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不吉な予感
黒猫はとっても怒っていた。
「こんなにも可愛いボクを見て、『不吉だ』なんて言うやつがいるのはどういうことなの? 断固抗議しなきゃダメだ!」
黒猫の呼びかけに応えて、カラス、突然切れた下駄の鼻緒、ひとりでに割れたお茶碗など、不当にも「不吉」とされている仲間たちが集まった。
それから数日が経ち、「集会どうだった? どんなことを話し合ったの?」と尋ねられ、黒猫は肩をすくめて言った。
「最初はみんなお互いを見合って、少し気まずそうに当たり障りのない挨拶をしているだけだったんだけど……ちょっとして誰かがぽつりと『なんか嫌な予感がする。不吉なことが起きそうだ』って呟いたんだ。そしたら、一瞬で水を打ったように静かになって……気付いたらもう誰もいなかった」




