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オススメの本

「この小説を読んでみてよ。叙述トリックが好きな君にオススメだよ。絶対に驚くから」


「いやいや、勧め方! それだと、叙述トリックがあるんだなあ、ってバレバレだし。いざ種明かしされても、ハイハイ、出てきた出てきた、ってなって、全然驚けないよ」


 文句を言って笑いながらも、ページをパラパラとめくり、簡単に中を確認する。


「ふうん、登場人物が全員イニシャルなんだね。面白そう。読んでみる」



――数日後、彼女は本を読み終えて言った。


「本当に驚いた。めっちゃ驚いた」


 彼女に渡したその本は、僕が自作したものだった。僕たちのことが書かれた、世界にたった一つだけの本だった。

 そして、物語は主人公の僕がヒロインの彼女にプロポーズして終わっている。返事はまだ書かれていない。


「でも、叙述トリックはなかったじゃん」


「あれ? 叙述トリックがあるなんて言った? 叙述トリックが好きな君に『オススメ』って言っただけだよ。それに驚いてくれたでしょ?」


 彼女は「確かに」と言って、頷いた。


「面白い本を紹介してくれたお礼に、私もこの本を紹介してあげる。ハッピーエンドが好きな君にオススメだよ」


 そう言って、本を返してくれた。

 中を確認すると、最後に一行だけ書き足されていた。


『彼女は「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」と言って、笑顔を見せた。』

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