4話目
なんだろう。この振られたような気持ちは。
告白してないけど全てを否定された気分だ。
なんか思い出すなー……高校入学したてで同じクラスに可愛い子がいたから連絡先聞いたら同じ言葉言われたなー……。
だぁが!漢ヒロユキ!2度も同じ黒歴史を作ることは断じて許さぬ!退ぬ!媚びぬ!省みぬ!
「そ…そんなこと言わずにィ……」
くそ!なんて情けねぇ声が出ちまったんだ!?恐怖心か?俺はまだあのトラウマが抜けていないのかよ!?
「じゃっ私たちは名前知ってるだけの関係ってことで」
「待ってくれ! 引き寄せの法則についてはゆっくり理解してもらうとして素直に仲良くなりたいんだ! ぶつかって名前知って、はい終わりってのは完結が早過ぎる!もっと引き伸ばすべきだ!」
「私、引き寄せの法則がー……とかいう狂信者苦手なのよ。」
「じゃあ運命って信じる?」
「キモ」
だぁー!2度も振られた!まあ良い!漢ヒロユキ!同じ言葉は通じんぞ!俺の論破力抜群な言霊ぶつけてそのねじ曲がった精神を粉々に砕いてみせようぞ!
「あ…あの、この学校広いので一緒に回ってみませんか?」
「え? い……いいわよ」
やっべぇ!また情けない声出ちまったッッッ! しかも丁寧に低姿勢で! 漢ヒロユキはどこに行っちまったんだ……ってあれれー???
「私も学校回りたいって思ってたけど1人じゃ迷いそうだし。友達もいないから誰か声掛けてきたらその人と行こうとしてた」
「キモくても……いいのか?」
「仕方ないでしょ!それに本当にキモいのはそのヒゲよ!それ見てるとなんか…その…太ももが…ゾワゾワすんのよ!」
「俺もエイミー見てると太ももより上の方がゾワゾワすっぞ!」
「バカ!エロカッパ!」
この女ッッッ!鋭いな!俺が若くして頭頂部の薄毛を気にしている事によく気付いたな!
「キモいより傷付く言葉言ってくれたな!言い返したいけどエイミー可愛すぎて何も言い返せねぇよ!」
「何言ってんのよ、さっ行くわよ!」
なんだかエイミーは楽しそうだ。ちょっとデレてる?俺はロリじゃないがその屈託の無い笑顔は幼女みたいだ。俺はロリじゃないが。
まずは食堂へ向かってみた。俺は食いしん坊なのでどんなメニューがあるのか気になってた。
「手繋いでおこうか?迷子になられると後で面倒だからな」
「わぁー美味しそうー!」
こいつ、俺の話聞いてんのか?てかメニューに食いついてやがる
「エイミーはどんな料理が好きなの?」
「肉」
ふーん……なるほどねぇ、今朝のプロレス技。そしてあの力。原動力は彼女の食生活にあったわけだ。ますます好みだ!
エイミーの腹から唸り声が聞こえる。メニュー見て腹減る気持ちは分かるけどそのページ肉料理しか載ってないっすよ?
他の場所も探索しようとしたが、この学校は広すぎる。まるで某テーマパークのようだ。たまたま食堂が近かったから真っ先に向かったが一つ一つ回るには2日間は必要そうだ。
ウィンドウショッピングするような感じで適当にぶらつき気付けば夕方になっていた。このデートみたいな時間を終わらせるのは勿体無いが 引き寄せは1日にしてならず 焦らずゆっくり豪快に攻めるぜ
「そろそろ帰るか」
「そうね、これ以上あなたといると恋人同士に見られる。それだけは避けたいわ。」
「なぁに気にすんなよ!俺の引き寄せの法則によればエイミーは俺と付き合う……ってなってるみたいっすよ」
軽めのジャブを打ってみた。初対面だけど引き寄せの法則が生み出したこの運命を見過ごす訳にはいかない!
しかしエイミーの様子が変だ……笑顔は消え、顔を俯かせたまま。よく見るとか小ちゃな可愛い手は握り拳へと変貌し小刻みにプルプル震えている。相当力が入ってそうだ。
「あのねぇ!!!」
「はいッッッ!?」