春は出会いと別れの季節
そうか…まあ確かに俺みたいなオッサンとタンサじゃ釣り合わないもんな…学校に通って新しい出会いを求めた方が良いに決まってるさ
でも何だろう?この胸の痛みは…はは、良い年して、俺、恋してたのかもな…
「分かりました。早速手配致します。ですが、今は2月末日です。学校は卒業や春休みを控えて、ほとんど通えないでしょう。4月から入学出来るよう手配しても構いませんか?」
「うむ!それで良い!サクラ降る中の入学式も大事な要素じゃ」
こんなに喜んでるタンサを見ると、さっきまでの切ない気持ちも少し和らいだ…
ここは大人として頑張って応援しないとだな…
「タンサ、頑張れ。お前に素晴らしい出会いがある様に…祈ってるよ」
そう、クリスマスの奇跡は終わった…短い間だったけど俺は充分すぎる程に幸せだったよ。神よ感謝する
「うむ。友達とやらも作って楽しくドタバタした学園生活を送るのじゃ!」
精一杯の笑顔で言ったつもりだけが、俺は上手く笑えてるだろうか?
「ん?どうしたのじゃ?いつもより変な顔になっとるぞ!笑ってるのか泣いてるのか、よく分からない顔じゃな?」
はは、タンサは遠慮がないな、悪気もないんだろうがな…俺は自分の顔をはたいて、そのまま両手で顔を引き上げて無理矢理に笑顔を作った。
「まあ、元々イケメンじゃ無いからな。笑顔でもこんな顔になってしまうのさ」
「そうか…でも、まあ面白い顔だし、私は嫌いじゃない、どちらかと言えば好きだぞ!」
そんな事言わないでくれ、せっかく諦めようとしてるのに…また好きになってしまいそうじゃないかよ!
でもダメだ!
「ありがとう…新しい契約者と…アイエナジー貯めるの頑張れよ」
「何を言っておるのじゃ?」
「え?だって4月から学校に通うんだろ?そこで新しい出会い、新しい契約者を探してラブコメするんじゃ…」
「洋一様、契約者と言うのは決められた契約期間は1人だけしか契約出来ないのですよ?」
「え?そうなのか?」
「そうです。ですから、あと3ヶ月は洋一様にも頑張ってもらわないと」
「ああ、そうなんだ…でも、そうなると学校に通ってる間の3ヶ月が無駄になっちゃうんじゃ…」
「別にならんじゃろ」
「いや、だって俺は32だし…学校とか通えないから…」
そう、俺みたいなオッサンがタンサについていって学校をウロウロしていたら事案発生である。
「そうなのか?トナカイ?」
「いえ、大丈夫ですよ!だって洋一様は17歳ですから」
「へ?何を言ってるんだ!俺はそんな宗教に入ってないぞ、俺は32歳独身だぞ」
「ええ、そうでしたね。32歳独身、彼女いない歴=年齢のメタボ中年でしたね…つい、さっきまでは」
そこまで言わなくても…と思ったが、それどころじゃない!
「さっきまでは?と言うことは?」
「はい!もちろん個人情報を書き換えました」
「なんだって~」
「いちいちリアクションが古いの」
「いやいや、俺ふざけてやってる訳じゃないからな!あんたらが、いつも無茶苦茶だから素で驚いてるだけだ!」
「え?そうじゃったのか?」
「私もてっきり…」
「そんな事はどうでも良い!」
「そうですね。それどころではありません。では明日あたり、お二人の制服を買いに行きませんとね」
「いや、そう言う事でもないから…」
「それで、どういう設定になっておるのじゃ?」
「はい、タンサ様と洋一様は各々、別のお父さんとお母さんの連れ子で再婚した際に義理の兄妹になった…しかし両親が事故に会ってしまい二人暮らしになってしまったと言う設定(個人情報)に書き換えました」
「うむ、うむ…ベタじゃが王道でもある!褒めてつかわすぞトナカイ」
昭和から平成まで、本当によくある設定だ…
「いや、俺、仕事とかしてるからな。そんな急にはやめられないぞ?」
そう、今は人手不足で職場の川越隊長は毎日夜勤に出て巡回ばかりで膝が痛いとか言ってたな…
「大丈夫です。1人、複数の女性と社内不倫している部長が居ますから、その者を洋一様の代わりに異動するように手配致します」
え?岸田部長?イケメンだけど真面目そうで爽やかなやつで、有名大学を出て奥さんと子供がいて、幸せそうな感じだったのに…
「でも、やめるんじゃないのか?部長から平社員になるんだぞ?給料も激減するだろうし…」
「大丈夫ですよ!まだ他にも叩けば埃が出そうですから、そのネタを使ってしっかり追い込んで辞められない様にしておきます」
笑顔で、どっかの闇金みたいな事言ってる
よ…やはり、この男は怒らせない様にしないとと新たに誓う俺だった…あと部長は自業自得だから、まあ良いかな。
元部長が研修終わるまでは大変だろうけど、頑張ってくれ川越隊長!
無責任すぎやしないか?仕方ないさ、だって俺は17才なんだからな!




