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0/ジェディディア

「ジェディディアってさ、長いよね」



思えばこれが始まりだったと思う。

俺の名前はジェディディア・バストホルム。

名前も長ければ名字も長い。もう前世の名前よりも今世の名前の方が慣れてしまったのだから悲しいものだと思う。家族からはディアと呼ばれているが好きではない。理由は女っぽいから。


上に二人兄がいるからか、そろそろ女の子が欲しかったらしい。名前も洋服も、なにもかも女の子用のものを用意されていたのだ。だが産まれたのは男。そう、俺である。しかし女顔だったのと当時病弱だったのがあって家族のいいようにされていた。本音を言えば嫌だったが、悲しむ顔をみるとどうも強くいやだと言えなかった。



「こっちの世界のニックネームの法則未だにわかんない。なんでボブ?なんでニッキー?」

「文字と発音と組み合わせだっけ?」


「なんでボブとニッキーをチョイスした?」

「え、マイクの方が良かった?」

「英語の教科書かよ」


ぼやっとしてるのがブライアン、ポヤポヤしてるのがグレイシー。哀しきかな、俺の幼馴染である。そして前世のことを話せる唯一の人たちだ。






「え〜じゃあジェディディアはどういうのがいいわけ?」


「拒否権は?」

「あると思って?」


頼みの綱だったブライアンはクスクスと笑ってグレイシーのことを見守ってるだけ。ブライアン曰く基本的に害のない面白いことは放置しておくスタンス、らしい。俺に害があるのはいいのか。本当にいい性格をしている。


グレイシーといえばうんうん唸りながらも未だに俺のあだ名を考えていた。知恵熱でるぞと嫌味を言ってもそれも聞こえないくらい考え込んでいるらしい。因みにブライアンにはバッチリ聞こえてたらしくブライアンは咽せていた。


名前の文字数なんてブライアンとグレイシーと俺、そんな変わらないと思うんだけど。グレイシーはどうしてそんなにニックネームにこだわるのだろう。


「なあ、」


「じゃあもうジェフ!あんたの名前は今日からジェディディアじゃなくてジェフね!」

「なんで?」



なんで?その定型文言いたかっただけなのでは?とツッコミそうになったが満足そうに笑っているグレイシーを見て、あ、これ本気でいいニックネームを思いついた!と満足している顔だとわかる。


だが割と真面目になんでそうなった?ブライアンに助けを求めようとしたがダメだ完全にツボに入ったらしい。爆笑している。ブライアンの親父さんに怒られてしまえ。グレイシーの中ではもうジェフで決定したらしい。この判決、もう覆せないのでは?いやジェディディア、お前ならできる。黒から白にだってしてみせる。大きく深呼吸を一つしてからグレイシーに話しかける。



「なあグレイシー、ジェフはない。」



「なんで?」

「なんで?なんでは俺の方なんだが?」


「え、そうなの?」

「そうだよ」



「そっか〜でもジェディディアはジェディもディアもディディも嫌なんでしょ?じゃあもうジェフしかなくない?」


「だからなんでそうなる?」



いやそんなきょとんとされても。困った、実に困った。もう面倒くさくもなってきた。



「ああ…もうそれでいいよ…」


「やったー!!ブライアンやったね!これでジェディディアのあだ名ゲットできたよ!」

「ふふ、よかったね、グレイシー。」

「はいはいリア充乙」


「ふふ、ジェフ、よろしくね!」

「僕の方からもジェフ、よろしくね。」


「…おう、よろしく。」



とまあ、そんなことで今日も今日とて俺、ジェディディア・バストホルムは幼馴染二人からジェフと呼ばれるのであった。




「ジェフ!早くしないと置いていくよ〜!」

「ジェフ、もう直ぐだから頑張って。」


「はいはい、今行きますよ。」




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