表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6年制高校の超能力者  作者: ZIP
前半
9/20

新学期Ⅲ

「いやいやいやいや……」

寮の北、交差点たった1つ渡ったことすらない未踏の場所。

ここら辺一帯は休火山でできた高台にある数キロ四方の

街らしいのだが、最初の交差点を渡るまでもなく見える、

数キロに及ぶ、今の島の風景からしたら壮大な森林と

草原の自然保護区、そして反対側にはニューヨークの高層ビルを

そのまま持ってきたかのような摩天楼が広がっている。

深い夜には似つかわしくない昼間のような灯り、

その先には住宅街があるという。

「ニューヨークの高層ビルをそのまま持ってきたか、

うまい例えだね」

「なんというか、カオスですここ」

森林と草原を前面に一軒家、その隣には少なくとも本土の

東京ですら珍しいといえる規模のマンションがそびえ立っている。

「見ての通り、徒歩移動にはちょっと広すぎるんだよね」

ビルの灯りで4車線道路の真ん中にある線路が照らされている。

前方から線路を走るのは、ここ一帯を一周する無人電車だという。

「バスだと無人運転が難しいから多少のコストを無視してでも

建設したんだ、完成したのは今年に入ってからさ。

地下鉄駅に接続してくれればいいのになんで住宅エリアだけを……

おや、一雨きそうだから早いとこあれに乗って移動しよう」

科学が発達した今では、天気予報の的中率は99%。

天気予定とすら呼ばれているほどに正確だ。会長がメガネ内蔵の

インターネット端末で確認しているのは、最もポピュラーな

10分毎の天気を知らせるものだろう。

「ちなみに運賃は無料だから心配はいらないよ。

いや、税金だから前払いというとこかな」

天気予報もとい天気予定通り、程なくして冷たくない雨が降りだす。

1両だけの小さな電車に揺られること10分、第二生徒会近くらしい

停留所に着いた。

「普通の民家ですよねこれ!?」

そこは閑静な住宅エリアの端(未だ未開発の敷地が広々と残る)

にある、工場で量産されているユニットを組み合わせただけの、

ありふれた構造の民家だ。

「間取りは3LDK、察しの通りユニットハウスだよ。

さあ入って、一応民家で賃貸だから靴は脱いでくれよ」

ここはお邪魔しますとでも言えばいいのだろうか。

「ねえ、なんかここ生活感がない?」

香織の指摘でリビングを見渡すと確かに、リビングにある

擦り傷のついたテーブルを見てもそんな雰囲気がある。

「では、ようこそ第二生徒会室……兼僕の自宅へ!」

あ、やっぱり。


「さて、何か質問はあるかい?」

なにかを話そうとしても躊躇してしまう、この微妙な

空気を中和するためか、急な話題転換をされた。

「はい!」

「はい神坂さん、どうぞ 」

「先輩はなんで寮に住んでいるんですか?」

…………中和どころかさらに微妙な空気になった。

それもそのはず、PSIは全寮制だ。香織が助けを求めたそうに

こちらをみている、緩和材的に何か質問してみるか。

「えっと、ここは一人ですか?」

敬語が緩和されて変な日本語になってしまった。

「ははは、どうだろうね」

ははは。

「はい!」

「2回目の神坂さん、どうぞ」

こいつは何を聞くつもりなんだ。

「先輩は誰もいない自宅に夜遅く私たちをつれこムグッ」

咄嗟に俺の右手が香織の口を塞ぐ。地雷だ、歩く天然地雷がいる。

「そ、そうだ、今日はあついから冷たいお茶を淹れてきたよ」

「いや、お構い無く」


俺と香織の意識はここで途絶えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ