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蘇生魔術と空間管理者たち  作者: なー
黒羽の視点
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逃走の果てに

黒羽視点。

本人の心情を表すような闇、すなわち開闢空間。

そこを、高速で連続転移している法術師がそこにいた。


逃げる。絶対的な力から逃げる。

頭が裂けそうになって、視界が赤く染まる。

限界以上、かつ非正規の空間操作によって脳が限界を迎えつつある。


それでも、逃げ続ける。

やがて、無意識的に、基底世界にたどり着いた。

瞬間、胸の奥で何かがふっと緩んだ。

次の鼓動が、なかなか来ない。


その後、限界を迎えた精神と体が、いうことを聞かなくなって、音が遠ざかる。

視界の端から色が抜けていき、灰色の縁がじわじわと中央を侵食する。

あ、これ……落ちる。


耳の奥で、最後の心拍だけが鈍い鐘のように響く。


誰かの足音が近づく気配がした。

「……」


声にならない呻き。それは助けを求めていたのか、その逆か。

……それを考える前に意識を手放した。

◇◇

……誰か倒れてる。

空間歪曲を確認したから野次馬兼、空間修復に出張ったら人が倒れていた。


第2広域空間群・第2空間。呪詛システムを試験導入した空間の哨戒中だった。


呪詛システム。胞構造君臨派……基底世界の文明に法術師を説明、

協力しようぜと主張する勢力に対する折衷案。

基底世界文明に我々法術師への恐怖を覚えられても困るから、

まず共通敵を用意しようというプロジェクト。


これによって空間法則の乱れが予想されているため、俺を含め、この空間の法術師は空間修復に出張っていた。

ああ、もちろん、広域空間管理者、白洲は承認済みだ。


最近はこれしかしてない。システム異常に対処する力がある白洲への報告しかしてないから退屈だ。


まあいい。


ええと?まず観察。


状態と意識レベル確認。

傷病者:男性

年齢:20代程度

出血:なし

脳内応答:なし

意識レベル:失神状態


うん。なんもわからん。


読心術。2型。透過魔力注入開始。

思考の解析ではなく、組織を解析する。

どれどれ?


脳出血:なし

BMIを確認。

BMI:オンライン

透過魔力に抵抗確認。

魔力応答:あり

推定魔力レベル:法術師・1級


は?法術師が?どうしてぶっ倒れてるんだ。

いや、解析を続行。


血中に向精神薬を検知。

自律神経の過反応を検知。


血圧:58 / 35 mmHg

心拍:47 bpm


昏倒の原因は強い精神ストレス・痛み・過負荷刺激が原因と断定。

原因推測……空間開闢術式の行使による演算過負荷。


……目がおかしくなったかな?

1級法術師が空間開闢術式を行使って見えたが。

しれっと薬物依存してるし。


再確認。変わんねえ。


久しぶりのたのしい医療行為をしてみたらこれだ。

……訳ありかよ。法術師が倒れてんのは怪しいと思ったが。


まあいいや。寝れば治るだろ。いろいろ聞いてやべー奴だったら法術師連合に突き出してやる。


◇◇


拠点に持ち帰る。とりあえず看病してやる。拾った縁だ。


が、まず。

向精神薬分解酵素生成。転移投与。

いや、解決はしないけどな。こびりついた依存性は簡単に消えない。

一旦これで正気に戻れ。


水分やらATPやらを静脈に転移投与。材料は俺の体内からでいいか?いいや。

看病していると目を覚ました。


「目が覚めたか?」


「……ここは?」


「第2広域空間群・第2空間・基底世界・準空間管理者の拠点」


「準空間管理者……」


「なんだ?不都合か?まあお前訳ありっぽいもんな。

まず説明しろ……あー、やっぱいい。読心術で見る」


《読心術》1型2型複合。

眼球の生体再構成。網膜感度を上げる。漏出した思考電場を観測。

透過魔力注入。脳組織を解析。

これらを平行。内外から彼の状況を看破する。


見えた。ニューラルネットワーク取得。解析。

解析レベル最大。映像記憶、感覚記憶、思考記憶を解析。


非正規で習得した空間操作術式の知識を確認。

……全くなぜ。執念か?神坂の追跡を受けても諦められない何かがあるのか?


……。

名前は黒羽蘇芳。神坂から逃走中。第1広域空間群・第12空間所属。基底世界文明・ADRIへの攻撃を企図。

めんど。よりによって神坂の追跡を受けているのは笑う。

本人もこの段階で交戦するのは予定外みたいだったが。


「あー。空間管理者REFに報告」

黒羽の目に絶望が宿る。

いや。ここで通報はしないさ。


「諸事情により空間修復業務から外れる」

事情を伏せて、業務離脱を宣言する。

はー。こいつもこいつで悲劇抱えてんな。メンタルケアしてやる。


いい加減、黒羽の目に向き合う。

「で、どうしたいんだお前」


「報復したい奴らがいる」

「知ってる。が、一回敗けて頭冷えただろう」


「……いや、俺は諦められない」

「神坂に追われてもか」


「……ああ」

「で?目的は?誰かの弔いか?専守防衛か?」


「……」

「根鈴も蘇生された、法術師がADRIに拉致されたのも救出済み。

なら自己満足か?」

じっと目を覗き込む。


だが黒羽は黙っている。おそらく本人もどうしたいか見失っている。

過去の記憶まで看破したが、こいつの懸念はすべて対処されている。

消化不良だろう。気持ちは分かる……か?

「感情が納得しないか。神坂に打ち負かされて」


「なら聞く。何をどうしたい?」

「……わからない。ただ、このまま終わりたくない。」


「なら、手段を目的にするか?」

「どういうことだ?」


「神坂への反逆を最終目的にするんだよ。

楽しもうぜ?」


内心揺らいでるな?俺の誘惑に。

そうと決まれば、だ。

ああ、黒羽の同意はとらん。どうせ答えは出ないだろ。


「さて、まずは、反乱軍を集めますかね。

その前に自己紹介だ。

俺は第2広域空間群・第2空間・準空間管理者・南下 彊。

そっちは?看破しているが、まあ、腹を割って話そう」


「第1広域空間群・第12空間所属・1級法術師・黒羽蘇芳。

……助けてもらって感謝する。巻き込んでもいいのか?」


おお、コミュニケーションしてる感じだ。

この状況で感謝を口にするとは、やべー奴ではなさそうだ。


「ああ。助けた縁だよ。……法術師は趣味に乏しいからな」


「俺の鬱憤は趣味で手助けされるのか……。

まあ、贅沢は言えないか」


「さて、作戦会議だ。

糸代 総。三淵 。古俣 。来い」

周囲を哨戒中の部下……というわけでもないが。3人に量子通信。


やがて、3人が転移してくる。

空間管理にて出会った、普段退屈感を共有している3人だ。


紹介しよう。


得意分野は糸代は精神干渉。三淵が光学操作。古俣が並列思考、情報処理。

得意技はそれぞれ、マインドコントロール、幻影術式、オールレンジ攻撃制御。


ああ、ちなみに俺は読心領域の広範囲展開。とそれによる索敵だ。


「こんなところにいたのかよ、水臭いなー」


糸代の言葉と、その他二人の視線が突き刺さる。

水臭いとまでは言わなくとも、何してる?という感情を感じる。


「いいんだよ。管理者には報告済みだ。

それより、退屈しのぎにちょうどいい訳ありがやってきたぞ」


◇◇

糸代「で?南下さんよ。そいつは?南下の弟子か?ついにとったのか」

まあ、黒羽のことは聞いてくるよな。……まあ弟子か?弟子か。


南下「……みたいなもんだな」

三淵「空間管理から急に離脱しちゃって管理者激おこだぞ」


REFが激おこらしい。の割に事情徴収に来ないな?

南下「怖。どんな雰囲気だった?というか直接ここに来ないのか?」


三淵「呪詛システムの見直し中だよ。

伝言。“後で聞くから覚悟しておけ”」


南下「いい感じの言い方ないかな。お前らも考えてくんね?」


古俣「どう言えと。むしろ私たちも説明受けたいんだけど?」

糸代「南下の“はじめての弟子♡”との馴れ初めも含めてな」

三淵「言い方よ」


ああ……確かに……。言い方はともかく説明しないとな。

南下「全員に記憶情報を送信する。表象データ形式。1.2GB/s。合計18GB。

合図で送る。3、2、1……」


かくかくしかじか(15秒)。説明する。

表象データ送信でだけど。

三人のBMI、拡張脳に電波送信。


三淵「だいたい分かったが……。手を貸す義理ある?」


古俣「むしろ神坂たちと戦うって、反乱じゃん」


南下「でも、面白いじゃん?弟子を想って法術師連合の理念にただ一人で反発する漢だぞ」


糸代「漢?漢かなあ……。漢か。

よっ!かっこいいぞ黒羽」


古俣「一途だねえ」


三淵「まあ、退屈しのぎになりそうなのは分かった。

というかなるね、これ」


黒羽「……。否定しても面倒そうだな」


糸代「お、もう毒されてるじゃん」


なんか、黒羽の口角が上がってるな?どれどれ突いてみるか。

南下「仲間ができて嬉しそうだな」

明らかに動揺してる。


黒羽の耳元で糸代が囁く。

糸代「しかし、この笑みが悲劇の幕開けだということに、

ここのだれ一人も気づかなかったぁ……」


三淵「ナレーションやめろ。しかもよく聞いたら俺たち敗けるの確定じゃねーか」

南下「フラグ建てるな。みんなで折るぞ。特に黒羽、絶対に笑うな」


その一言が決起となったかのように黒羽は声を出して苦笑してしまう。


◇◇


南下「さあ。方針を決めよう」


古俣「いよいよ反乱かぁ」


糸代「で、どうする……の前に。REFはどうするんだ?」


三淵「こっちの管理者と向こうの管理者が壁なんだよな」


黒羽「勝てるのか?」


南下「そこでお前だ。空間開闢できるだろ。

異空間で要塞を作る」


古俣「まあ、攻めるより守りのほうが有利とは言うけど」


糸代「THE・ガッチガチ。防御一辺倒で行くのか」


三淵「REF辺りはぎりぎり引き込めないかね。現状不利すぎ」


南下「まあ、それが楽しい……いや、ちゃんと考えるか」


黒羽「真面目にしてくれないか?死ぬぞアンタら」


三淵「それはそう」


古俣「……さて。早速第1関門だ。空間歪曲を確認。空間管理者REFが転移してくるぞ。」

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