わけがわからんけども、どうしようもない変態男につきまとわれているようで・・・。
時間掛かりましたが、次話、書き足しました。どうぞ宜しく!
いよいよ俺は、男に対して何も言い返せなくなった。他にも訊きたいこと、俺自身しか知り得ない秘密の事柄をこいつの口から聞き出してやりたかった。 そうすることで、この男が俺の未来の姿であることを認めてしまいたいという思いがあるのと同時に、俺はこんなみすぼらしいような男にはなりたくない、これが俺であるのを認めたくはないという思いが心の中に混在するのであった。 俺はそれ以上、訊くのが怖くなった。本当にこれかま俺自身の未来の姿であることを認めざるを得なくなった時の絶望が怖かったのだ。それ以上何かを訊く代わりに俺は言った。 「で、お前が俺の未来の姿であることを仮に認めるとして、だ。そのお前が何をしにわざわざタイムマシンに乗って俺のもとにやって来たんだ?」 と、男は俺が事態を飲み込み始めたのを理解して少し安心したのか、落ち着いた声を出した。 「そうだな。それをまず説明せねばなるまい。若かりし頃の俺よ」 彼は、動揺を隠せない俺を宥めようととでも言うのか、両手を翳すような格好をしながら続けた。 「今お前がな、このままま欲望の赴くままにこの女の子に襲い掛かったら、な、それはお前の人生の最期を意味することになるんだぜ。」 「なんだと」 俺は息を呑む。 「その女の子がそんなお前の暴行を許して見逃してくれるとでも思ったら大間違いだ。いいか。お前がこの娘を襲ったらだな、そこの路地から娘の悲鳴を聞きつけて助けに入ろうとした何処かの青年が飛び出してきてだな、お前はその青年の拳を諸に受けてだな、そのあまりショックで意識が朦朧となり、よろけて倒れた所をたまたま近所を歩いていたサラリーマンに身柄を拘束されてだな、これまた騒ぎを聞きつけた近所の主婦による通報で駆けつけた警官に逮捕されてだな、それから起訴され裁判を経て有罪となり、控訴も上告も棄却され収監され、それによって進学への道も絶たれ、かといって就職しようとしたところでどの選考結果も芳しくなく・・・」「や、やめてくれ。そ、それ以上は言わなくてもいい。もうやめろ」 自分の悲惨な未来を聞かされるのに耐え兼ねて俺は、遮った。すると、それを聞いた女子高生がふいに恐怖を思い出したかのように頓狂な声を上げたのだ。事態を飲み込み始めるのに俺より時間を要さなかったようだ。 「え?いや!何よそれ!それって本当の御話なの?捕まるかどうかは別の御話だとして、このコはあたしを襲おうとでもしてたってこと?いやだわ!嫌!そんなの!」 と、その大声にたじろいだように男が宥めにはいった。 「い、いや。それは。なあ、まあ、まだ凶行を実行に移した訳でも、あるまいし、そこはまあ、許してやってはくれまいか?事情は聞いてただろう。タイムマシンでやってきたこの小僧の未来の姿がこうして頭を下げてるんだ。今日のところは多目に見てやってはくれまいかと言うんだ。」
いつの間にか、俺と、俺だという男との両者に挟まれる形でそれぞれに両の手首をゴツい手で拘束された女子高生としても、そう言われたって、怯えて涙を流し始めるしかないようなのであった。俺としては、この女の子をこの本当かどうかは知らないけどさ俺の未来の姿だというオヤヂの手から守ろうとして彼女の手を引いているつもりなのだが、おそらくオヤヂとしても、俺から彼女を守ろうという意図のもとにおなじことしているのにち違いいのだ。もはや俺には彼女をこのオヤヂから救おうという正義感のような使命感のような、モテたいだけが目的のような、感情が昂ぶり始めていたのである。俺は、精一杯の凄みを効かせて怒鳴りつけてやった。 「やい!このオヤヂ!なんだかんだ出鱈目を並べ立てて信じ込ませようとしているようだがな、その真偽は兎も角としても、だ、お前の目的がこの娘を俺から奪い取った後に強姦していい思いをしようというの2あるのはお前の顔を見てりゃわかるんだぜ。俺なのかどうかはもはやしらんけど、兎に角お前はそういうオヤヂなのに違いないのだぜ」 「奪い取る、って何よ。あたしはあなたのものでもないのよ。どちらの女でもないわ。二人とも手をお放しなさいよ。嫌らしいわ!」
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