文化祭の出し物は?
*
俺は、学校に着くと教室へと急いだ。
「よ、おっはよう!さくらちゃん!」
「……お、おう前田」
あれ、もう来てる…。あれは前田じゃなかったのか?
「ぐッ…」
「? ん、何構えてんだ」
前田が顔の前で両手をクロスしていた。
「殴られるかと…!」
「分かってんなら言うな!」
確かに今日も下の名前で呼びやがったな…。
そう思うと、怒りがふつふつと……まぁ、いいや。
*
「はぁーい、みなしゃ…皆し…みにゃ…ん…お早う御座います」
諦めた!
それにしても、ちっこい先生だ。
みるく先生は、俺の視線を感じてか、俺にウインクした。
…両目瞑っちゃってるけど。
「今日はですねぇ、文化祭の出し物を決めます!」
ん?文化祭…?
そうか、確かこの高校は、文化祭があって、校外学習があって、野外活動が
あるのか…。
「それで、ですねー。せんせいは考えたのですよぉー」
ほう、やっぱり子供なのは見た目だけ――
「ズバリ、金魚すくいが――」
子供だっ!
中身めっちゃ子供だ!
しかも何だよ…文化祭で金魚すくいはねぇよ。
俺は半眼で先生を見た。
ぱちっ。
目が合った。
ぱぁあ…と先生の目が輝いた。
「早戸ちゃん、ふっふっふ…その顔は文句があるようですね…」
不敵な笑みを浮かべる。
ロリな先生が、そんな顔してもなんとも思わないのだが…。
しかも、文句があるのは俺だけじゃないようだが…。
「それなら、あなたの案を言ってみんしゃい!」
「?! 方言!?……ってか、俺っすか?」
特にこれといったものはないなぁ…。
「は―――いっ!」
ん…?
「あたしにいい案があるわ!」