糸代の洗脳の正体
糸代視点。
要塞建設前時点。
場にいる人物は糸代と黒羽。
「俺は──まだ迷っている。
反乱そのものを目的にするということでとりあえず納得はしているんだ。
でも本当にこのまま進んでいいのか?
神坂や根鈴を殺してまでしたいものか?
だが、南下には拾われた恩がある。
暇つぶしと言っていたとはいえ、返せるなら返したい」
「多分ずっとこれについて考えて、迷っているだろお前」
「ああ。……たぶんこれからも考え続ける」
「ま。普段退屈しているというのはそうだ。
なんかの祭りをしたい。そのいい機会にお前がやってきたというのも否定はしない。
せいぜい、考え続けろ。」
「……」
「……わかった。ある程度意識の明晰度を奪った方がよさそうかなこれは。
せいぜい、根鈴に目覚めのキスでもしてもらえ。
その機会がなければ、まあ、説得されれば洗脳が解けるようにしてやるよ」
「……」
「始めるぞ」
……といいつつ。実際には干渉しない。
「分子オーダーベクトル操作」
──ここで黒羽に洗脳して俺が黒幕として暗躍するというほどの目的もない。
ただの暇つぶしだ。
「対象の脳組織をマーク」
それとは違ってお前はまだ戻れる。──こいつの愛しの根鈴には期待している。
「前部帯状皮質および前頭前野を捕捉。座標抽出。拡張脳にリンク」
……人格に干渉する気はない。
「組成に干渉」
餞別だ。せいぜい自分で不可逆に洗脳されたと思い込んで。
「シナプス発火を妨害」
根鈴あたりに、引き戻されろ。
「麻酔を静脈に投与」
……この表象・意図だけは洗脳が解けたら認識するようにしておくか。
以上、最終盤執筆しだい移植予定。
◇◇
──それを陰から眺める2人の影。
当然、三淵・古俣だ。
──南下は第3広域空間群に遠征中だ。
「こそこそしているから何事かと思えば」
「まあ、気持ちは分かる。あいつずっとそんなことで迷っていたのか」
「というか糸代もさあ。意地悪だよね」
「あそこまで声に出す必要ないからな」
「いかにも“こう認識してくださいね”ってかんじでさあ」
「逆に怪しいよな」
「黒羽も気づいてたりして」
「微妙だな。判断力落ちてれば察するのは無理だ」
話し声が漏れたのか、糸代の目線がこっちに向く。
──ウインク。
「カッコつけてる」
「まあ、マインドコントロールってかっこいいから……かっこいいか?」
「疑問に思っちゃってるじゃん」
「だいたい糸代が黒幕になるやつなんだよなこのパターン」
「裏ボスみたいなね」
「おい見ろよ、あいつ絶対心の奥では魔王みたいな笑い声挙げてるぞ」




