Welcome to the underground.
Lesson12「地下に行こう」
その夜、俺たちは図書館の裏口に立っていた。
やってることは完全に不審者である。
クミとエミリーはなぜか忍者のような黒装束に身を包んでいた。
「なんか意味あるのそのカッコ」
「忍び込むときにはそれなりの服装がありますわ〜」
忍ぶには主張しすぎている胸を揺らしながらエミリーが言う。
「では、開けますわ」
エミリーが鍵穴に指を当てる。
小さく何か唱えると、ビョロリンと間抜けな音がして、少ししてから鍵穴がカチッと小さく鳴いた。
「開いた」
「開きましたわ〜」
「すげえな」
「褒めてくださって嬉しいですわ」
「いや、ちょっと引いてる」
中は暗かった。
クミがボムッと音を立てて、小さな光の玉を出す。
ホント便利だな魔法(?)。
閉架の奥、本棚の裏。例の床板を外すと、細い階段が現れた。
「ここだよ」
「ほんとに地下あるんだな……」
「だから言ったじゃん!」
階段を下りる。
その途中で、クミが俺の袖を掴んだ。
「……なんだ?」
「べ、別に怖いとかじゃないし。暗いと歩きにくいだけだし」
「そうか」
「そうだよ」
金髪ツインテで怖がりとか、期待を裏切らない奴だ。
俺はそんなことをお首にも出さずに階段を下っていく。紳士だからな。
やがて下に着いた。
古い木の扉があった。表面にはアルファベットが刻まれている。
俺は読んだ。
“Archive for foreign record.”
「なんて?」
「“外国人記録保管庫”」
クミとエミリーが息をのむ。
「ほんとに、そういう場所なんだ……」
扉に手をかけて押す。ぎぎ、と鈍い音が響く。
中には、棚と木箱がずらりと並んでいた。
布をかぶったもの、封をされたもの、いかにも“見ちゃいけません”って顔をしてるやつばかりだ。
「うわあ……」
クミが目を輝かせる。
お前、ちょっとワクワクしすぎだろ。
「一応言っとくけど、ここから先はたぶん碌なことにならないぞ」
「でも気になるじゃん!」
「それはそうだな」
棚のひとつに、小さな札がついていた。
やっぱり英語だ。
俺はそれを読んだ。
“E. Lane”
「エレン?」
「ちょっと読めるようになってきたなお前。でもこれは、多分Laneが苗字だな。E.は名前の頭文字だ」
俺は木箱に手を伸ばす。
さて。
さすがにドキドキするな。
鬼が出るか蛇が出るか。できればどちらでも無いと良いな。




