名はユーガ!
乗った男の体重の分、ベッドが軋んだ。
「ちょ……」
抗議の声を上げようとするが、それをする前に男は笑顔でこう言った。
「僕の事はユーガって呼んでね」
ど・う・で・も・い・い・わ! それよりも問題なのは目の前の男・ユーガがじりじりと迫って来ている事だ。逃げようとベッドの上で後ずさろうとするが……後が無い。
「な、何?」
「ん~、奈々ちゃんがあまりにも可愛いから。もっと間近で顔を見たくなっちゃって」
そう言うと、私の顔に手を掛け上を向かせる。
この時初めて私はユーガの顔をはっきりと見た。すると意外な事に、どうやら私と同い年くらいに見えた。
「……」
「……どうしたの? あ! もしかして僕が男前すぎて見惚れちゃった!?」
すっごく否定したい。けれど残念な事に、ユーガは……美形だった。しかしまぁ、それ以上に怪しいのだけども……。
そう考えている間にユーガは顔を近づけてくる。
「や、やだ」
反射的に顔を背けて、両手で胸を押した。
「ハハハッ。可愛い抵抗だね」
抵抗が抵抗の意味をなさず、逆に思いきり抱き寄せられた。吐息が掛かるほどの距離に私は声も出ない。再び顔を近づけてきたユーガに、もうだめだと思った……しかし……。
バァンッッ!
乾いた音を立てて部屋の扉が開いた。
「ユーガ! てめぇまた女攫って来たんだって!?」
扉の前には平均より身長の高い男の人が立っていた。