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6年制高校の超能力者  作者: ZIP
前半
8/20

新学期Ⅱ

「やあ、転入生くん……という僕も2年の時に転入してきたクチだ。

わざわざ来てもらって悪いね」

「こちらこそ、例の件は助かりました」

メガネでは隠しきれないその鋭い眼で俺たちを一瞥する、

身長は俺よりやや高めのやせ型。この人が宿題を

なんとかしてもらった怪し……親切な先輩だ。

「はじめまして。いや、会うのは2回目か、

でも一応自己紹介をしておこう。俺は浦部修、

第二生徒会会長の4年だ。君は真崎君で、

その隣の彼女……歩きながら寝ているようにみえるけど、

名前は神坂さんでよかったかな?」

「彼女じゃないです!」

目が半開きで香織が咄嗟に反論する。どうやら歩きながら

目を覚ましたらしい。

「うーん、そういう意味じゃなくて代名詞として使ったんだけどなあ。

ああ、神坂さんもしかして」

「あ、あの。それで私たちは何をすればいいんですか?」

「図星かな? さて、唐突だけど、君たちには第二生徒会に

加入してもらうことになっている」

「第二生徒会……ですか? なんでまた生徒会が2つも」

メガネを指で直しながら会長が答える。

「いい質問だね、詳しい事は第二生徒会室で話そう 」

「こんな時間に学校へ行くんですか?」

そろそろ21時になろうかという頃。その上、

まるで島全体が露天サウナにでもなったかと思える

蒸し暑い夜に歩きで出掛けるのは気が進まない。

「学校か、確かにこれから向かうのは学校の施設だけど、

本校舎というわけではないぞ」

「どういうことですか?」

いい質問だと言わんばかりに鼻をならし、微笑する会長。

「第二生徒会は独立した施設を構えていてね。

もっとも、学校……校舎から遠いのがネックなんだ」

「具体的にはどこに、その施設があるんですか?」

「真崎君だったな、君はこの寮に来てから外に

出掛けてみたことはあるかい?」

引きこもりじゃあるまいしと反論しかけたが、

夏休み半分くらいを自室で過ごした事が脳裏によぎった。

「俺も香織……神坂も大抵は自室で過ごしてました」

「だろうな、君たちはこちらの気候を考慮しても肌が薄い」

「はあ」

「これは僕の勝手な予想なんだが、君たちは出掛ける時、

この第三寮の南西。つまりは校舎と駅がある方向にしか

行ったことが無いんじゃないかい?」

言われてみれば確かにそうだ、出掛けるときは

大抵地下鉄を利用していたし、それ以外に交通手段は無かった。

「確かにそうです」

「なら丁度良い、これから行くのは北西部。君たちが

まだ行ったことのない所だ」

北西部どころか寮を出るときは駅のある反対方角に

しかいったこともないし、そこの風景しか記憶にない。

「ところで彼女、寝不足かい?」

「ははは……」

乾いた笑い声がでしか返事をできなかった。

俺たちは扉1つ隔てた隣同士に住んでいるので

お互いに行き来も容易にできる、むしろ廊下にでる扉は

香織の所にしかないのでいやでも毎日顔をあわせている。なので、

香織がなぜここまで睡魔に憑り付かれているのかもよくわかる。

いわば自業自得なのだが、香織は3日間徹夜するという

謎のチャレンジを、特に差し迫ってやることもないのに始めたのだ。

そして今日が3日目、眠いのも当然だ。

「さて、そろそろ移動しようか。彼女、早いとこ起こしてあげな」


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