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最悪な目覚めから始まる女神の異世界記  作者: 天川鈴音
第二章:過去の物語
21/50

悲しみの過去

一人称になっています

「フーリー?どうしたの?」

「ぅにゅ……え?」

 目を開けると木にもたれかかって座っている私を、知らない男の子が覗きこんでいた。

「え?、じゃないでしょフーリー」

 いや知っている、彼は私の幼なじみの○○○。

 あれなんだったっけ?

 彼は、私が悩んでいる間に私を引っ張り起こし、私の手をつかんで歩き始めた。

「はあ、しっかりしてよフーリー。日がくれるまでに村に戻らないといけないんだよ?」

「う、うん」

「まったく、どのくらい君が寝ていたかわかっている?」

「え?ううん」

「お昼から、ずーっと」

「そんなに?」

「うん。待たされるほうの身になってよ」

「えへへ、ごめんね」

 そう私が笑顔でいうと、彼はそっぽを向いて私に聞こえないぐらいの声の大きさでなにかを言った。

「その顔ずるいし、まあ僕もフーリーの寝顔見てて時間忘れてたのもあるけど……」


 ここは、小さな小さな村。どこの世界かもどこの大陸かもわからない。

 ただひとつ言えることは、私たちはこの世界の伝説に出てくるような勇者や、英雄のようにはなれずに一生をこの村でゆっくり暮らしていくしかできないということ。

 そう、あの日が来るまでは思っていた。将来は○○○と結婚して、かわいい子供と○○○とこの村で暮らせるって。


 その日も普段の日常となんらかわりはなかった。

 ひとつあげるなら、なぜか起きるとほほが涙で濡れていた。

 その事で父と母にからかわれたことぐらい。

 そこからお昼までは普段の日常が続いていた。

 悪夢が始まったのはお昼からだった。


 村に狩りにいっていたはずの青年が慌てた様子で帰ってきた。

「だ、だれか!村長を呼んでくれ!!」

 青年はそう叫んだ。

 ○○○は、たまたま村長の家の方に近かったので、彼に村長を呼んできてくれるようお願いし、私は青年の手当てを始めた。

 そう、なぜか青年はあちこちになにかにひっかかれたような傷をおっていた。

 私が、青年の手当てを終わらしてすぐに村長は走ってきた。

「どうした。何があったんだ?」

「村長!今すぐに騎士団に応援要請を!魔物の大群とおそらく魔族だと思われるものが接近してきています!」

 それからの行動は迅速だった。

 馬を扱えるものに応援要請に行かせ、それ以外の住民は避難準備を整え始めた。


 そう、素早く行動しようとしていたし、実際できていたはずだった。

 なのに今目の前に広がる景色は赤。炎の赤、血の赤、悲鳴の赤。

 産まれ育った家々は燃やされ、親しかった友人や村の人たちは襲われ、いたぶられ、遊び道具にされ、そして殺される。

 私がまだ生き残っているのは○○○が私を助けてくれているから。

「フーリー早く!」

 ○○○が私の手を引きながらそう叫ぶ。

「くそ、何でこんなに来るのが速いんだ!?」

 ○○○は苛立っていた。それはそうだろうが。

 私はどうだろう?なぜこんなに冷静でいられるのだろう?

 ○○○は苛立ち、私は考え込んでいた。

 だからか、やつが目の前に来るまで気づかなかった。

「何をそんなに逃げているのだい?人間」

 やつ、魔族はそう笑いながら言い、○○○に向かって剣を降り下ろそうとした。

 その瞬間私の疑問の渦は消えてなくなり、私は目をつむり手を合わせひとつのことを願った。

「○○○を助けたい」と。

 目を開けると、世界は、止まっていた。

「いやー、たまには人界も覗いてみるべきだね」

 声の聞こえた方を向くと、そこには白い服を腰の帯で結んだ服装を着、黒がかった金髪、不思議な光を宿した黒い瞳をした男が立っていた。

「人の命を救うということはかなりの対価が必要になる。それでも助けたいか?」

「私がどうなってもいい、私の命だってあげる。だから、彼を、○○○を助けて!」

「わかった。その願い叶えよう」

 男がそう言った瞬間、私の視点はかわり、驚いた顔の○○○が見えた。

「フーリー!!」

 私の中に剣が入ってくる。

「○○○。大好き」

 剣は降りきられた。そのとき初めて、私は死を知った。


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