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The old paper is written in English.

Lesson10「この紙切れ、読める?」

 次の日の授業で、俺は黒板を使わなかった。

「今日は会話じゃなくて、読む練習をする」

「ええーっ!」

 クミが机に突っ伏す。

「なんでさ! あたしはもっと“ハロー!”とか“アイム・ハングリー!”とか言いたいんだけど!」

「腹減ってる時だけ発音がいいなお前は」

「それ才能じゃん!」

「食欲のな」

 俺はチョークを置いて、二人を見た。

「……で。本当はそっちが目的なんだろ。読む方が」

 クミのツインテールがギクリ、という効果音で揺れる。

 エミリーは観念した顔で立ち上がると、棚の奥から小さな包みを持ってきた。

「これを、見ていただけますかしら」

 中身は、古びた紙切れだった。

 文字はアルファベット。よく見慣れたやつだ。


 俺は声に出して読む。


“If you can read this, do not trust the history above ground.”


「どういう意味?」

 クミがぐいっと顔を寄せてくる。近い。

「“これを読めるなら、地上の歴史を信じるな”」

「うわっ、思ったよりイヤな文!」

「感想が素直すぎるな」

 エミリーが小さく息を吐く。

「やはり、そういう意味でしたのね……」

「これ、どこで見つけた?」

「図書館の地下ですの」

「地下?」

「閉架のもっと奥。クミが転んだ拍子に見つけましたの」

 よく転ぶやつだな

「つまりお前ら、最初からこういうのを読ませるつもりだったんだな」

「……うん」

 クミが珍しく素直にうなずく。

「だって、あたしたちじゃ読めないし」

「だから先生が必要でしたの」

 先生、ねえ。

 予備校バイトの俺が、異世界で禁書解読係になるとは。

 人生ってよくわからんものだな。

「わかった」

 俺は紙を机に置いた。

「だったら次は、その地下に連れてってくれ」

「ほんとに!?」

「こんな文を読まされたら、続きが気になるだろ普通に」

 クミとエミリーがぱっと明るい顔になった。

 うーん、悔しいがこいつらかわいいな。

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