


「いえ、私にも魂回路はありますが擬似的な物でして、タンサ様のそれよりも数段劣ります…アイエナジーを受け取る事は出来ても生み出す事は不可能なんです」残念そうな顔で言うイケメン野郎…物憂げな顔も絵になりやがる…クッ


「でも、それでも他のイケメンのやつとかでも良かったんじゃないか?

タンサなら美少女だからヨリドリミドリ選び放題だし逆ハーレムで多人数から効率よく集めたら良いんじゃないか?」


「それがそうでもないんですよ…アイエナジーと言うのは純度が高いプラトニックなもので無いとエネルギー変換率が低いですし、そんなイケメンヤリチン野郎のゲスなアイエナジーを使っても、大してエネルギーにならないばかりか、タンサ様の魂回路が汚れて使い物にならなくなります!と言うか、そんな奴は私が確実に殺します!」と自分で言いながら鬼の様に顔がひきつっていくイケメン執事さん。


「す、すまん」


こ、怖いな。こいつヘラヘラしてるだけの奴かと思ってたら、こんな顔も出来るのか…


「でも、これ何時まで続くんだ?タンサもさっきから目をつむって、ずっと黙ってるし」


「もうすぐ終わると思いますよ。今は高次元の世界を見ることに集中してるので気づかないんだと思います。因みにタンサ様は集中すると、いつもこんな感じですよ」と笑顔に戻って説明するイケメン野郎、こいつは怒らさないように気をつけよう…


「ふう…終わったぞ」


「少し時間が掛かってしまったようですね?」


「うむ、魂の記憶とかも見ておったからな」


「確かに、初めて会われた時のスマホでのハッキングや今までのネットでの検索購入履歴だけの心理分析では心配ですからね」


「うむ」


「なにい!」


「どうしたのじゃ?」


「いや、どうしたもこうしたもない!俺のプライバシーの侵害だ!」


「人造人間107号改、何か不味かったのかの?」


「いえ、タンサ様。契約書に書いてありましたから何も問題ありません。ですよね?洋一様」


笑顔で言うイケメン野郎、今確信した、こいつの心は真っ黒くろすけだよ…そういや骨らしき物も黒かったな。


「そうだな…」もういいや、どうせ脳とかいじくられてるしな…ただエロ動画とかの検索購入履歴は見られたくなかった。


その時、脳内に声が響いた『大丈夫ですよ洋一様、18禁の動画や検索履歴は私がフィルターを掛けて起きましたから』


おお!ありがたい!脳内電話のやり方がよく分からなかったので、黙って黙礼する。


「うむ!かなりねじまがってはいたが、中々に美しい魂じゃったぞ洋一」


「…美しいとお前に言われてもな嫌味にしか聞こえん」そんな風に女子に誉められたのは初めてだった、何だか照れくさかった

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