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推理ショー

「犯人はお前だ!」


 私は男をまっすぐに指さした。

 壁にもたれて余裕しゃくしゃくとした様子で腕を組んでいた男はビクッと体を震わせて、驚いたようにこちらを見た。

 ふふ、犯罪を見破られて驚いているようだな。


「へえ。私が犯人だ、っていうんですか? 何か証拠でもあるんですか?」


 ニヤニヤしながら、私の指さした男の手前のソファーに座って足を組んでいた女が立ち上がってそう言った。


 そうかあ。私は奥にいる男を指さしたつもりだったが、女からすれば、自分の後ろの奥に男がいるなんてわからないもんな。


「そもそも、密室の謎も何一つ解けていないじゃないですか。それはどう説明するんです? そんなんで私を犯人呼ばわりなんて、ちゃんちゃら可笑しいですよ」


 勢いに押されて何も言えない。

 心の中では必死に、違う、違う、お前じゃない、お前じゃない、と訴えていたが、そうとは知るよしもない女はお構いなしに話を続ける。


「それにね、私にはアリバイがあるんです。ねえ、そうですよね、みなさん」


 そう言って、みんなの顔を見ていく。

 みんなおずおずと頷いた。


 一方、壁にもたれていた奥の男は「ああ、そういうことか。俺を指さしてたんじゃないんだな」という感じで、先ほどの驚いた様子から一転、完全に落ち着きを取り戻し、犯人が見つかったことによる安堵の表情を浮かべて、成り行きを見守っていた。


 どうしよう。密室トリックの推理も自信がなくなってきた。

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