Hi, Kumi. How are you?
Lesson5「ハーイ!クミ!」
言っていた通り、クミは俺を街へと連れ出してくれた。
「食材と日用品を買いに行くんだ!」
そう言って、クミは外出用らしいローブと革のブーツに履き替えた。
俺はといえば、白シャツにジーパン、スニーカーという格好である。こんな格好で行ったら、めちゃくちゃ浮くんじゃないか……?
「大丈夫だと思いますわ。街にはそれなりに人間もいますから……」
俺には街のことは何もわからないので、エミリーの言うことを信じるしかない。
なんとなく不安なまま、俺とクミは出発した。エミリーはお留守番らしい。
クミとエミリーの家から街までは、徒歩で大体20分くらいらしい。その行程は俺にとって、とても新鮮だった。
まるでファンタジー映画の中のような森、野原、牧場や畑が広がっていた。映画化するならウェールズやニュージーランドでロケをするしかないだろう。
時々民家もあり、窓の中にはエルフや、ドワーフ、ホビットなどが生活している様子だった。
「ハーイ!クミスティーナ!元気〜?……って、あら、人間を連れてるのね?」
歩いている俺達に、背の高い、細身のエルフが話しかけてきた。スタイルが良く、鼻筋の通った美人だ。
何故か手には酒瓶を持っている。昼間から飲んでいるのか?
「おーっす、ベティ。そうだよ。最近召喚したタカシって言うんだ」
「あらそう……あんたらが召喚ねえ。あー、あの『お仕事』か」
『お仕事』?俺は不穏な単語に首を傾げる。
「おい、クミ。お前らの『お仕事』って一体――」
「あー!!ごめんなベティ!あたし達、街へ急がないと行けないから!じゃあな!」
クミはそういうと、慌てた様子で俺の手を引っ張って行く。
不思議そうな顔のベティを後ろ目で見ながら、俺達は小走りで走っていくのだった。
うーん、こいつ、何か隠してるよなあ……。明らかに感じ取るものがあったが、俺はとりあえず黙って着いて行くのだった。
今のところ、こいつらに逆らっていいことはなさそうだからな――。