表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界運輸安全委員会  作者: 都津 稜太郎
2.運輸安全委員会
14/17

10.調査フライト


 ドンッと体に衝撃を受けて目が覚めた。

 どうやら空港に着陸したらしい。慣性で前に引っ張られる体を、シートベルトが座席に押し戻している。途中で起きて上空でのパイロットの仕草を少し見てみようと思っていた決意は、ここ最近の疲れと寝不足で失敗に終わったことが分かる。

 窓の外を見てみると流れていた景色が徐々に減速し、遠くに大きな木が大量に生えている森が見えた。森が近い事によって木の高さや太さが分かりやすいのではなく、明らかに遠いにもかかわらず認識できるほど高く太い。

 森が窓の景色から外れ誘導路に入ったところで、体がガタガタと揺れ始めた。地面の方を覗き込んでみると、舗装されていない場所を通っている。元居た世界ではなかなか見ない光景で、旅客を載せる飛行機が離着陸する空港で、未舗装の誘導路を持つ場所は少なくとも日本では存在していなかった。


「やっと着きましたか」

「ここで給油したらまたすぐに出ます、トイレはあっちにあるので済ませてくださいね」


 支部長が指さす先に空港の施設というには、真新しいが少し小さすぎる建物があった。どうやらあの航空局の格納庫程度しかない大きさの建物が、ここの空港ターミナルらしい。他に誰もいない所を見るとここを利用する人がそもそも少ないのだろう。


 空港の新しくほぼ使われていないであろうトイレから出て、少し空港の中を見回すと数人の職員がいるだけで他に人の気配はしなかった。あまりに静かなため、何故こんな所に空港を建てたのか疑問に思わざる得ない。


「ウェストランド伯爵、あの森は?」

「ん?あれか?あれがフロドラの森だよ」

「あれが……」


 高さ50m以上ありそうな木が空に向かって立ち上がり、大分距離があると思われるこの場所からでも畏怖を感じさせるその森が、今回調査する場所だった。遠くから見ていていても、あの森に入るのは是非とも遠慮したい場所だ。あの森に入って事故現場の調査をした人たちは大変だっただろう。



「ウェイド機長、どうされたんですか?」


 自分達がトイレを済ませ機体の元に戻ると給油作業は終わっていて、ウェイド機長は空を不安げに見上げていた。


「少し、天気が悪くなりそうな予感がして」

「成程」


 ウェイド機長に釣られて自分も空を見上げてみるが、一面青空のSKC(スカイクリアー)状態で雲が出てきそうな気配はなかった。そもそも機長は予感と言っていたが、天気予報を見ていないのか、それとも天気予報自体が存在しないのか分からない。一応これもあとでリアに聞いておくべきだろう。空を飛ぶ人間が、出発前に天気を確認していないとすれば大問題だ。


「教授、ここで3時間ほど調査で飛ぶことが出来ます」

「5時間飛べるのではないのか?」

「この前ここで同じ型の航空機が事故を起こしまして、燃料を3時間分積んでいたんです。重たくて機体が上がらず、オーバーランしてそこに突っ込みました。3時間分が限界なんです」

「ふむ、そうか分かった」


 これは重量重心の話だ。特に小さい航空機は人がどれくらい乗るか、どれくらいの重さの荷物を載せるか、燃料をどれくらい積むか、更には気温や滑走路の高度なんかにも影響されるもので、これも出発前に確認しておくことなのだが……これもあとでリアに確認しなければならない。


ーーーーーーーーー


 小さい空港から無事に飛び立った我々は、フロドラの森上空をひたすら飛び回っていた。

 大きいドラゴンだから直ぐに分かると、ヴァネッサ教授に言われたがそう簡単に見つけられるのなら苦労しない。かれこれ2時間近くフロドラの森の上空を見つめている。


「もうそろそろ、空港へと向かいます」

「全く気配もありませんね」

「そうだな……帰るしかないか……」

「教授、そう簡単に見つかるのであれば、今までだれかが見つけていますよ」

「分かっているのだがな~。私の昔の研究課題だったもので、今回こそ見つけられるかと思ったのだ」

「我々としても調査が進まないのは残念ですし、また今度再挑戦しましょう」

「あぁ、また今度来よう」


 失意の空気が乗客席に広がった。

 先程飛び立った空港への帰路につき更に15分ほど経過した頃、段々と窓の外に見える景色が白くなってきた。先程までの晴天が、あっという間に発生した分厚い雲によって遮られていく。

 頭上で発生した雲は徐々に下に足を延ばしてきた。ウェイド機長はVFR(有視界飛行方式)を維持するために徐々に高度を下げたり、雲を避けたりしているがあまりの発生の速さに間に合っていない。

 

 周囲の視程は完全に0。我々の乗る航空機は、雲の海の中へと突入した。


 元の世界で旅客機に乗っているのであればこの状況は問題ないのだが、異世界でとなれば話は別だ。席を立ち操縦席を後ろから覗くと、支部長と機長は二人そろってVFR飛行時と同じように、外の景色から自分の機体の姿勢を維持しようとしている。


 この二人には全くIFR(計器飛行方式)の知識がないのだ。

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
言ってはなんですがあまり優秀ではないパイロットに当たってしまったようで、先行きが怪しくなってきましたねえ。 ルーク、フォースを使え(無茶振り)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ