表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蘇生魔術と空間管理者たち  作者: なー
黒羽の視点
11/33

デモンストレーション

説明(というか整理メモ)を次の回に設けています。

用語にたいして?????ってなったらそちらの閲覧を勧めます


~南下視点~

「と言っておいてあれだが、俺はまず見物させてもらう」

と橋明。

「1対2はアンフェアだからな」


「あー。それがいいな。第2ラウンドで呼ぶから待っててくれ。

というわけで、先鋒はおれだ」

最初の相手はLXか。


合図は無い。

2人がそれぞれ同時に距離を取り始める。


正反対に鏡に映すように加速して、

ある程度の距離を境に2人が旋回を始める。

10キロメートル。声も届かず、レーザーすら数ミリ秒の遅延を見せる距離。


音より早く、しかし光よりははるかに遅い。

それでも貴重な速度(補足1)を失わないように、飛行術式制御。

推進ベクトルを曲げるようにベクトルをかけて旋回。

ただし、血流には気を配って。


双方90度程度旋回し、平行になった直後。

橋明から熱源反応。

……。さすがにあいさつ代わりの魔力弾だろう。


──アクティヴレーダー誘導とみなす。

それはそれとして、熱源誘導対策もしておくか。

マグネシウムリボン生成、発火、散布。

アルミ箔生成、散布。

旋回中止。ビーム軌道。


──マグネシウムリボンに吸われた。

熱源誘導か……!

判断ミスったら開幕から被弾して恥かいていたな。


反撃だ。

《魔力の弾》。連射して飽和攻撃。


……。やはり向こうも対策してくる。

マグネシウムリボンとチャフだ。

さっきの俺を客観的にみているようだ。


が、これはそっちの弾とは違う。

飛行術式看破誘導。

俺が対象の飛行術式を看破し、未来位置に誘導する半自律誘導弾だ。


LXの欺瞞を無視してこちらの誘導弾がLXに迫る。


当たる、と思った直後。LXから光が迸る。

魔力の弾が迎撃されていく。レーザーか。

さて。これからトリックを見破るのはあれか。

ただのレーザーではあるまい。


レーザーということは。防御層は使えない。解析手法が一つ潰れたな。

手動のベクトル変換を試してみるか。

あえて接近する。


挑発に乗ったかのように、光の線が横をかすめる。

外された……?


「そっちの勝利条件を忘れたか?

このマジックの種を暴けばいいんだ。

反撃はいらんぞ」


それもそうか。つまり、接近に対して制止するための威嚇射撃。

一旦距離を……。


「──とはいっても無警戒に距離をとるのは悪手だ」


LXに口角が上がったのを見た。

背筋に寒気が走る。咄嗟に腕で防御する。

──ジュッと肉の焼ける感覚。


神経がいかれた。

《ナトリウムチャネルの異常発火を確認》

《カルシウムチャネル活性化を確認》

《サブスタンスPの過剰放出を確認》


BMIのアラートが意識に響く。

理解する余裕はない。

痛みが思考に割り込む直前に、反射的に痛覚遮断。

痛覚信号を司る物質群を標的に分子オーダーベクトル操作。

伝達をブロック。


視界の端で見えた。

あれは先ほど打ってきたレーザーだ。

反射しうる物体は周りにはない。何で反射した?


思考はそこそこに、飛行術式に乱数を代入。

回避軌道。速度エネルギーは捨てる。


というか、既に速度エネルギーを温存する次元の戦闘ではない。

光速には無力だ。


急軌道の連続で血流が偏る。四肢の末端の感覚が鈍る。


また、光が横をかすめる。帰ってくるだろう。警戒する。

勿論LX本体への警戒も欠かさない。


──一閃。

横凪ぎにレーザーを薙ぎ払われた。

眼が一瞬くらむ。

回復した後目に入ってきた瞬間に現実離れした光景が広がっていた、

困惑して無駄な回復術式を目にかけたほどだ。


薙ぎ払われた射線に沿って円弧上に光の線が虚空に走っていた。

熱源反応。あの線、まだ実体と熱量を残しているのか。

レーザーなら瞬間に消えるはずだ。


ここに、なにかある。


だが推理の時間は無い。

熱源反応といえば背後にもある。外れたレーザーの軌道上。

──必ず帰ってくる。


素粒子オーダーベクトル操作。光子操作。

しかし、迫ってくる光は逸らすことができなかった。


今度は肩を焼かれた。


……。

一瞬思考が止まる。痛覚遮断。

BMIによるダメージ分析がでた。

主要な組織は無事。

ならば治癒不要。


それより。あのレーザー、

いやそもそも光子操作で逸らせなかった。

あれは光子、光じゃないのか?


しかし、亜光速以上の速度で攻撃できる媒体なんて候補は少ない。


ならば。荷電粒子ビームか?

銅シェルを俺の周りに生成。径2メートル。

しかし、そんなに単純ではないだろう。


と思った答え合わせをするかのように、直後には貫通され、脇腹をかすめる。

3度被弾した。肉体が感じた熱量は確かに荷電粒子だといっている。

しかし、荷電粒子は銅シールドで散乱して碌に貫通できないはずだ。


レーザー、光子だと思わせて荷電粒子。ここから先に何か隠している。


荷電粒子なら銅で止まる。だが現実には貫通する。

散乱するはずのベクトルが実際には収束して誘電率の高い銅を撃ち抜いた。


……魔力によるベクトル干渉、これしかない。


しかし、荷電粒子を?

微粒子……つまり量子だぞ。

不確実性原理があるのにどうやってプログラミング制御してるんだ。

……これが、格上の制御能力か。


どのみち、魔力のプログラミング制御による貫通性なら。

こっちの魔力で剥がす。


──一閃。

縦に薙ぎ払い。今度も急所を外す軌道だ。


今度は防ぐ。

魔力の領域を作る。これで、制御魔力を阻む。

LXの魔力が剥がれた、ただの荷電粒子ビームがこちらに迫る。


軌道上に銅板を生成。


──今度こそ、完全防御に成功した。

こちらを静かに望む、LXの目を見据える。

「荷電粒子ビームと魔力による高精度なプログラミング制御。

これが回答だ」


──「正解だ。

……第2ラウンドを始めようか。

橋明!」


「首を長くして待ってたぞ。

……俺が何を企図し、何をするか当ててみろ」

達成感は無い。ただの通過点だ。ましてや今から次の課題ならば。


◇◇


距離を保って静観する。


「始めるぞ」

橋明の宣戦布告。

続いて魔力場に感。魔力反応を確認。

飛翔体と解析した。数4。上下左右に散開してくる。


距離をとる。後方に飛行術式を適用。

急軌道で一瞬血流が偏る。


が、その努力も虚しく橋明の飛翔体たちは即座に急加速。

高初速弾か。と思う間もなく懐に入っていた。

一瞬で目と鼻の先まで接近された。


──が、爆発はしない。

代わりに衝撃が防御層を叩く。


直進してこなかったため速度依存の攻撃じゃない。

つまり炸裂するものと想定して防御層の内、高密度結界を外側に配置していたが、

対化学エネルギー攻撃障壁である高密度結界は貫通され、

力学結界に阻まれていた。


……運動エネルギー攻撃か。


と思う間もなく、次の弾幕を橋明が発射。また4つだ。

次はあれの軌道に対して垂直にかわす。

そう判断して右方向に急軌道。

距離はおよそ5キロメートル。

交差まで残り3秒……2……1──


──衝撃。

想定より0.6秒早かった。

目前で急加速した?着弾の瞬間を認識できなかった。


反動で後方に飛ばされる。解析結果は、圧縮空気による衝撃と出た。

毒ガス?一瞬警戒したが違った。

純粋な窒素だ、非殺傷攻撃のつもりだろう。


錐もみ状態から姿勢制御すると同時に。

また誘導弾4つ。


次は迎撃する。

《魔力の弾》。着弾効果は炸裂。時限信管。

橋明の誘導弾とすれ違う時に炸裂させる。

発射。


──双方の攻撃が衝突し、爆炎が起こる。


……が、そこを突き抜けて2つの飛翔体。

煙幕を丸く吹き飛ばしながら飛来してきた。


咄嗟に、近接攻撃による迎撃を選んでいた。

《光子の杖》!断面積10cm^2、長さ3.4メートル!

右手に構築も、振り回すのも慣れた形状の光の杖を召喚し、薙ぎ払う。


──ガンッ!

まるで鍔迫り合いをしているような手応え。

ミサイルから紫電をまとった杖が振りぬかれ、光の杖と拮抗していた。


1秒にも満たない拮抗の後に、その相手は誘導弾ごと崩壊する。


──橋明が次の攻勢を仕掛けてこない。推理の猶予か。

厚意に甘えよう。


……まず考えるべきなのは橋明の攻撃の本質だ。

今の一連の流れはすべて誘導弾から全く違う性質の攻撃が飛び出している、という共通点がある。


この多種類の攻撃?いや、これだけだと薄い。

直接撃ち込んできているのと変わらない。


瞬時に多様な攻撃を仕込んだ弾体を構築している?

……タンデム弾頭のような多弾頭攻撃か?

いや、多様な攻撃を誘導しているということが本質か?


が、やや拍子抜け感がある。

きっとまだ、なにか隠し持ってる。


ここまで推理した直後。

「まあ、それだけで終わるわけはない」

しびれを切らしたであろう、橋明が声をかけてくる。


恐らくまだ何かあると読まれるのさえ想定している。

その考えを肯定するように、橋明が挑発的に笑う。


「さあ、第2段階、本気を出させてもらうぞ?」


◇◇


平行に8。飛翔体の数を増やしてきた。

迎撃。魔力の弾。貫通・連射を重視して弾幕を形成。


光の雨を8つの槍が突き進む。

……果たして、迎撃できなかった。

緊急回避。飛行術式を急制動。下降する。


──橋明の誘導弾と交差した。

躱せた?いや、警戒。

急に誘導が甘くなったのには、なにかある。


不意に、横合いから衝撃。

あつい。

防御層に何かが多数当たってはじかれている。


時間がたって、状況を追認する。

爆風。ついでに破片効果も受けている。


橋明からは何も飛んできていなかった。

誘導弾も俺のはるか後方に4つ……。

4つ?残りの4つはどこに……?


さっきの爆発か。それしか考えられない。

向こうは空間管理者だ。空間転移で俺の横に移動させたのか。

しかし……ありえない。(補足2)


いや、思考停止するな。トリックへの材料をかき集めろ。


橋明から次の誘導弾群。

次は4つ。……?しかし、誘導してこない。

……ミスとは思わないほうがいい。上方向に機動。


今度は解析してみせる。

レーダー波、なし。レーザー、なし。魔力波、なし。


……いったい何でこっちの座標を捕捉しているんだよ。


何も感じ取れないまま、4つの弾頭が至近距離に転移。

それを認識する間もなく、光の散弾を受ける。


──今度はフレシェット弾か。

多弾頭攻撃だ。手動のベクトル干渉防御は無理だな。

同じ原理で自動ベクトル防御領域、力学結界も無力。

高密度結界。魔力と窒素の混合物の壁で防ぐ。


不意に、俺の左右に4つずつ、合計8の誘導弾を検知。

突然そこに現れた。

いよいよこの攻撃の多彩さのタネが空間転移であることを隠さなくなってきたな。


しかし、ここまで高精度に座標を指定しているトリックが不明だ。

と思いつつ、左右の誘導弾を迎撃する。

が。


こちらの迎撃、魔力弾の弾幕を螺旋を描いてすり抜けてくる。

そのまま、防御層に当たって、へばりついて、爆ぜた。


──次はHESH弾頭。粘着榴弾。

しかし、今回も座標指示の類は無かった。


直後、爆風に紛れてわずかに雷鳴が聞こえた。

──バチバチッ

至近で放電。

見渡すとひとつだけ誘導弾が漂っている。まさか、遅延信管か?

咄嗟に銅シェルを──


──バチンッ!

大電力の放電。


電撃は銅シェルと、

先ほどの窒素混合結界で何とか防げた。


しかし、一部の銅シェルの形成がわずかに阻害された。

──なんだ?魔術が阻害される原因は、

ベクトル干渉が阻害される原因はそう多くない。


……橋明が示指と中指をこちらに向けてくる。

電場を確認。EMLか。

直後に誘導弾1。

発射直後に急加速。


回避運動。


不意に、魔力弾が防御層に衝突する。


先ほどベクトル干渉が阻害される原因について言及したが、

魔力弾などの自身以外の魔力が至近にある場合というのもその一つだ。


この橋明からの魔力弾。

ワームホールをここに開いてきそうだ。


おそらくここから電磁加速体が飛んでくる。

力学結界を準備。ベクトル反射を設定(補足3)。外に返してやる。

橋明の展開する電場の出力が上がる。

EML発射まで残り2秒……1──


橋明が身を翻して指先の方向を変える。

まずい!このままだと外に向かう弾体を内側に反射することになる。


橋明がEMLを投射する。

転移してきた弾体が俺の鼻先に転移してくる。


力学結界を解除!間に合うか?

……

……

……


何とか間に合ったようだ。橋明が発射した弾ははるか遠くに飛んで行く。


──橋明から追撃が来ない。

また推理の時間だろう。


既にトリックは暴いた。橋明本人、もしくは誘導弾から指向性の高い魔力の弾を投射。

それをマーカーにして転移させているんだ。

恐らく魔力の指向性はレーザーも真っ青なレベルでわずかにすら逃がさないように収束させている。

だから検知できなかったんだ。


──「正解だ。

こちらの攻撃もしっかり防いで、死角はないと見える」

なるほど。この多彩な攻撃はこっちの防御力を試していたのか。


◇◇

静けさを取り戻した空間にLXが転移してくる。


「さて、合格ってことでいいか?」

「まあいいだろ。そもそも格下にはこれ以上の課題は荷が重いだろう」

「と。いうことで」

そのまま二人で話し込んでいた橋明が振り返ってくる。


「俺らはそちらの、反乱に合流する」

「まあ、頼りにしてもらっていい」


南下は格上からの試練を乗り越え、味方を手に入れた。


◇◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ