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43 選ぶのも一苦労

お読みくださりありがとうございます!


 ディオたちと一緒なのであればと、公爵はダニエルに外出の許可をだす。


 町中には警備のために巡回している騎士も多く、シドたちがそばにいるのならそうそう被害にあうこともないだろうからだ。

 何よりダニエルが自分から動こうとしているのを止めたくはない。


 小型の馬車を公爵から借りて、そこにディオ、トリス、ダニエル、アルドが乗り込み、シドとフランは御者席に座る。

 本当は馬の扱いにまだ慣れているトリスが御者席に座った方がいいのだが護衛を考えるとそうもいかない。かといってディオを座らせることも出来ずこういう形になった。


 走る馬車の中、会話をしていたダニエルとアルドを見て、目を合わせたディオとトリスは互いに不思議そうな顔をしていて、トリスが小さく首を横に振るとディオも分からないとお手上げの顔をした。


 大抵受け身で自分たち以外に自ら声をかけることのないアルドが珍しく、今日は自分からダニエルに話しかけて色々と会話をしていた。

ダニエルにしてもここまで会話が弾んでいるのは珍しい。


 グレイ伯爵家にいる間に貴族嫌いのアルドもダニエルには打ち解けてきていたが、ここまでではなかった。

 二人にとってはいいことだと、ディオにして珍しくそこに乱入することなく見守っていた。


 一つ目の店に着くとすぐに店の奥に通される。

 この店はシドの用事のために訪れただけで、退屈しのぎに商品を見ているだけ終わった。


 いくつかの店をはしごしながら、カトリーへの誕生日プレゼントに悩むダニエルは真剣そのもので、事情を察した従業員たちからは本人は気づいていないが暖かな笑みを向けられていた。


 ダニエルが悩む間にディオたちは必要なものを買っていく。

 贈答品はよく分からないとアルドはトリスとともに荷物を運びながら難しい顔をしているダニエルの様子を見てトリスに尋ねる。


「選ぶのって難しいものなの?」

「そうですね、贈った相手に喜んでもらえるか分かりませんから」


 トリスは荷物を馬車に積みながら答える。


「ふーん、そっか」

「当たり障りのないものもいいものですけど、初めて婚約者に贈るプレゼントですからせっかくなら心から喜んでもらえるのにしたいのでしょうね」

「なんか、大変だね」


 アルドはダニエルの様子とこの前の港でのディオの姿を思い出してそう言った。


 カトリーへのプレゼントはまだ決まらない。


 昼を挟んで夕暮れが近くなる頃、ここが最後の店だと訪れたのは、中級貴族がよく利用する店で、装飾品を扱う場所だった。


 パーティー用の凝った作りのものから普段使いのためのカジュアルのものまで数多く取り揃えられている。


「これまた悩みそうな」

「いくつか買い足そうかな」


 並べられた商品を前にディオは驚き、フランは楽しそうに声をあげた。


 アルドは疲れたというふうにあくびをして、用意されたイスにディオと座っていた。

 慣れないことばかりで疲れきっているのも分かっているのでシドはそれを大目に見て、眠らないようにだけ伝える。


「……どれも似合いそうだけど」


 一つ一つをゆっくりと見ていくダニエルは難しい顔をして悩んでいる。

 ダニエルなりにカトリーといい関係を築くためにも真剣なのだ。


「普段使いならこっち、パーティー用なら向こうの方がいいかな」


 フランが変装用にと髪飾りを二種類とネックレスを選びながらダニエルに伝える。

 女性物に関してならフランは詳しい。姉妹に囲まれて育ってきたからかもしれない。


 ダニエルはフランの言葉を聞いて、シンプルなデザインが多い普段使い用から選ぶことを決める。


 トリスから事前に聞いていたシンプルなものを候補にして、店員に頼み机上に並べてもらう。

 数はある程度減ったがそれでも多く、ダニエルにはどれがいいか分からない。


「それでしたら、髪飾りはいかがでしょうか。買い物に行った際に大して購入していませんので」

「あれはどっちかって言うとパーティー用だもんね」


 トリスとフランが言う。

 ネックレスとかよりもその方がいいとダニエルも思っていたので髪飾りにすると決める。


「まだ決まらないの?」

「うん」


 アルドがダニエルのそばに寄ってくる。

 ディオから装飾品の説明をされていたらしく嫌になって逃げてきたらしい。


「あの子は目利きできてたけど」


 そう言ってアルドは近くにある宝石があしらわれたバレッタに視線を送る。

 自分には分からないとアルドは並べられた商品をみて呟いた。シドたちに何度か教わったがどうにもアルドの目には同じに見えて仕方がない。


 ダニエルは小さな宝石がちりばめられた小さめのリボンがついたバレッタの前で伸ばした手を止める。

 アルドの言葉がカトリーのことなら、シドの連れてきてくれた中級貴族御用達の店でも高価すぎるものはカトリーにとって恐縮ものだろう。


 少し値段を落として大き目のリボンの髪飾りにダニエルは決める。

 緑を基調とした色のリボンのデザインは、カトリーによく似合うだろうとフランがお墨付きをくれる。


 プレゼント用に包装をしてもらい、ダニエルはそれに大事そうに受け取って帰路に着く。

 カトリーの誕生日頃に花束と一緒に送る予定だ。


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