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崩壊のはじまり

本当に、どうしてだろうか。


「ねぇ、そうだ私が排除してあげる」


「な、何言ってんだよ…。やめてくれ」


相変わらずにこにこしながら、白崎は俺に語るかのように喋る。

その様子は、傍から見ると他愛のない、立ち話をしているように見えただろう。


しかし―

違う。これは、そんないいもんじゃないだろう。


「どうして?…早戸クンに手を出すなんて、許せない…。クソアマが…」


「なんなんだよ…。お前、怖いよ。ホント、なんなんだ?!」

俺はようやくそこで、疑問を口にした。


「……君が好きなの。前よりもっと。あなたを殺しちゃいたいな…なんてね」

にこっと、白崎がほほ笑む様子は、年相応のものだった。

桜色の頬を染めながら、恥じらうさまは本当に可愛いのだが、それ以上に――


―――危険


その二文字が、俺の頭をよぎる。


きらり、と光る鋭いものがちらり。


「お、おい…冗談はよせよ」

ヤバい…。

こいつは…本気マジだ…!


「冗談?…ふふ。面白いこと言うのね。流石、早戸クン」

そこで、白崎の表情は初めて曇った。

「もう、耐えられないの」


「あなたが――」


「誰かと話すなんて」


「誰かといるなんて」


「誰かと同じ空気を吸うなんて」


「同じ空を見るなんて」


そこで、白崎はもう一度微笑んだ。


「そうだ…。殺しちゃえばいいんだ」


「そしたら、あなたは私だけのもの」


「もう二度と、お互いに苦しまなくて済む…」


白崎の言葉は、恐ろしいほどすんなりと、俺の耳に届く。



「嫌…だ。俺はまだ、死にたくない…!」



そう思うと、次から次へと涙が溢れてくる。

頬が、熱く濡れる。

俺は、床に崩れ落ちた。


「ねぇ、俺生きたいよ…」


「………」



「…私が護ってあげる」


ぎゅっと、俺は抱きしめられる。

白崎からは、石鹸のいい香りがする。

何でだろう。

安心する。


そして俺は、その日から白崎の彼氏パートナーになってしまった。

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