朝の話
*
結局、こうなるんだ。そうだ、こうなることぐらい本当はわかっていた。
朝の光は今の俺には眩しすぎる。
――白崎と出会っては、いけなかった。
攻略すること自体がBADEND。
今までに積み上げてきたものは、音もなく崩れ去っていく。
――これは、本当に現実なのか?それとも悪夢なのか?
俺にはもう、それを確かめる術も余裕も残ってはいなかった。
:
ピピピピ…
目覚まし時計が鳴った。
どうやら7時になったようだ。
ふと隣を見る。
「…んー。もうこんな時間なんだね…起きなきゃ」
白崎は、まるで昨日のことなんて忘れたかのようだ。
「ああ。……――昨日は、つくえで寝ちゃったんだな…」
「そうだよ。早戸クンったら、先に寝ちゃうんだから!」
朝の白崎は、妙にぽわぽわしていて新鮮だった。
「……そうだっけ?」
「うん。そういえば…男の子の部屋に泊っちゃってたんだよね…」
白崎は、今更緊張してきたのか顔が赤くなった。
やっぱり、普通にしてたら美少女だ。
――綺麗な薔薇には棘がある?
こいつは。
棘なんてレベルじゃないだろう。
そう、言葉にして例えたなら……猛毒?
「――早戸クン?どうしちゃったの?」
白崎が心配そうに俺の顔を覗き込んで、目の前で手をパタパタした。
「いや、なんでもない」
「そっか。それならいいんだけど…」
白崎は少し不満なようだった。
「――あ、早く用意しようぜ?学校の。朝ごはんはあかりが作ってくれてるし」
:
コンコン
ノックの音がする。
ガチャリと扉が開いた。
「おにいちゃん、朝ごはん持ってきたよー」
「お、ありがとな」
「あ、白崎さんもどうぞ。じゃ、何かあったら言ってね」
そう言うと、あかりは戻って行った。
「本当に、良く出来た妹サンなのね」
「まぁな」
とりあえず、鼻高々に自慢しておいた。
「ん、おいしい」
あかりの作った朝ごはんを食べて、白崎が呟いた。
「…白崎は、料理とかするのか?」
「え?私もするわよ。…女の子なんだから当然でしょ」
少し、拗ねたようだ。白崎はささっと食べ終えると俺を催促した。
だけど、少し楽しそうだった。
「――いつか、毎日一緒に朝ごはん食べれるようになったらいいのにね」
白崎はニコっと笑った。
――俺は、返事は出来なかったけど、最後に誰もが笑えていて。
誰もが幸せを感じて。
そんな日常を取り戻せた時…――。
その時、隣にいるひとを選ぶとき…白崎を選べたらイイなと思った。
本当に、いろんな事があったけれど悪いことばかりじゃなかったんだ。
この先いろいろあると思うんだけど、これからもいい思い出を作って行きたい。
もちろん、そこには白崎もいる予定だ。
――前田、安心して安らかに眠れ★
お久しぶりです!
投稿忘れてました…。
とっくに書いてたんですけどね;
:
はい。いい訳です。すいませんでしたっ。
ではではー。