3話目
「Hey! あなた誰? 何が金髪ツインテールなんですかー? 先生の髪型がそんなに気になるの? なら先生だけ見てなさい!」
「ア……アイムソーリー……ヒロユーキ……」
最悪だ、初日で怒られるなんて。うぅ……彼女を見たい。でも右後ろにいるんだよなぁ。俺の眼球の可動域が90度以上行ってくれさえすればッッッ!
俺が頭を動かす度にテネシー先生からの「Hey」が飛んでくるから迂闊に頭を動かせねぇ
仕方ないから先生だけを見ることに専念しよう
「(ちょっとこの子見過ぎじゃないかしら……)ヒロユキ! ちゃんと話を聞いてますか?」
「はい、先生だけを見つめています」
「はいはい……(ちょっとこの子クレイジーだわッッッ!)」
「ただ話が全く聞き取れなかったので僕だけにもう1度説明してください。」
「2度は無いわ! いいですかみなさん! あなたたちは大学生。 もう立派な大人です。 彼みたいないつまでもキッズだといつまでも成長できません!ドゥーユーアンダースタンッ?」
よし。 このへんで目立つのは控えよう。これであの子は俺の存在が脳裏に焼き付いただろう。
先生の話が終わり残りは自由時間だ。学園探索に誘ってみっかね!
先生が教室を出てテネシーアイズからの呪縛が解かれた今、 俺は彼女の姿を拝むことができるッッッ!!!
「ヒロ! 学校探検行k……」
「悪ぃ」
すまんなバンチョー。 今チェリーはお呼びじゃねぇんだ。 俺の引き寄せのチェリーブロッサムが舞い散る前に一声掛けねぇといけねぇんだ!
緊張。 期待。 そして満ち溢れる絶対的な自信。 引き寄せたこの運命の出逢いを無駄にすることはできない。
俺は立ち上がり彼女の方を向いた。
間違いない! ぶつかって来た子だ!
その子は俺と目が合うとすぐ様目をそらした。 確認したぞそのプリティフェイス! 恥ずかしいんだろうなぁ……運命の人がこんなにも近くにいたんだから! 俺は失礼の無いように今朝の謝罪をした。
「やぁおはよう! 今朝は大丈夫だった? 俺FPS好きだから死角は常に警戒してるんだ。 急に抱き抱えてしまってすまなかったね」
我ながら実にスマートだ。
それにしてもおいおいおいおい……可愛すぎるぜこの子ッッッ! 金髪ツインテールが逆に合わせて来たような顔立ち! 童顔なのに女豹のような鋭い目つき! 胸は並だが腰回りがしっかりしてやがる! 確かにフカフカだったぞその太ももぉ!
「おはよう……ヒゲ剃れよ……」
キャー! やっぱりこの子だわ! 今日ヒゲのことを言ってきたのはこの子しかいないもの!
「ご……ごめん、 明日は必ず剃ってくるよ!」
「あなた、 ヒロユキって言うのね。 覚えたけどもう忘れちゃった。 あなた誰? 」
(ヒュー! クーデレってやつですかぁ!?)
「何度でも覚えさせてやるよ! ヒロユキ! 君は?」
「え? あなた誰?」
「同じ質問はよろしくないぜ? 嫌でも覚えるように君の所有物全てに俺の名前書いとこうか?」
「キモいんでやめて下さい」
ふふん! そのクールビューティもどこまで続くのやらね! 俺と関わってしまった以上その化けの皮が剥がれるのも時間の問題。 その瞳にどんな獣を隠しているのか俺の引き寄せの法則によって引き出してやるぜ!
「とりあえず俺は君と仲良くなりたいんだ! だからまずは自己紹介だ。 俺はヒロユキ。君の名は?」
「……愛美」
「へぇー君にピッタリの名前だね! エイミーって呼んでもいい?」
「ホンットキモいわね! あなた!」
「いや冗談だよ、 エイミーね! 覚えました! これからよろしくね!」
「私は名前を知ってるだけの関係で終わらせたいんですけど」
駄目だ。 このままじゃ嫌われたまんまだ。 どうにかもっと距離を縮めないと……
「と、 とにかくさ! 今朝はごめん、 でもぶつかりそうってのはある程度予想してたんだ」
「どういうこと? ストーカーしてたってこと!?」
「いやそんなことはしない。 俺の力……っていうのかな。」
少し間を置いてから俺は温めておいたパワーワードを繰り出す。
「……引き寄せの法則って知ってる?」
「キモ」