文化祭! 〈中編〉
*
「よっしゃー!それでは…只今より開店〜!!!」
杏の威勢のいい声で、客がちらほらと見え始める。
「も、萌え…萌え?」
男子は顔を引きつりながらも杏の指示どうりに動いている。
うわ、萎えーー。
「ほら、アンタもよ!早戸ー!」
バシバシと、背なかを叩かれる。
――…くっ…。
「早戸ちゃーん!」
みるく先生…は、何かフリふりのついた服を着ている。
「あっれれー?早戸ちゃんがいないですぅ…あ、そこの子ー」
「はい???」
「早戸ちゃんを見ませんでしたかぁー!?……ん?え、早戸ちゃん!?」
「……ちっ、ばれたか…」
俺は、今…話をしてる間も…その、なんて言うか、視線を感じていた。
じー…
「…きもいよマジで!」
「さくら…ああ、ツンデレなとこもまた…萌え?」
前田が訳分からんことを言い始めた!
俺は、呆れて声も出ない。
「早く働けよ、マジ」
「冷たいなぁ…けど、そんなところもイイっ」
「どっちだよ…」
ああ、もういいや。
相手にするだけ無駄だ。
そんな感じで、軽く前田をあしらいつつ、見事俺は仕事をこなした。
んで、なんか、ファン倶楽部まで出来てしまった…。
キモイ奴らだ…。
「さくらさん…!俺ら、この学校にこんな可愛い方がいるとは…うう」
「うおー!ツンデレメイド、萌えーー!」
何故、男しか寄ってこないんだ。
せめて、執事コス(?)とかがよかった…。
*
「午前の部、終了ー!!!」
「…はぁー」
「ふっふっふ、早戸…別に、午後もやってくれていいのよ?」
「い、いけませんっ!…こ、こんなの早戸ちゃんじゃ、ない…ぐすっ」
「…さくら…とりあえず、写真を――げふっ」
「…もぅ!…俺、この後約束あるんでっ!!!」
俺は、逃げるようにその場から逃げた。