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愛援奇縁  作者: 七賀ごふん


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5/9

#5



不意に頬を撫でられる。

「久宜さんって笑うとすごく可愛い。よく言われません?」

「だから、歳上をからかうなよ。あとその台詞はそのまま返す」

「なるほど。それは喜んでいいのかな?」

「どうぞお好きに」

とんとんと会話を転がし、視線をそらす。

ウイスキーの甘い部分だけを抽出してるみたいだ。口の中がいやに甘ったるい。


彼が隣にいると緊張が解れて、心地良い。

おかしいな。会って二日目でこんなん……。


頭も体もとけそうで、その日は逃げるように帰った。



次の日、またその次の日も、青年は現れた。ぶっちゃけ大学や就活は大丈夫なのか心配だった。何度も無理やり帰そうとしたけど、ジャンケンで毎回負けてしまう。どうも俺が繰り出すパターンを熟知してるらしい。


「今日は久宜さんが帰ったらどうですか? 顔すこい真っ赤ですよ……何杯飲んだんですか」

「え……ウッ」


週末ということで調子に乗った。依頼の報酬も良かったので、いつもより多く飲んでしまった。

「君もたまには飲みなよ。心配しなくても奢ってやるから。この優しく偉大な久宜お兄さんが……」

「僕はいいから、それより水飲んでください。絶対酔ってるでしょ」

「酔ってない。俺がほんとに酔ってたのはガラス戸が見えなくて突き破ったとき……」

「カラスじゃないですか」

言ってる途中だったけど、強引に水を飲まされた。喉を通る水も、頬に触れる手もひんやり気持ちいい。……はるか昔にも誰かとこうして触れ合った気がするけど、よく思い出せなかった。

青年は何故か辛そうな顔で前に屈む。


「久宜さん、俺を見てよ。俺の運命の人はここにいる?」


近くの階段に二人でしゃがみこみ、見つめ合う。あれだけうるさい音楽と歓声が、まるで耳に入らない。

吐き気と頭痛に耐えながら、彼とホールを交互に見る。やはり彼の糸が見えないから、相性を見ることもできない。


泣きそうな顔をしてるのに、申し訳ない。でも嘘は絶対につけない。

口を噤むと、彼は俺の肩に頭を乗せ、ぽつりと零した。


「久宜兄ちゃん」




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