ドリームサンダー
「バットは…おい、一年誰か持ってきてやれ」
「はい」
そうやって走ってバット入れに入ったバットを何本か持ってきたのは大人しくて、いかにも気の弱そうな茶髪の男子だった。
「名前は?」
「はい、高橋です、先輩!」
緊張しながら腕を後ろに組み叫ぶ高橋くん
「別に同じ新入生なんだ、普通に大増とか洋一でかまわないが」
「いえ、流石にそういう訳には…それに先輩でしょ?2年の武者小路さんを病院送りにしたの…」
ん?何でだ?啄木鳥は、そこまで殺傷能力はなかったはずだが
「いや軽くいなしただけだが」
「でも入学式の時の事が話題になってますよ。それに武者小路さんは頭と女癖は悪かったけど、ケンカだけは凄く強かったから…」
ああ、やっぱり頭が悪かったのか…
「まあ、そんな事はどうでもいい。あまり野球はやったことないんだが、どのバットがオススメなんだ?」
「え?ああ…人気が有るのは、このVコンガとかですかね。重量があるし、当たれば凄い飛びます!」
「じゃあ、それにしようか」
「いやいや、松牛さんはコントロールこそ悪いですけど、球のスピードだけはメチャメチャ早いんです!Vコンガだと野球素人の大増さんじゃ当てる事も難しいと思いますよ」
「おい!高橋ぃ聞こえてるぞ!」
松牛くんが睨み付けて怒鳴っている
「スマーセース!」
相変わらず、ここの野球部の言葉はよく分からんな。
今度はひそひそ声で高橋が話しかけてきた。
「あの人、何か自分の事をやたらと目の敵にするんスヨ。同じポジションだからライバル視してるんすかね?」
「ん?まだ始まったばかりだろ?一年生はポジションも何もないんじゃないのか?」
「いや、自分は野球推薦で入ったんで3月から練習に参加してたんですよ」
なるほど…だから一年生の割に学校とか部活の事とか詳しいんだな。
「早くしろ!高橋いぃ」
高橋を怒鳴りつける、松牛くん。
「スーマース」
もう何言ってるか分からんな!
「じゃあ、そのキングコンガで良いぞ」
「え?良いんですか?当てるだけならスピードアクセスDTとかの方が球には当てやすいと思いますけど…」
「ちょっと待て!なんだ、そのスピードアクセスドリームサンダーと言うのは?」
「いや、スピードアクセスDTっス」
「では、そのドリームサンダーをもらおうか」
「いや、DTは初めての人にも優しくと言う意味で…」
「ドリームサンダーだな!」
「聞いてます?だから、どうて…」
「ドリームサンダーだな!そうだな?」
「はい、スピードアクセスドリームサンダーッス…どうぞ」
別に全年齢向けの作品で何を言い出すんだ、言わせねーよと思った訳ではないがな…武器の名前にはこだわらんとな。
「でも、当てるだけなら、こっちの方が良いですよ」
「当てるだけ?何を言ってる?当然ホームランにするさ」
「おい!大増、ずいぶん大きく出たじゃねえか?ケンカと野球は違うぞ!調子にのってッと痛い目みるぞ!」
え?こんなキャラだったか?モーとか言ってた気がしたのだが
まあ、いい。とりあえず新しい武器の調子を見ておくか、俺は振り回したり、細い部分の先で突いたりして、手に馴染ませた
「大増さん何してるんですか?」
「あの、それはバットなんですよD…いやドリームサンダーではあるんでしょうけど」
「大丈夫だ棒術は川越流警備術の最も得意とする所だからな」
「はあ…もう良いです」




