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7話目

 驚愕の事実を知った俺は1人廊下に佇んでいた。

 しかしポジティブシンキングな俺はこの解決策をすぐに見出した!


 簡単に言えば先生を手懐けて許しをもらえばエイミーとのハッピールートが確定するってことだ。あんなお姉さんだから「ヒロユキくんと仲良しそうね!結婚しちゃえば?」「やだーお姉ちゃんったら〜」ってなるだろう!


 よし、気を落ち着かせて教室に戻ろう。

 教室に入りすぐにエイミーの元へ向かった。相変わらず俺と目を合わせてくれないなー……


「エイミー!良いニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちから聞きたい?」

「あなたの口から出る言葉は全て私にとっては最悪のニュースよ」

「まぁそう言わずに!まずは悪いニュースから。先生に怒られた。そう、君のお姉さんにね。」

「……!?何でお姉ちゃんって分かったの?」

「自分で言ってたぜ?これは俺にとっても悪いニュースなんだけどね。」

「知られたくなかった……お姉ちゃんとは距離を置いたまま学園生活を送りたかったのにぃ……。」


 あれま!俺が見た事無い落ち込み方だ!仲悪いのかな?


「そして良いニュース。俺は予定が無い。こいつを聞いてどう思う?」

「すごく……帰りたいです……。」

「まぁそんなこと言わずに今日も学校見て回ろうぜ!俺といれば安心安全!」

「私は今ニュースを聞いて予定ができたわ。それじゃ……。」


 そう言い残すとそそくさとエイミーは帰って行った。帰ったというよりもお姉さんに会いにいくような感じだな。「ヒロユキと私の邪魔しないで!」みたいな修羅場が想像できるぜ。


 さて、困ったな。説明会だけで終わりだから時間が余り過ぎている。今日もエイミーと帰りたかったんだけどなぁ……


「ヒロ!予定が無いんだって?俺と学校回ろう!」


 その声はバンチョー!


「初日っから女の子とイチャイチャしやがって!今日は俺に付き合ってもらうぞ!」

「俺は天パを引き寄せた覚えは無いんだけどな。」

「まだ 引き寄せ とか言ってんのかよー。卒業しなよ。俺らは大学生。大人になろうぜ!」

「でもお前童貞だよな?」

「フゴフゴフゴフゴ……」


 大人ぶっても無駄だぜバンチョー。テメーには 童貞 というレッテルが張り付いている。今日はエイミーを諦めてバンチョーと歩いて回ることにした。


「どこ行こうか?食堂とかはエイミーと行ったから別の所行きてぇな。」

「その エイミー って子はお前とどんな関係なんだ?」

「引き寄せの運命の人……とでも言っておこうかな。」

「なかなかキモいな!その子も引いてたんじゃないか?」

「んな!?何故それをッッッ!」

「俺にはネットで集めた膨大なデータによる知識がこの頭に詰まってる。そこから容易に答えを導き出せるのさ!」


 こいつ……経験が無い分ネットの情報で誤魔化してやがるな!


「ほう!その知識とやらで俺とエイミーが今後上手くいくのか分かるのか?」

「フッ……俺を侮ってもらっちゃあ困るね!100%上手くいかないよ!」


 軽く聞き流すつもりだったなんかムカつくなぁ……

 バンチョーの解析は続く。


「まずエイミーちゃんはお前を嫌がってる。何故だか分かるか?」

「何故だか分からん!」

「ヒロに呼ばれたりヒロが目を合わせようとした時のエイミーちゃんは一切瞬きをしていない。」

「どのタイミングでその場面を見てたんだ!?てかエイミー見るなよ!」

「俺は昔から気配を消す事が得意でな。モブ以下の存在にだってなれる。」

「お……おぅ……。それで、その瞬きで何が分かるんだ?」

「人間は動揺したり緊張したりすると瞬きの回数が増えるんだ。もちろん恋をしている時でもね。特に女性は男性よりも1日に多くの瞬きをしているんだ。」

「ふむふむ。」

「エイミーは瞬きをしていなかった。」

「それはどういう意味だ……!?」

「怒り。」


 なん……だと!?俺は自分が気付かない内にエイミーを怒らせていた……とはッッッ!?クーデレってやつはよく分からんな。


「ヒロみたいな情弱には女の子を落とすなんて高難易度すぎると思うがね!」

「小中高でそれなりに恋愛はしてきた。みんな最終的に怒らせて振られたけど今の俺は違う。大学生だ。大人だ。非童貞だ。」

「ほう……エイミーを落とせるとでも?」

「チェリーに何が分かる?」

「ッッッ!!!」


 いっけねぇ、バンチョー怒らせるとこだった。でも久しぶりだなぁこの感じ。バンチョーとは昔からよく遊んでたもんなぁ……


 特にどこかに寄る事もなく、広すぎるこの敷地内で休息を求めて図書室に行ってみることにした。


 この学校の図書室はカテゴリー別に綺麗に棚が配置されていた。歴史、文化、小説、教材、ついでに漫画まである。それぞれの分野に似たもの同士が自然と集まり特にオタクっぽい方々は一目瞭然だ。


 漢ヒロユキ、ハーレム物の物語が大好物。バンチョーも巻き込んで小説コーナーへ向かった。


「バンチョーよ。俺の引き寄せの力はこの本から得たと言っても過言ではない。こいつを読みたまえ。」

「ふん、俺には要らぬ分野だな。なんだねこの 引き寄せパラダイス〜ラッキーハプニングの連続!?あれ?俺なんか引き寄せちゃいました? ってやつは!」


 表紙は全体的にピンク色で中央の主人公を取り囲むように女の子たちがキャピキャピ抱き合っている。その中に1人だけ金髪ツインテールの子がいる。


「フフフ……是非読んでみてもらいたいのだがそのネットの情報に呑み込まれたサイバー脳味噌じゃ理解できないと思うけどね!」

「俺はネットの文字しか信用しねぇ!それにしてもこの女の子誰かに似てるな。そうだ!エイm……」


 俺は慌ててバンチョーの口を押さえた。なんと図書室にエイミーが入ってきた!



 





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