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トラップ  作者: verbal2号
1/5

トラップ 1 始まり

あれ?

今、俺の目の前には同じ中学校の女子2人が並んで歩いている。

この光景昨日も見たような気がする。。。最初はただの偶然かと思った。しかし・・・


「今日は遅いな。遅刻寸前だったぞ。」

後ろの席の健が言ってきた。

「でも、ギリギリセーフだ。まだ先生も来てないしな。」

俺は健に笑顔で言った。

あれ?

確か昨日もこんな会話したっけ・・・俺はふいに今日の時間割を確認するために黒板を見た。

1時間目国語、2時間目体育、3時間目英語・・・

その後も昨日と同じ時間割が続く。

「なあ、健。今日の時間割昨日とまったく一緒じゃんか。どうなってんだよ。」

俺は黒板を見ながら言った。

「なに言ってんだお前。昨日とは全然ちがうじゃん。」

何を言ってるんだ。確かに俺は昨日学校に来て今日の時間割通りの授業を受けたんだ。それだけは間違いない。俺はどうせ健が嘘を付いているのだと思った。

「お前はほんとに嘘を付くのが上手いな。そんな真顔で言いやがって。」

「いや、俺は嘘なんか付いてないぞ。他の奴にも聞いてみろよ。」

俺は喉まで出掛かった言葉を呑み込み2つ前の席の大澤に聞きに言った。

「なあ、今日の時間割昨日と一緒だよな。」

俺は小太りの大澤に言った。ここで健の嘘がバレると思った。だが、

「何言ってんだ。昨日とは違うぞ。」

なにかがおかしい。今日は水曜日ののはずだ。俺はそれも聞いてみた。

「今日は何曜日だ?」

「お前さっきからなんだよ。今日は火曜日だよ。」

大澤はあきれたように言った。

ばかな・・・俺は昨日火曜日だということを確認したのだ。証拠にいつも火曜日にやってるテレビも見たし、携帯でもちゃんと確認した。そう。今日は20日の水曜日のはずなのだ。なのにどういうことだ。

「今日は何日だ?」

俺は次は日にちを聞いてみた。

「今日は19日の火曜日だよ。てか、さっきからどうした?」

俺は大澤の質問を無視した。それどころではない。おかしいのだ・・・

俺は確かに昨日の19日を火曜日を過ごしたのだ。それだけは確かだった。

「着席。」

先生が入ってきて言った。

当番が出てきて挨拶をする。やはり当番も昨日と同じだった。

先生の話ももし今日がホントに火曜日なら俺は話の内容を前もって当てることができる。

たしか、風邪が流行ってるから気を付ける事と朝に靴が隠されたという話だった。俺はこれが当たらないようにただ祈った。

「えー最近風邪が流行っているのでしっかり手洗い・うがいをすること。それと今日の朝靴が隠された。何か知っていることがある人はこの後先生のところに来てください。以上。」

嘘だ・・・

何もかも昨日と内容が同じだった。俺はまだこの状況が信じられなかった。ならば、この後大澤が俺の所に来て「靴隠すしたやつ誰だよ。」と言ってくるはずだ。

大澤をじっと見つめる。立った。方向を変えてこっちへやってくる。お願いだ俺のところへ来るな。

「靴隠すしたやつ誰だよ。」

俺に言ってきた・・・やっぱりなにもかも一緒だ。どうなってるんだ。一体・・・

「おい!聞いてるのか?」

「ああ。聞いてるよ。」

「お前なんか今日おかしいぞ。」

「そんなことねえよ。」

平常心をなんとか保ったが俺から言わせればお前らの方が変なのだ。

「おい。ちょっとトイレ行くぞ。」

やはり、昨日と同じだった。


俺は帰り道は1人で帰った。今自分に起きていることを考えたからだった。

整理してみると俺は同じ日を繰り返していることだった。俺は今日は20日の水曜日のはずなのだが今日は実質19日の火曜日なのだ。だが、それではおかしいはずなのだ。俺はきのう既に19日の火曜日をすごしたはずなのだから。

家に帰ると携帯に着信があった。確か15時32分の着信で母からのものだったと思う。

携帯を開くと見事に当たっていた。〔当たってほしくはなかったが〕

しかし、俺は掛けなおさなかった。内容は分かっているからだ。洗濯物を取り込んでということだった。

その後は俺はなにもする気になれずただ座っていた。そのまま2時間くらい立った時

「ただいまー」

母が仕事から帰ってきた。

「竜。なんで電話してくれなかったの。ちゃんと電話はしてよね。」

竜とは母が俺を呼ぶときの名だ。藤木竜也それが俺の名前だった。

「ちゃんと洗濯物はやっておいたよ。」

「そうなの?ありがとう。なんでわかったの?」

それは昨日も同じことを言われたから分かるに決まってる。だが、そんなことも言うわけにもいかず

「なんとなくだよ。」

曖昧に答えておいた。

「そっか。とにかくありがとうね。」

母は特に不審がることもなかった。そこで俺は母にあのことを聞いてみることにした。

「今日は何日の何曜日?」

「竜ーいきなりどうしたの?今日は19日の火曜日よ。」

やはりそうか。携帯でも確認したから間違いのないことなのだが・・・

「今日顔色悪いよー具合悪いの?」

具合悪いどころの話じゃない。同じ日を繰り返しているのだから・・・


その日の夜はなかなか寝ることが出来なかった。寝れば今までのことが嘘で寝ればちゃんと水曜日になるんじゃないかと思った。なのでいつもより早く布団に入った。しかしなかなか寝付けずにいた。

一体俺になにが起きているのだろう。どこから来るか分からない恐怖に押しつぶされないか不安な気持ちのまま浅い眠りについた。



やはり俺の目の前には同じ中学校の女子2人が並んで歩いている。

俺は起きたと同時に携帯を見た。そこに表示されたていた日付は19日の火曜日だった。

俺はあまりの恐怖に動くことができなかった。こんなことあり得るはずがない。だが実際に起きているのだった・・・・

俺は学校に行っても誰とも話すこともなく〔誰とも話すきにもなれたかったが〕ただ黙って席に座っていた。

後ろから健が肩を叩いた。振り向くと

「彩が呼んでるぞ。」

ドアの方を見てみると彩が立っていた。

彩は小学校のころから一緒だったが中学に入って別のクラスになりめっきり話すことがなくなった。

あまり行く気になれなかったが断るわけにもいかないので渋々行った。彩の前に立つと

「あのさ、ちょっと竜也に相談したいことがあるんだけどいいかな?」

「別にいいけどなに?」

「でも、ちょっと冗談かと思うと思うんだけどいいかな?」

彩は今にも泣き出しそうな感じだった。

「ここじゃあれだからもうちょっと別のところいこ。」

「俺らはあまり使われることもない教室に入っていた。他の人から見れば今から告白でもするように見えるだろう。だが、どうもそんな感じではなかった。ほんとに悩んでる表情なのだ。

だが、俺も今現実ではありえないことが起きているので人の相談に乗ってる場合でもないのだが・・・

「ホント悪ふざけじゃないからね。多分信じてもらえないと思うけど・・・でも、もう竜也しかいないと思ったから。」

彩はもう泣きそうだった。

「いいよ。言ってよ。」

しかし、次にでてくる一言が俺らの人生を大きく狂わせるものだとは夢にも思わなかった・・・



「実はね、私昨日から19日の火曜日をずっと過ごしてるの・・・」

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