トラップ 3 数字
今、なんて言った?おい!いち早く動いたのが刈谷だった。刈谷は振り向き
「おい!今なん・・・・」
突然刈谷の言葉が止まった。俺も咄嗟に後ろを振り向く。あの紳士服姿の男は居なかった。
どうなってる?さっきまで居たはずなのに・・・・
「この世界の謎を解いてみろってどういうことなんだよ。」
刈谷がイライラしながら言った。だが、間違いなく言えることはあの紳士服の男は確実に今俺らに起こっていることについてなにか知っている。いや、知ってるどころではない。あいつがやったことに違いないだろ。
「おい!なんとか言えよ!どう考えてるんだ?」
刈谷が俺に言ってきた。
「よく分からないけど・・・・あいつがなにかを知っているのは間違いないことだと思うし。この世界の謎を解かないと俺らはずっと19日の火曜日を過ごし続けると思う。」
俺がそう言った瞬間刈谷が俺の胸倉を掴んだ。
「そんなことはわかってるんだよ。その謎が何かを聞いてるんだよ。」
掴む手が強くなっていく。ヤバい・・・・
「やめてよ!」
彩が大声で言った。驚いたのか刈谷が手を離した。
「そんなことしても意味ないでしょ!私達は仲間なんだからちゃんと協力しないと。これじゃあ・・・・あの男の人の思う壺だよ!」
彩は涙目になっていた。
「ごめん・・・・」
刈谷が謝った。刈谷が謝る姿なんて初めて見た。しかし、彩が居て良かった。もし彩が居なかったら俺は確実に1発殴られていただろう。
結局それで今日は解散ということになった。明日各自なにか意見や疑問があったら言うことになった。
俺は家に帰るとすぐ自分の部屋に行った。携帯に着信通知。まあ確認しなくても母からの着信ということは分かっていた。洗濯物を取り込むと再び自分の部屋に戻り考えてみることにした。
しかし、いくら考えてもなにも思い浮かばなかった。ただ、19日の火曜日を過ごし続けていている。
ただ、それだけだ。この調子だと明日もまた19日の火曜日だろう。そう思うと憂鬱になってきた。
明日学校に行っても俺と彩、刈谷以外の全員が今日と同じことを喋り同じ動きをするのだ。こんな苦痛なことはない。こんなことを続けているといつか頭がおかしくなってしまうだろう・・・
そう思うと急に怖くなった。すると、ふと疑問が浮かんだ。
何故この3人なんだ?
ただの偶然か?それともなにか共通点があるのか?
俺は3人の共通点を考えることにした。だが・・・・
なにも見えてこない。逆に共通点が1つもないくらいだ。
もう考えることはやめよう。また明日みんなに言ってみよう。少しだけ寝よう。俺は布団に入るとすぐに眠った。
母は昨日に忠実に同じ時間に帰ってきた・・・・
やっぱり俺の前には同じ中学の女子2人が楽しげに話している。やはり今日も19日の火曜日だ。
違う時間に出るか違う道を通ればいいのだが俺はそうやってもこの世界からは逃げられない・・・・
そう思うとなんか馬鹿らしくなっていきこうしていつもと同じ時間に家を出て同じ道を通る。
学校に着いても聞きなれた会話が聞こえる。
「今日は遅いな。遅刻寸前だったぞ。」
後ろの席の健が言ってきた。
「でも、ギリギリセーフだ。まだ先生も来てないしな。」
本当だったら笑顔で言うはずだがとてもそんな気にはなれなかった。
休み時間になると俺と彩と刈谷が相談室という今では誰にも使われていない場所で話す。
「なにか考えてきたか?」
刈谷が言う。
「昨日考えたんだけどなんで俺ら3人ってことが偶然なのかそれともなにか共通点があるのか。でも、共通点みたいのは見つけられなかった。」
俺は昨日考えたことを言った。
「お前もか・・・・」
刈谷がボソッと言った。刈谷も昨日俺と同じ事考えていたらしい。
「実は私も・・・・」
彩が言った。みんな同じ事を考えていた。というそれくらいしか考えることがないんだ・・・・
「みんな同じか・・・・彩は何か共通点みたいなものは見つかった?」
「ごめん・・・竜也と一緒で何も見つからなかったの。。。。」
彩が申しわけなさそうに言った。
「やっぱりか・・・俺も見つからなかった。」
時計を見るともうすぐで授業だ。そのことをみんなに告げた。
「なにも成果なしか。仕方ない。とりあえず授業に行こう。」
俺らが教室を出ようとしたとき先に出た刈谷が止まった。
「なっっ・・・」
どうしたんだ?刈谷が驚いている・・・
俺は刈谷の横から廊下を見てみる
俺は思わず目を見張った・・・・
廊下の壁にスプレーででかく数字が書いてあった・・・
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