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ご縁その3

「び、貧乏神……?」


い…意味がわからん…

俺の家に不法侵入している上に貧乏神を名乗るとか…

意味が分からない上に怖かった。

俺は右ポケットからスっとスマホを取り出し、警察を呼ぶ。


「助けてくださいー!俺の家に勝手に女が入ってきて!住所は○○○○です!早く来て下さい!」


「ちょっ!ちょっと待ってください!私は本物の貧乏神で…」

貧乏神を名乗る女はオロオロと俺が警察に連絡するのを見て狼狽えていた。


「うるせぇ!勝手に人の家に入ってきやがって!貧乏神?意味わからんわ!これから警察くるから大人しくしてろ!」


「違うんですー!本当なんですー!古瀬時雨くん!少し話を聞いてください!」


「俺の名前も調べたのか!このストーカー女め!俺がいくらイケメンだからって…やっていい事と悪いことがあるぞ!」


「ストーカーじゃありません!あと、時雨くんはイケメンでもありません!」


「………………………。」

すごく傷ついた。こんな正面から否定されたのは初めてだった。あれ?おかしいや。目が霞んで………。

俺が人生で最大級の傷を受けているとパトカーのサイレンの音が段々と近づいているのが聞こえた。


「時雨くん!聞いていますか?!今すぐパトカーどうにかしてくださいよ!あれ?泣いてます?時雨くんなんで泣いてるんですか?」


泣かせたのはお前だよっ!

お前が俺の心を抉ったんだろうが!

パトカーの音を聞いた貧乏神を名乗る女は本当にヤバいと思ったのか俺の肩を掴んでグラグラとゆすり、泣きそうな顔で懇願してきた。しかし、そんな懇願は意味が無い。数秒後には警察がドアを開け、部屋に入ってきた。

俺は女に指をさし、

「こいつです!こいつがストーカーですぅぅぅぅぅぅ!」

と叫ぶ。


「へぁ?!違うんです!時雨くん?!なにヘラヘラしてるんですかっ!この人たちどうにかしてくださいよっ!」


警察は即座にストーカー女を取り押さえ、体を床に叩きつけられたストーカー女は「ぐふぅ」となんとも間抜けな声を漏らす。


ふぅ。無事ストーカー女を撃退することが出来たな。取り押さえられた女は無理矢理立たされ、警察に連れられて部屋を出る。外にはパトカーが待機されており、そのパトカーの中にそのまま押し込まれていった。そして車は発進。女は車のバックガラスをどんどんと涙を流しながら、手で叩く。うーん、なんかこういうの見たことあるな。


ま、一件落着。

俺は自分の部屋に戻る。



……おかしい。なぜだ?



なんで、この女は俺の部屋にいるんだ?



俺の目の前にいるのは先程警察に捕まったはずの女だ。

しかし、その女は平然ともぐもぐご飯を食べていた。

ありえるか?さっきパトカーで連れて行かれてたろ。なんでここにいる。


「時雨くん!酷いじゃないですか!話も聞かず、警察を呼ぶなんて!」

頬を膨らませ、プンプンという擬音が似合う、そんな表情で言う。


「なんで?!なんでお前がいるんだよ!」

俺はありえない恐怖から怒声をあげる。軽くパニック状態に入っており、呂律も上手く回っていない。体からは冷や汗が溢れ、シャツには汗が染み込んでいるのが分かるくらい湿っていた。


「1回時を止めて、警官さんたちの記憶を消したんですよ。それで逃げてきました」


女は簡単にいう。


「そんなこと…できるわけ…」


「出来ますよ。神様ですから」

ない胸をはってドヤ顔していた。


「さぁ、ご飯でも食べながらお話をしましょう。古瀬時雨くん。」

女は立ち上がり、炊飯器から俺の分のご飯を茶碗によそう。ついでに自分の分のご飯もよそいでいた。

「ほら!早く食べましょう!ご飯が冷めてしまいます」

女はニパっと笑顔を見せた。その純粋な笑顔のせいか少し落ち着いてきた俺は女の対面に座り、よそわれたご飯を綺麗に焼かれた卵焼きと一緒に口に放り込む。卵焼きはほのかに甘く、ご飯との相性は抜群であった。


「あんたは…一体なんなんだ」


「さっきも言った通り、貧乏神ですよ」


「貧乏神…か。俺を不幸にでもしに来たのか?」

女はそれを聞くと「あはは」と笑いだし、

「君は貧乏神を知っていますか?」と問うてきた。


「貧乏神を知っているかだと?俺は全国模試1位だぞ?知らない訳がない。貧乏神は人の家に住み着き、不幸をもたらすといわれる神だ」

女はその答えに対し、

「さすがは全国模試1位、満点の答えです。辞書通りです」

「どういうことだ?」

「まさしく文字通り。辞書の中に書かれていることだけです。君が合っているのは」

「だからどういうことだ?それが全てじゃないのか?」


「私達貧乏神の真の役目はその辞書の逆。貧乏神の使命は不幸である人間の元に住み着き、その人間に本当の幸せを教えることです」


「なるほどな。不幸な人間に貧乏神は憑くと、そして、そのことが曲解され、貧乏神が憑くと不幸になると言われたんだな」


「その通りです。いやー、頭の良い人は理解が早くて助かりますねー」


「1つ。あんた間違っている。仮にあんたが貧乏神であり、その役目もあんたが言う通りなら、俺は不幸であるということになる。俺は別に不幸だと思ってなんかねぇ」


「いえ、あなたは不幸です」

女はハッキリと俺に向かってそう言った。ふざけているのかと思ったが、女の顔は真剣そのもの。とても冗談で言っている感じではなかった。

ふざけんな。違う。俺は不幸なんかじゃねぇ!俺は幸せなはずなんだ!1人で強く生きていくために努力してきた。歯を食いしばってきた。そんな俺が…不幸なわけねぇ!!


「俺は今が幸せだぜ?だからあんた帰っていいよ」


「そう思い込むの、もうやめませんか?」


いつの間にか部屋には土砂降りの雨の音が響いていた。

常に前進、日々精進!どうも幻想ショコラです。はい!ということで貧アホ第3話!楽しんで頂けたでしょうか。今回は貧乏神の使命ということで物語を書きました。おかしいなー。笑い要素入れたかったのになー。全然入ってないじゃん。それは次回に持ち越しですかね(汗)次回こそは笑い要素を入れていきたいと思います。次回も読んでね!

以上、幻想ショコラでした!

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