ご縁その7
アホ貧乏神が俺の学校に転校してきた日の夜。夕飯時。
我が家では裁判が始まろうとしていた。
「えー、それでは開廷します。被告人、明神楓は〇刑!これにて閉廷!!!」
開かれた裁判は5秒で終わり、被告人であるアホは最高刑に処されることになった。
うん。おめでたい。おめでたいね。
これでやっと普通の生活を送ることができるよ。
俺が今後の生活に喜びを見出していると対面に座っていたアホが大声で
「異議ありですっ!異議しかないですっ!!」と叫んだ。
なんだよ…なにが不服なんだよ…
アホが怒っている理由が分からない俺は
「何?一体何なの?」と疑問の表情を浮かべる。
「よくそんな表情ができますねー。こっちは急に〇刑を言い渡されてるんですよ?異議しかなくないですか?」
本来の整った顔を歪ませ、怒りの視線を向けてきた。
なぜ俺が怒っているのかアホに確認させるため一つ質問する。
「じゃあ、なんで俺はお前に〇刑を言い渡していると思う?ヒントは学校だ」
「わかりました!」
ポンっと手を打ち、
「昼食の時に時雨君がとっておいたパンの耳を食べたからですね!」と閃いた顔で言う。
こいつ、パンの耳食べたから怒ったと思ってんのか…全然違うっつーの…。
って……え………?
!?
俺は立ち上がり、パンの耳を置いていた冷蔵庫の上の食品ケースを即確認する。
俺が楽しみにとっておいたパンの耳は確かにケースの中から消えていた。
誰か…嘘だと言ってくれ…
俺がガクッと膝をつき、悲しみに打ちひしがれていると、
アホは俺を思ってたよりも傷つけてしまったことに焦り、汗をダラダラ流しながら訳わからんフォローを入れてきた。
「そ、そんなおいしくなかったですよ!うん!時雨君が食べてたキュウリのほうがおいしそうでした!」
なにそのド下手くそなフォロー。
そんなフォローの仕方ある?
「あのさ、お前って貧乏神やん?」
「はい…そうですけど…」
「お前、なにしにきたんだっけ?」
「時雨君に幸せを知ってもらい、幸せになってもらうためにきました」
「つまり、俺を幸せにするため来たんだよね?よい?その認識でよい?」
「よ…よいです…」
「でもさ、今のお前がやっている行為は確実に俺を不幸にしてるよね?」
「そういう見方もありますね…」
「そういう見方しかできねぇだろ!!!」
クソみたいな返しで俺の怒りは臨界点を突破。
本日の夕飯であるご飯に天かすをのせて醤油をかけた天かす丼をアホから取り上げる。
俺のこの行為がよほど刺さったのかアホはポロポロと涙を流し始め、しまいには大号泣しながら、謝ってきた。
顔は涙と鼻水まみれで悲惨なことなっており、美少女の面影はゼロだった。
「ごめんなざいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!だからご飯がえじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!ねぇぇぇぇぇっぇえ!ゆるじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
汚いうえにうるせぇなコイツ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!時雨君がいじめるぅぅぅぅっぅぅぅぅ!!!」
嘘だろ?これ俺がいじめてることになんの?
「ああああああああああああああああ!!あああああああああ!!」
マジでうるせぇ!!!
目力〇輩並みの声量に我慢できなくなった俺は仕方なくご飯を返還した。
ご飯を返されて満足したアホはニコーっと、今までの目力泣きが嘘だったみたいに笑う。
とりあえず泣き止んだことに胸を撫で下ろした俺は元の話(どうして転校してきたか)に戻そうとし、
「元の話に戻るが、どうして転校してきた?」と質問した。
「謝ってください」
は?
「私のご飯取り上げて泣かせましたよね?謝ってください」
「しばくぞ、アホ」
「分かりました。話を進めましょう」
アホは俺の体から溢れんばかりの殺気を身に受け、これ以上怒らせたらヤバいということを察知したのか、謝罪を撤回。話を進める。
「さて、しつこいようですが、私は時雨君を幸せにしに神界からやってきました。そのために、これから時雨君には多くの人と関わってもらい、その人たちを幸せにしてもらいます」
「は?意味がわかんねぇよ。なんで他の奴を幸せにしなきゃいけない」
「簡単ですよ。今の君は幸せとは一体何なのかが理解出来ていないからです。だから他人を幸せにすることで幸せとは何かを理解してもらいます」
「俺を馬鹿にしてんのか。幸せとは運がよいこと、その人にとって望ましいことや様々な意味を…」
「もう結構です。今ので君の不幸さがよく分かりますね」
「はぁ!?だから俺は幸せの意味をしっかりと理解して…」
「言葉だけ知ってても何の意味もありませんよ」
アホは俺の言ってることを全否定するような冷たさで言い放った。
…………。
俺は間違ったことを言ったつもりはない。
実際に俺は不幸だなんて思っちゃいない。
俺は努力によって全国模試で一位をとり、日々のアルバイトによって一人で生活できている。
全て自らが望んだような生活を送れているじゃないか。
でも、なぜだろうか。アホが放ったその言葉に何も言い返せないでいた。
痛い。胸がズキズキと痛む。なにかが心を叩いてるような…そんな感じがする…
「よかった。君の心はまだ死んではいないようです」
アホは優しく微笑み、立ち上がった。そして俺に右手を差し出し、高らかに言った。
「作りましょう!私たちの部を!君が幸せになるために!」
常に前進!日々精進!どうも幻想ショコラです!
いやー!最近ホントに投稿早くないですか!?すげぇ!幻想ショコラすげぇ!(自画自賛)
はい!ということで今回はまた駄弁り回に近いです。でもでも次回からは本当に物語が進んでいきます!ほんと!これほんとだから!
あと、自身でも思うのですが文章はまだまだ改善の余地がありますのでアドバイスとかあったら、ぜひコメントしてください!
というわけで次回もお楽しみに!
以上、幻想ショコラでした!