文化祭!〈前編〉
*
「ちょ!…何でっ!俺も狙ってたのによぉー」
ぐちぐち言いながら、前田が肩をツンツンしてくる。
うわーお。きもっ前田。
「あ、えっと…私みたいな人が彼女なんて、ホントにおこがましいですよね…」
白崎が、微笑を浮かべる。
――いや、違う違う…。
がったん
バイクが目の前に止まった。
「あ! 早戸ちゃんじゃないですかぁー」
「え、みるく先生?バイク乗れたんですか!?(身長的な意味で)」
「ふっふっふ…! 勿論なのですよぉ〜」
先生は得意げになる。
「へぇ…(ダメだろ!教習所…)」
「あ、じゃあ先生はそろそろ行きますねー」
先生は、そう言うと駐車場へと向かった。
「……――しちゃいそう」
「? 白崎?何か言った?」
「ううん。何でもないですよ」
嫉妬しちゃいそう…って言ったのかな…?
追究すると、いろいろと怖いので俺は気にしないことにした。
*
「さてさて…!今日は、いろいろ決めちゃうわよ〜!」
あいかわらず、杏は張り切ってんなぁ…。
「むむむ…。どうして、先生には司会させてくれないんですかっ!?」
教室の隅の椅子に座らされた先生は不満をこぼした。
「? まぁまぁ…、怒ると皺が増えちゃいますよー」
「…! むっきーーぃ!!!」
ギャーギャーと、先生が喚く。
まぁ、根源の杏は気にせず、話し合いを進める。
*
「――じゃ、まぁこんな感じで良いわよねー」
結局、女装するんだな…。
「あ、そうそう!化粧とかは、私がやるから気にしないでねー!」
えっと…、すっげぇ不安です。
――そして、迎えた文化祭…
俺は、午前は喫茶店、午後は白崎と文化祭デートとやらをすることになった。
「――…よし、もう目開けてもいいわよ」
「! え、これが…俺!?」
杏の化粧によって、なんと俺は女になっていた。
「どう?め…目覚めちゃった???きゃっ」
「目覚めてねぇよ」
「おーい、さく――!?」
「お、前田じゃん」
「ちょ、え?!…ホントにさくらなのか!?」
前田が頬を赤らめる。…きもいなぁ。
「…当たり前だろ。他に誰がいるんだ」
「お、俺とオランダで結婚し――ごふっ」
前田に久しぶりに蹴りを入れた。
ひらり
ちょっ!スカートが…やべぇよ!
「…し、縞パン…ぽっ」
「興奮すんな、変態っ!!!」
「…案外、早戸が攻…いや、誘い受け…」
こっちはこっちで…訳のわからんことを言っている…。
「じゃあ、バンバン働くわよーー!」
杏が叫んだ。
…バリバリの間違いだと思いますよ!?