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1 夢
俺はよく夢を見る。その大半は、なんてことはない、脳が記憶を整理する時にできる副産物なのだろう。
だけど、どうもおかしい。あの夢はいつも、肌の外の生温い暖かさと妙に冷えきった自身の体温のコントラストははっきりしているくせに、他のことが曖昧すぎるのだ。いやに主観的なその世界で、必ず俺はある人を見つめている。それが誰かは分からなくて、でも何故だかよく見知ったような安心感があって、なのにとても遠い。雑沓の向こうとこちらでは、何も届かない。そうして決まって、彼がこちらを振り向く前に目が覚めてしまうのだ。いつだってそう。彼が気付いてくれる俺を、俺は知らない。