〇一三 魔王の最期
~~~長安の新都 処刑場~~~
「皇甫嵩、そして樊稠よ。
よくも偉大なる魔王様を裏切ってくれたな。
貴様らには死、あるのみだ!!」
「無念だ……」
「そ、そんな。何かの間違いだ。
おい、やめろ! やめてくれええええ!!」
~~~長安の新都 呂布軍 陣営~~~
「い、一大事だ大将!
魔王様に謀叛を企んだとして皇甫嵩、
それに樊稠将軍が処刑されるっつー話だ!」
「!?」
「左遷させられていた皇甫嵩はともかくとして、
樊稠殿が謀叛だと?」
「ああ。なんでも馬騰・韓遂との戦いの時に、
韓遂に内通して手心を加え、わざと逃したそうだぜ」
「…………hdsyio;;」
「これは何かの間違いです。私はミスター董卓に抗議してきます。
……って、おやめください呂布将軍!」
「魔王様はいったん決めたことを翻しはしない。
呂布将軍、抗議してもあなたの心証が悪くなるだけだ」
「…………」
~~~長安の新都 張済軍~~~
「なるほど、さすがは賈詡だ!
このために樊稠に韓遂を攻撃させなかったのだな」
「これで四天王のうち二人が欠けた。
これからは貴殿がいっそう重用されるだろうな」
「よくやってくれた! 今後も俺のために働いてくれよ!」
「ああ、任せておくがいい。
(小生の野望のためには、踏み台は高ければ高いほどいい。
まずは張済、貴殿を高い踏み台へと作り替えてやろう……)」
~~~長安の新都 王允邸~~~
「まずいことになった……。
我々とともに董卓暗殺を画策していた
皇甫嵩将軍が処刑されてしまうとは」
「ああ。将軍のことだから口は割らなかっただろうが、
これをきっかけに我々の存在が知られる可能性は高い」
「樊稠将軍が処刑されたのも痛いな。
董卓の暗殺後、彼は残党をまとめ上げられる器を持っていた。
彼がいれば混乱を最小限に抑えられたろうに」
「暗殺の算段すら立っていないのに、
その後のことをとやかく言ってもしかたあるまい。
それより――」
「! 待て、そこにいるのは誰だ!?」
「ほほほ。わらわです、父君」
「貂蝉か。驚かすでない」
「父君、いつまで迷われているのですか。
わらわが再三、申しているでしょう。
董卓ごとき、わらわにお任せあればいつでも首を取って参ると。
女のわらわならば、董卓も油断するに違いありませんわ」
「し、しかし娘のお前にそのようなことをさせるわけには……」
「いや、私たちの計画が露見すれば、
貂蝉も連座して処刑されるのだ。
どうせ失う命ならば貂蝉よ、父に預けてくれるか?」
「おほほほほ。
はじめからわらわはそう申しているではありませんか」
「済まぬな貂蝉。だが案じるな。
お前がしくじれば、私もすぐに後を追う。
お前を一人では死なせんぞ」
「そんな湿っぽいことを言っては成功する物もしませんわ。
父君は枕を高くして吉報をお待ちくださいな」
~~~長安の新都 宮廷 宴会場~~~
「フハハハハハ! 酒が足りぬぞ! もっと持って来ぬか!」
「それでねー陛下ー。
この前、村祭りをしてた連中を皆殺しにしたんだよー。
牛裂きの刑にしたんだけどチョー楽しかったー」
「そ、そうか。あははははは……」
「…………」
「どうした呂布? せっかく吾輩が宴を開いてやったのだぞ。
もっと楽しそうな顔をせんか!」
「hhdkl;:]:」
「とてもエンジョイしています。
しかし化粧のせいでわからないようですね、私の笑顔が」
「フン! それなら薄汚い化粧を取ればいいだろうが!」
「魔王様、踊りを披露したいという
女が参っていますが、いかがなさいますか」
「美女ならば通せ! ブスならば首を持って来い!」
「おほほほほ。そんなつれないことをおっしゃられるな」
「おお美女だ! 良いぞ良いぞ。近う寄れ近う!」
「おほほほほほ。
それではもっと近くで……刺させて頂きます」
「!? 何をするか貴様ァッ!!」
「しくじった……」
「誰の差し金だ! お前も黒幕も氷人形にしてやろうか!!」
「ghla;op@@@@@」
「すこし待ってくださいミスター董卓。
彼女は確かに悪いことをしました。
しかし女性を殺すのは良くないことです。
少なくとも私の故郷ではね」
「なんだとぉ~!?
呂布、お前は樊稠のような無能のくせに吾輩に逆らうのか。
ならばお前の首を寄越せ!」
「お、お待ちください!
呂布将軍をこんなことで殺すなんて――」
「通訳の分際で吾輩に意見するのか?
そういえばこの前も余計な口を出したな。
いいだろう、呂布の代わりにお前の首を差し出せ!」
「!?」
「わ、わかりました。
それで呂布将軍を許して頂けるのならば……」
「げっへっへっ。兄貴、俺が首をはねてやるよ。
呂布もこの通訳も前から気に入らなかったんだ。
……ん? なんだ呂布。邪魔をする気か?」
「hjl;::ppppppppp!!」
「こ、このファッキン野郎、
ミスター陳宮からその薄汚い手を放せ!」
「ぐわああああああっ!?」
「な!? と、董旻様を殺したぞ!
呂布の謀叛だ! 取り押さえろ!」
「FXCKFXCKFXCK!!」
「ふ、ファッキン雑魚ども、黙るのです。
この程度は謀叛とは言いません。
謀叛とはこういうことを言うのです。それを今からお見せします」
「ち、血迷ったか呂布!?
は、話せばわか――ぎゃあああああああああああ!!!!!」
「きゃああああ! おじい様が!!」
「と、董白様! 早くお逃げ下さい!」
「呂布! よくぞやった!
今だ! 董卓の配下を皆殺しにしろ!」
「心ある者は我々に続け!!」
「大将! とうとうやっちまったな!
この時をずーっと待ってたぜ! 董卓軍を殺しまくってやらぁ!」
「董白! こっちだ! 逃げるぞ!」
「えええええん! パパー!」
「牛輔が逃げ出したぞ! 追え!」
「おほほほほ。逃がしませんことよ」
「ぬうう、こうなればお前だけでも道連れにしてくれる!」
「きゃあああぁっ!!」
「ああっ! 貂蝉! おのれ李儒め!」
「ぐわっ!! 魔王様……いまお側へ参りますぞ……」
「よくも貂蝉を……ッ!
絶対に許さん! 貴様ら根絶やしにしてやる!!
「あ……ああ…………」
「gjskk;d::]]i」
「陛下、心配しないで下さい。私があなたの安全を保証します。
なぜなら私は紳士です。女性と子供は守ります。
いつもそう心掛けているのです」
「…………董卓……」
~~~~~~~~~
かくして呂布は董卓を殺した。
魔王はあっけない最期を迎え、遺された残党たちはどう動くのか?
はたして覇権は誰の手に渡るのか?
次回 〇一四 賈詡の暗躍




