歪んでる
*
「清、算…?」
もしかしたら、聞き間違いかも知れない!という微かな希望を胸に、聞き返す。
「はい」
にっこりと、白崎は微笑む。
あくまで上品に。
「早戸クン…、浮気…だよねっ。ねっ?」
「ち、違う!あいつはただの友達だ!」
俺は、恐れてはいけない。こいつを。浮気ではないんだから。
――俺は、…悪くない。
「えと…早戸ちゃん…?あと、――白崎たんですよね?」
「あれ…?先生、まだいらしたんですか…」
「…っ!先生、逃げてくれ!」
俺は…感じた――
――この状況は…やばい!
「ふぇ!?な、何ですか?!」
「白崎は危険なんだっ!」
だって…こいつは、つねに――
――アレを常備しているんだ。
「なっ、だから、よくわかりませんよぉ!!!」
「とにかく、逃げろ先生っ」
「…随分、仲がよろしいようで。……早戸クンに纏わり付くゴミ女は、一体何人いるのかしら」
きらりと光が反射するそれは、白崎の手に握られている。
法律に違反しない大きさのそれは恐らく――文房具。
平方四辺形で鈍い光を放っている。
カッターナイフ。
「白崎…!それを俺に渡せっ!」
「あら?どうしてかしら。私、早戸クンのためを思っているのよ?」
切れ味を確かめるようにカッターナイフで白崎は指を切りつけて、ぺろりと舐める。
「違うっ…。俺は、そんなこと求めてなんかいないんだ!」
「ふぇえ…」
一定距離を保った位置で先生が縮こまっている。
「私たちの幸せのためよ」
「どうして……そんな」
「結婚、しようって言ってくれたじゃない」
「…お前、歪んでる」
「――あなたのせいよ」
どうもー。なぜか、星間飛行聞きながら書きました!