侵入、接触
◇◇根鈴視点
景色が一瞬で切り替わった。神坂さんに抱えられながら黒羽さんの活動拠点がある空間、恒星系に来たんだ。
後ろには神坂さんの圧倒的な気配。
前には宇宙艦隊の星々。その星たちが一斉に瞬く。
一瞬遅れて。
光の飛沫と線、つまり。
「パルスレーザーと荷電粒子砲か。
回避するよ。覚悟してね」
神坂さんの顔に笑みが漏れる。
私の方を見ずに飛行術式を起動。
光の雨を、私を抱えてすり抜けてゆく。
皮膚の下で空気が震えて、血の流れがざわつく。
何かが弾けた。音ではなく、鼓膜そのものが震えた気がした。
私たちの影が、光の雨で浮かび上がって。
その雨脚は強くなっていって。
……まぶしくて周りが見えない!
「……と、いう状況にしたら、次はと」
まるで次の手を予測するかのようなつぶやき。
直後、大きな衝撃音が耳をつんざく。
反射的に目をつむってしまう。
「大丈夫。防いださ」
眼を開けた直後に一瞬だけ見えた景色の揺らぎ。
神坂さんの自動防御領域、力学結界。
認識すらわずかに遅れる状況で神坂さんが解説してくれる。
「制圧射撃兼目くらまし。それに紛れさせてEML。
通じるわけないでしょ。ねえ?」
と、神坂さんがおもむろに振り向いた先に、空間の歪みが、二つ。
あれ、私への解説じゃあなくてただ煽ってただけだった?
「まあ、あいさつ代わりに、な」
「形式から入るのは大事だ。
しかし、こっちの攻撃が見事に逸れていってやがる」
「仮にも俺は上位管理者ぞ?」
「防げないわけなかったか。まあそうか。当然だな」
「さて、最外殻防御艦隊・提督橋明だ」
「LXだ」
「攻略部隊斥候・神坂と根鈴だ」
レーザーと衝撃音の雨の中で名乗っていた神坂さんがこっちを向く。
「さて、前哨戦、対空間管理者橋明・LXだ。
機動戦が始まる。気絶しないようにね」
気遣われてるようでただ絶望に叩き落されただけだこれ!
……来るんじゃなかったかなあ。




