第4話 ある日森の中熊さんに出会ったとさ
はい4話です。少し遅れました。まぁ、年末でだらけていたのが理由でしょう。何気にディスガイアにはまってしまった…後悔はしているが、反省はしていない。気がついたらなんか変な所で文章が切れていたりしていたので直しました。メモ帳で起こる現象だった。これからワードに一回写してから投稿しよう。
青い空には雲一つなく、太陽がさんさんと照るある日の朝のこと。街近くの森林には二つの人影が動いていた。
第4話 ある日森の中熊さんに出会ったとさ
「ほらほら!ぼさっとしてないで動かんか!」
木刀を横に一閃しながら、どこからそんな声が出るのかと聞きたくなるくらいの声を発するラーガス。
「うっせーな、この爺!」
必死にその一撃を自分の木刀で遮る。
「ふん、軽いわ!」
木刀同士がぶつかった瞬間ラーガスがリヒトの木刀を上に弾く。それに伴いリヒトの腕も上にはじかれボディががら空きになる。ラーガスはすかさず懐に入りリヒトの腹を殴り飛ばす。ここで鳩尾を殴らないのは彼の優しさだろうか?いや、違うだろう。
しかし、リヒトもその拳に合わせ少し後ろに飛び衝撃を和らげる。師の拳によって飛ばされるリヒト。空中で一回転してから見事着地し、その直後にラーガスに向かっておおよそ人間が走る速さでないスピードで駆ける。
「甘いわ!」
その軌道を先読みし木刀で鋭い突きをくりだす。しかし、リヒトもそれを喰らうほど愚かでなく、自分の木刀で突きの軌道を逸らしながら進み、肘をラーガスの鳩尾に入れる。その一撃はラーガスにダメージを与えるだろうと思っていたリヒトは気を少し、ほんの少し緩める。しかし、それは大きな間違えであった。
「甘いと言っているだろうが!」
その一撃を受けても尚ラーガスは止まることなく、突きをした腕を横に振りリヒトの顔側面を強打し吹き飛ばす。
「ぐぅ」
地面を数回転がり片腕をつきながら体を立たせるが、先ほどの一撃が脳を揺らし並行感覚を狂わせる。その目はいつものリヒトと違い、鋭く殺気が篭っていた。
「ふん、油断しおって」
すでにラーガスは木刀をしまい帰る支度をしている。
「ほれ」
そう言ってラーガスが持ってきた鞄から水筒をリヒトに投げる。宙を回転しながらリヒトの手に収まった頃にはすでにラーガスは帰路についていた。
水筒を傾け飲もうとするリヒトたがその瞬間固まる。落ちてこないのだ、一雫も。要するに、水筒は空であった。
「空じゃねぇかよ!」
そして水筒を地面に叩きつけようとするリヒト。だが水筒はそれ以外ないので思いとどまる。
「あの…糞爺がぁぁあ!」
やり場のない怒りは声として放出される。数秒の間声を出し、その後肩をがくっと落とした。
「はぁ……」
その口から幸運が逃げていった。
「お前、そろそろ討伐系の依頼を受けろ」
家に戻ったリヒトに放たれた言葉であった。
「は?湧いたか爺?」
既に朝の訓練で疲れている体を椅子に預けるリヒト。
「お前ギルド行き始めてから採取とか猫探ししか受けていないだろう。そろそろ討伐系に手を出せ。そっちのほうが報酬が良い」
最後が本音だろう、とリヒトは考えているが、事実討伐系の依頼のほうが格段に報酬が良い。しかし、その分経費というべきか、戦闘の後の武器の手入れなどで報酬は4分の1ほど消えてしまう。リスクも大きい。
一瞬考える素振りを見せたリヒトは「そうだなー」とやる気の無い返事をしながら自室に戻り外出の用意をするのだった。
そして所変わってギルドの掲示板前。
「討伐系の依頼っと」
いつも見ている箇所とは違う箇所を眺めているリヒトがいた。
「『ウルフ討伐』『ゴブリン討伐』『スライム討伐』それに……『人食い熊緊急討伐』ないな。うん、ないない」
最後のは選択肢に入らないという風に手をひらひらさせる。
「んー…」
そして他の3つの選択肢で悩むリヒト。
ウルフとは字のとおり狼である。しかし、その牙には毒があり、昔はウルフの牙を鏃に使い狩猟をしたとか。ゴブリンは見た目は緑色の小人だ。人間のように手足があるから武器を使うことが多いが、頭が悪いので弓で殴ったり、とそんなレベルだ。そしてなにより臭い。討伐したがる人はそこまでいないだろう。スライムは未だ解明されない生命体であったりする。流動体のその体は打撃と斬撃を無効かするという効果を持つ。だから、必然的に魔術に通ずる者しか倒せないのだ。
ということで、選択肢もあってないような物であり、仕方なく『ウルフ討伐』の依頼を受けることにしたリヒトであった。
「あ、リヒトさん」
カウンターに報告しに行こうとする途中、リヒトの所に歩いてきたユカナに話しかけられる。しかし、気になるのはユカナと共にきた男である。なにもしないところを見るとユカナに害はないようだが。
「おぉ、ユカナじゃないか。どうしたんだ?」
態々こちらに寄って来てまで話すことでもあるのだろうか、と思い問うリヒト。
「いえ、見掛けたので声をかけただけですよ」
果たしてそんな理由でリヒトに話かけた人は何人いるだろうか。答えは零だが。
「おぉ、そうか。じゃあ、俺も声をかけられたから返しただけだ」
「ふふ、そうですね」
ユカナだが、何気にリヒトとの軽い会話が好みのようである。
「じゃ、俺今から依頼受けるから。また、後でな」
そう言って、別れようとするとユカナに引き止められる。
「あの…またご一緒しても、い、いいですか?」
自己主張が苦手なのか、「いいですか」のところを少し噛み気味である。
「あぁ…」
少し考えるリヒト。
(今回は『ウルフ討伐』だ。しかし、こいつのペットのモフモフ、ではなく狼も狼だよな?ってことは仲間同士なのか?これっていいのか?どうなんだ?)
「けど、今回の討伐対象はウルフだぞ?いいのか?」
念のため聞いてみる。珍しく、少し遠慮がちなリヒトだ。
「え?何かいけないんですか?」
もうなんのことを言っているのかわからないと言ったふうなユカナである。首を傾げているところは可愛らしい。
「いや、だから。お前の狼「ギンです」ギンも狼だろ?」
ギンを遠慮がちに指さしながら、遂に言ってしまった。
「へ?それがどうしたんですか?」
しかし、一刀両断された。ユカナのなかではギンとウルフは別物らしい。
「あぁ…そう。なら、いいよ。今から報告しに行くから一緒に行こう」
そう言ってまたカウンターに向かおうとするが、本日二度目の妨害である。いや、ユカナのを妨害と言うかは微妙なので、本日初めての妨害である。
「おい」
空気と化していたユカナと共に来た男である。
「あ?なんだよ?」
その男、坊主であった。肌の色は褐色、肩幅はそこまで広くないが筋肉質でがたいが良い。身長はリヒトより多角180サンチはありそうだ。
「ユカナちゃんと話してたのは俺だぜ?途中から入ってくんなや」
その台詞にリヒトは驚愕する。こんなkとお現実にありえるのか…と。
「ブハッ」
そうして、思わず吹いてしまったのであった。
(いや、まぁ確かにユカナは可愛いけどさ。惚れたのかこの男。惚れたんだな?惚れたんだろ!)
心のなかで連呼している事実に気付いていないのはユカナ本人だけであった。
「おまっ!」
男はリヒトが笑ったことに当然怒る。しかし、それでもリヒトは笑うのをやめない。終いには近くにあった机をバンバン叩き笑い転げる勢いであった。
「この!」
リヒトを捕まえようとするが、ひらりとそれを躱し、リヒトは器用にカウンターに付く。そして、いつも通りそこにいるアリア。
「おいおい、アリアぁー。見ろよ、あれは完全にぐふっ!?」
しかしセリフの途中で頭にチョップをもらうのであった。当然、アリアから。
「ギルド内ではお静かにお願いします」
その一言と一撃でリヒトのテンションメーターはがくっと下がっていった。もうマイナスに入ったかもしれない。
「いたー……これは慰謝料を「なんですか?」なんでもないですよ?今日も美しいアリアでいてくれて俺はとっても嬉しいよ」
セリフの途中でかたチョップをする動作をしはじめたアリアには逆らえないリヒトだった。
「今日も厳しいの間違えでしょう?まったくリヒト様は馬鹿ですね」
容赦がないこの受付嬢。
「この人今馬鹿って言ったよ!?しかも、自分が厳しいの自覚してるし!そこが天然でやってればまだ可愛いのになあ゛っ!」
今度はチョップではなくビンタでお仕置きされるリヒトであった。いつも通り、懲りない男である。
「で、ご要件はなんでしょうか、お馬鹿なリヒト様?」
もうこのまま『馬鹿』がリヒトの二つなあたりに固定されるのではないだろうか?
「きょ、今日は『ウルフ討伐』のクエストを。Fの46です……」
ビンタの衝撃から復活するリヒトは今にも意識を手放してしまいそうな弱々しい声をあげるが、当然アリアはまったく気にしない。
そして、用紙を裏から持ってくるアリア。
「あ、ユカナと二人だからパーティー用紙ねー」
気にしていないことに気付いたリヒトは通常の口調に戻す。
「そういうことは最初に言ってください」
氷のように冷たい目でリヒトを睨むアリア。
「すいませんでした」
カウンターの下で彼は土下座していた。アリアには見えていなかったが。
そうして、ユカナの分の名前もリヒトが記入し、さぁ行こうという雰囲気のところである。
「おい、待てや!」
あの男である。
「ちっ。この勢いで振り切れると思っていたのに、しつこい…」
思考がダダ漏れのリヒトであった。
「こんの「おい、ガロン!行くぞ!」ちっ!」
そうして男、ガロンは違う男に呼ばれどこかへ行くのだった。
そうして、再び、さぁ行こうという感じだったのだが。
「リヒト様お待ちください」
今度はアリアである。
「なんだ、お前らは…俺の邪魔をするのが趣味なのか?」
恨めしそうにアリアを見るリヒトと苦笑いするユカナであった。
「それは大変面白そうですが「ひどいよこの人!」 黙ってください「すいません…」 今日は注意が一つあります」
「注意ですか?」
こういう真面目なことはすべてユカナに任せてほおけているリヒト。ギルドの窓から青い空を見上げるのであった。
「はい、ただいまあちらに行ってしまった男性、ガロン様と言うのですが。ガロン様が受けている依頼が『人食い熊』の討伐依頼です」
人食い熊。字のごとく、人を食う熊である。
「人食い熊ぁ?んな、恐ろしいのがいんのかよ」
リヒトが俄然やる気をなくしたように項垂れる。
「はい、グリズリーの突然変異種だと思われます。まぁ、出現報告のあった方角と南西の森ですから。リヒト様たちが行かれるのは森でも北東の方角。一応注意しただけです」
まぁ、方角が違うからと言って、万が一のことを考えると、知っているのと知っていないのとでは状況が違うだろう。
「はーい、注意しておきまーす」
「ありがとうございましたアリアさん」
もう、話を聞き飽きたという風に間延びした答えをし、ギルドの出口に向かうリヒト。丁寧にお辞儀をするユカナ。そして、遠くからリヒトを睨むガロンであった。
そうして、街の外に出ていくために東の門のほうに向けて歩を始める二人。相変わらず街は活気に満ちている。買い物をする奥様方。力仕事をする男たち。遊びまわる子供たち。それを見てリヒトは笑っているのであった。
「どうしたんですか、ずっと笑って?」
普通は、何もないのに笑っていたら怪しいのだが、ユカナは良くも悪くも少し常識がかけているので気付かないのであった。
「いやー、平和でいいねーと思ってな」
剣を腰にぶら下げながら言う台詞ではないと思うけどねー、と付け足す。
「そうですね、平和が一番です」
(お前も狼連れながら言う台詞ではないがな)
心の中だけで言うリヒトであった。
「話変わるけどユカナ、お前なんで行き成り俺の依頼に同行しようと思ったんだ?」
ふと思い出したので聞いてみるリヒト。
「えぇとですね…」
言うのが恥ずかしいのか、頬を赤らめているユカナ。
「私、男の人って苦手なんです…」
「おい、俺は男だぞ」
即座に返事を返すリヒト。
「いえ、リヒトさんは大丈夫なんですよ。でも、その…」
少しの間が空く。ちなみにこの間も歩いている。
「少し怖かったんです…ずっと話しかけてくるし」
「あちゃー…」
どのようにガロンが迫っていたのか知らないリヒトだが、その光景が思い浮かべれたようであった。しつこい男は嫌われると言ったのはどこの誰だか知らないが、概ね間違ってはいないのではないだろうか?
「ま、いいか」
そして、次の瞬間ガロンへの同情もどこかに消えていた。
「そういえばリヒトさん、剣士だったんですか?てっきりナイフしか持ってないのかと思ってました」
そういって、腰にぶら下がっている剣を指さす。
「あぁ、いつもは持ってないんだけどね。今日は元々討伐系をやろうと思ってたから。でも、オンボロだぜ。そういうお前はなんなの?」
そう言って、少し刃を見せるリヒト。
「私は獣使いですよ」
獣使いとは、また字のごとく『獣』を『使う』人々のことである。しかし、あまり有名でない。その理由として、自分で戦わないのが性に合わないなどがあるが、一番大きいのはその適正だろう。前提として動物に懐かれなければいけないし、その動物と意思の疎通もできなければいけない。
「獣使いねー」
そうしてギンに視線を向ける。当然、この場合ギンはユカナの相棒である。
「あ、後魔術も使えますよ」
「魔術ねー…俺には分からんね。あれだろ?精霊に呼びかけてどうちゃらこうちゃらーみたいな」
精霊とは具現化された自然。ということはリヒトは知らないが、知らないから使えない…という訳ではない、ということをユカナが知る故はなかった。
「どうちゃらこうちゃらじゃありませんよ。私たちの魔力を精霊に分け与えることで精霊の力を貸してもらっているんですから」
精霊とは貸し借りの関係である。普段精霊は魔力をもたない状態だ、他人から魔力をもらうことで精霊たちは力を行使できる。
「あぁ、俺には難しくてわからんよ」
もう聞きたくないと嘆く。
「もう…」
魔術を使う者としてはちゃんと理解してほしいのか少し不満そうなユカナ。
そうして、雑談をしながら歩いて1時間程度で北東の森に着いたのであった。森と言っても人はちゃんと通るので道もある。しかし、当然のこと魔物が道に出るわけもなく、二人は道なき道を歩んでいた。
「やっと着いたー」
よっこらせ、とそこらへんの岩に腰を下ろすリヒト。
「リヒトさん何を休んでいるんですか。早く終わらせましょうよ」
しかし、それを良しとしないユカナ。
「えぇー、ちょっと疲れたから休憩にしようぜー」
駄々をこねるリヒトとそれを引っ張ろうとするユカナ。そして過ぎていく時間。
結局、リヒトを動かすのは無理だろうと判断したユカナもリヒトの傍に腰を下ろし休憩することになった。穏やかな時間が過ぎる。しかし忘れないで欲しい、彼ら討伐依頼の真っ最中である。
風で木葉が揺れ、こすれる音がする。鳥達が鳴き、空を飛ぶ。それは、本当に穏やかな一時であった。
「お…」
そんな中、リヒトが何かに気付いたらしく行き成り腰を上げ立ち上がる。
「来たみたいだぞ」
そうして、自分の腰にぶら下がっている剣を鞘から抜き片手で構える。見た目オンボロの剣である。事実オンボロである。
そうして待つこと数秒、森の奥のほうから獣の足音が聞こえてくる。数は5匹程度。あの、ほとんど音を邪魔することのない環境でこそ聞こえてくる音だが、如何せんリヒトの聴力は良く鍛えられている。
「じゃ、お先」
そう言って我先とその方向に走っていってしまうリヒト。
「え」
展開の速さについていけず置いてきぼりのユカナ。しかし、数秒後復活しギンの助けを借りリヒトの後を追いかける。
ウルフ達と相対したのは森の開けた場所であった。予想と違い、ウルフ達が6匹だったがそこまでの問題じゃないだろう。
リヒトはまず一番近くにいたウルフに牽制のために剣を首にめがけて振るうが、予想外にウルフ達が遅いのかリヒトが速いのか、牽制ではなく一太刀で殺してしまった。
「ギンお願い」
遅れてやってきたユカナはギンに一声かける。ギンはその一声に反応し、一吠え上げると目にも止まらない速度で駆け、1匹ウルフの首に噛み付き首骨を砕く。
「わお、っと!」
それを見たリヒトは一瞬驚くが次の瞬間ウルフが飛びかかってくたのでそれを迎撃するために剣を振るう。またそれが偶然にもウルフのがら空きの首に一閃、血飛沫が舞い変な鳴き声と主に着地したウルフは立ち上がることはなかった。
「風よ」
ユカナの周りに風が漂う。
「ウィンドカッター」
それから一瞬、ユカナの周りに漂うだけであった風たちが方向性と速度を持ってウルフ達に襲いかかる。風の刃と化した魔術はウルフ達の肉を裂き、命を絶つ。
最後の1匹をギンが噛み殺した頃には広場は血で満ちていた。全部ウルフ達のものだが。そこにどこから取ってきたのか花を添えるユカナ。
「何してんだ?」
不思議そうに尋ねるリヒトは、息切れもしておらず、それどころか汗もかいていない。ついさっき戦闘していた人物とは思えない。
「私達は依頼だったとは言え…命を殺してしまったのですから。お祈りです」
依頼で殺してしまった命にすらどこかすまない思いを持てるユカナは、今さっき魔術を行使した人物とは別人に見えるだろう。彼女は理解しているのだ。魔術とは便利であるが、時にしてそれは大きな力として命を絶つ。それを知った上で、覚悟を持っているのだ。
しかし、リヒトには理解できなかった。
なぜそこまで死に対して感じるのか。
なぜ自分で絶ってしまった命を気にするのか。
リヒトにとって死とは彼に近しいものであった。彼を記憶を辿ると死とは彼の隣人であった。いつも彼の隣にには死が佇んでいた。死は彼の『友人』であり『親』であり『敵』であった。彼は死から生きることを学び。死と友人となり人を殺し、死なないためにそれに歯向かった。
「そうか」
故に彼は死に何も感じない。なぜ、死んだかなど彼には些細な事だ。弱いから死んだ。ただ、その事実だけが彼にやってくる。
彼は理解していた。彼女は自分とは違う、と。今までを平和に過ごし、普通に友人を作り、普通の家族に囲まれ普通に生活してきたのだと。自分は違うと。
討伐した証拠にウルフの毛皮をウルフ達から同じ部位を少し剥ぎ取っていく。ユカナは意外なことにこういうことは上手であった。
「村ではよく狩りをしていましたから」
が理由らしい。彼女の、思想は狩りが多かった村の習慣か何かだろう。
そうして、さあ帰ろうと思い立った矢先である。
リヒトが自分とユカナの違いについて思いふけっていたのか、気付いていなかった。
ユカナとてこんなことが起こるとは思っていなかった。
ギンはその場に充満する血の臭いに邪魔されていた。
そう、そこには大きな熊さんがいたとさ。
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