文化祭! 〈中編2〉
*
逃げるように、教室を後にした俺は、白崎との待ち合わせ場所である
校門を入ってすぐのところにある、掲示板へと向かった
:
「おーい、白崎ー!」
……。あれ?おかしいな。
周りの人に見られて――ちょ!女装したままじゃんっ!?
「いや、でも…ばれないはずだ…うん」
周りにばれなかったら多分、大丈夫だ…俺…!
なんか、最近…へたれ…だなぁ、おい。
俺は、白崎の肩を叩いた。
「白崎――」
「? あなたは…誰ですか?私は早戸クンと待ち合わせを――」
「えっと、俺が早戸――」
「…え、あなた…何言ってるの…?」
「? いや、だから俺が――」
「そんな…そんなのってないよ…。そんなの、悲しくって…――しちゃう」
どうやら、白崎は俺を女だと思い込んでいるらしい。
命の危機を動物的本能で感じた俺は、誤解を必死に解く。
「ちょっと、待て!誤解だ!本人だから!俺、早戸!」
「…え、早戸クン…なの?」
「あ、ああ。実は、クラスの出し物がコスプレ喫茶でな…」
ふぅ…、ひとまず誤解は解けたようだ。
「…けど、それって化粧してるよね…。…私も滅多に触れられないのに…」
「…?」
「ねぇ、早戸クン…?…汚らわしい奴に触れられて、可哀そう…」
白崎の、声のトーンが下がる。
「――私が…消毒してあげるね?」
じりじりと、俺に近づいてくる。
白崎の今の目には、…光がない。
「ちょ、ちょっと待て…!こんなところで…みんなも見てるのに…」
「あんな奴ら、虫けらよ。私たちの愛の世界の前には…」
何か、訳の分からないことを言い出す。