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前田、そして箱。

白崎と話をした日の放課後。

俺は約束どうりに杏と前田の家に来ていた。


インターホンを押す前に、杏と一度目を合わせて頷きあった。

____大丈夫、独りじゃないんだ。

今はそんな臭い台詞でもピッタリに思えた。


ピンポーン


前に一人で来たときと同じように前田のお母さんがでてきた。

「いらっしゃい」


疲れきった顔をしていたが、楓さんは笑顔で迎えてくれた。


「前田と話をさせて下さい」


「······」


楓さんは少し考えた後、今日は可愛い女の子も一緒なのね、と言って部屋に通してくれた。


:


コンコン


前田の部屋のドアをノックする。


「···前田、入るぞ」


「私も入っちゃうわよ」


返事はなかった。


「···前田のくせに生意気よ。私を無視するなんて」


俺は苦笑いした。


____確かに前の前田ならウザイくらいのハイテンションだっただろうな···。


____"寂しい"と思った。


がチャリとドアノブを回して部屋に入ると、そこには死んだ魚の目をした前田がいた。

前田は勉強机の前の椅子に座り、特に何かをしていた風でもなかった。


「前田···いるなら返事くらいしろよ」


「······」


やはり返事はなかった。

その様子を見ていた杏がいきなり前田につかみかかった。


「ちょっとアンタね···っ、人が···せっかく、心配して、来て、やってんの、にっ···!」


杏が涙をこらえているのがわかった。

それでも言葉を絞り出そうとしている。


「なんとか、言い、なさい、よぉ···!」


前田の肩がピクンと震えた。

顔を見ると、何かを堪えるような顔をしていた。


「___·········て、くれ」


かすれた声。紛れもなく前田の声。


「帰ってくれ···っ! お前らなんか、知らない···っ」


そういい放った前田の目からは涙が流れていた。


「___···迷惑、なんだよっ」


そう言われて、俺はどうすることも出来なかった。

前田が忘れたがっているというのなら、もう関わらないのが俺にできるベストなのかもしれない。


「···ごめん。もう来ないから。 杏、帰ろう」


:


部屋をでた後、ドアが少し開いた。

そこから手だけが出入りして、俺に五センチ角の箱が手渡された。

だから、顔は見えなかった。


「俺、本気でさくらが好きだったんだ、ごめん」


「前田······。お前ほんっとキモイよ···っ」


あの頃みたいで俺は嬉しくて、鼻がつんとした。


「うん」


「ありがとう。 ···転校しても頑張れよ」


「···うん」


結局何かが解決した、というわけではなかったけど一歩進めたと思う。

前田の家を出た俺と杏はそれぞれの帰路に着いた。


:


~♪ピロロロロ~


____メールだ。やっぱり白崎···


【箱】


文はそれだけで終わっていた。

そこで俺はふと気がついた。


手には前田から受け取った箱が握られていたことに。


箱の中身はなんだろな♪

そして前田はもう出てこないんだろうなぁ···(>_<)

そういえば、前田って下の名前ないよねw

最近この小説読み直したらなかなか鬱で驚いたw


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