光の弾幕と第二の矢
遠方から砲撃が降り注ぐ。
その射線に橋明とLXが身を滑り込ませる。
回避した光の一部が二人に衝突する寸前、その軌跡が捻じ曲がる。
手動でのベクトル干渉、光子と荷電粒子を直接操ってこちらに偏向させてきた。
なるほど。そういう誘導方式かよ。空間管理者クラスが攻撃の補助に回るとは。
様子見か。
ああ、同士討ちは元から期待していない。向こうは空間管理者級だし。
前後から光線が殺到する。抱える根鈴はすでに恐怖におののいて目を閉じている。
いや?周囲の光学兵器がまぶしいからかな。
まあいいや。力学結界を解除。処理能力を確保。
力学結界によるかすかな景色の歪みが消える。根鈴の顔が引きつる。
まあ……安心してほしい。
向こうが手動で偏向させてきたんだ。格の違いを見せよう。
前方の荷電粒子に対しベクトル干渉。
範囲:径2メートル。解像度:素粒子オーダー。対象:電子・水素イオン
俺たちの周囲で逸れていく光の線。向かう先は後方から迫る光線、その先端。
迎撃してやるよ。
直後、思惑通りに光が次々と相殺されてゆく。
このまま処理性能勝負を続けてもいいが……。
戦いの最中に目を離す。見るのは荷電粒子の雨が降り注ぐ前でも
空間管理者二人のいる後ろでもない。
頭上の虚空、そこに目線だけで座標決定。
魔力収束、対生成、物質変換、成形。
砲弾形成、ベクトル干渉、発射。
頭上から放たれたそれは光の雨の拮抗を通り抜け、空間管理者を穿たんと突き進む。
光学兵器に対して実弾兵器だ。一通り見届けた直後に気付く。
(橋明たちからの火力が減ったな)
後方からの光の雨が弱い。様子見も終わりということだろう。
次の一手を警戒する。
気もそぞろに応射していると、光の塊が俺に迫る。
圧倒的なエネルギーをもって、交錯する荷電粒子を再電離しながら迫ってくる。
……こりゃだめだ。回避。
──プラズマ弾だと思われるが、急に来られても防御できん。
※防御層
魔力(ベクトル干渉媒体)による機体圧縮領域、高密度結界と
魔力のベクトル干渉能による自動防御領域、力学結界で構成される。
それとは別に手動でベクトル干渉することで防御する方式もある。
※プラズマへの脆弱性
プラズマとは物質がエネルギーを蓄えた結果、原子核と電子に分離した状態。
素粒子オーダーベクトル操作ができなければ解像度が足りず偏向(=防御)ができない。
物質の変形→分子→原子→素粒子→ニュートリノ→空間 と解像度のランクが存在する。




