脅威!牛砂嵐
ドスッ
凄い音がして、ボールがコロコロと転がっていた…
松牛の投げた球はまっすぐに違える事なく
転げ回って笑っていた高橋のお腹に命中していた…
うん、気付いてた。ただ、まあ良いかなと思った
何か止める気にならなくてな。
「わりい、わりいコントロールが悪いもんだからよぉ次は何処に飛んでいくか分からねえや」
シーンとなるグラウンド…さっきまでの笑い声が嘘の様に静まりかえった。
「おい、お前らも気をつけろよ!何せコントロールが悪いからよぉ」
俺とタンサの方を見て言う松牛。
うーむ、俺は悪口言ってないよな?
キャッチャーの生徒に目で訴えかける…
「大増くん言い忘れてたけど、あいつデッドボールの時だけ凄くコントロール良くなるんだ」
そうだったのか…もうちょっと早く教えろ。
でもタンサに当たったりしたら、まあタンサには何のダメージも無いと思うが、松牛が殺されるといけないからな…
仕方ない、また挑発しとくか
「やれやれ、コントロールが良くなったと思ったら寝転んでる奴か女の子にしか当てられないのか?」
「なにい?」興奮して砂をザアザアし出す松牛くん…いや、松牛。
「闘牛の牛ですら、ちゃんと闘牛士に突っ込んでくるんだぜ?はっははー!これじゃ、まるで牛以下だな?」
さらに挑発してみる。
「フンモー!良いだろう!じゃあ、ちゃんとテメエに向かって当ててやるよ!」
顔を真っ赤にして高速で足をザアザアやりだす。砂煙で松牛が見えなくなる程に
「あーあ、大増くん」
後ろからキャッチャーの生徒に声を掛けられる。
「遂にあいつに本気を出させてしまったね」
「どういうことだ?」
「あいつの足で砂を掻いてるのは癖でやってるだけじゃないんだ…ああやって砂ぼこりを起こす事で自分の姿を見えない様にして、投球のタイミングを掴ませない様にしてるんだよ!」
「な、なんだって~」
気がつけばマウンドの周りだけじゃなく、バッターボックスの近くまで砂ぼこりにまみれていた…
松牛の姿はおろか、1メートル手前すら見えない。
これじゃあ、球が見えるのは本当に目の前に来た時だけだ…スローモーションでも捉えられないかも知れない。
その時、風切り音が砂の中から聞こえたきた…
スローモーションを使うがボールの位置がつかめない…
「洋一、右じゃ!」
タンサの声に咄嗟にバットを右に構える!
「くっ」
キン!と言う甲高い音と共にバットごと俺のヘルメットを衝撃が襲い、思わず倒れ込んでしまう
「どうした?どうした?さっきまでの余裕は…ふははは、俺の牛砂嵐は無敵ィィモー!」
「フンモー!」
また風切り音が聞こえる、まずい…
「洋一ブリッジじゃ!」
「フンッ」
タンサの声に反応して咄嗟にブリッジを作る、俺の背中の下をボールが通り過ぎていき地面を抉る!
「ほう…そっちの女の子は気付いてる様だなあ」
「だが、この勝負はあくまでも俺とお前の勝負だモー!いつまでかわし続けれるかな?」
くっ…こうなったら使うしかないか…川越流警備術を!




