傲慢
リンとは違う人からの目線の話です。
『人魔共和国』開国以来のオウキの大開花の年のある朝。
『学習育成西封園』、通称『学園』の入学式のこと…。
俺は雷魔法特化の魔族、『青雷族』の族長の息子のジル=コルニアス。
今日は入学式。俺という将来有望なものが入学式したとあってはこの学園も鼻が高いだろうな!
フッフッフッ、はじめが重要らしいからな。ここでクールにきめて、これからの学園をのっとってやる!
ん?入り口の方が騒がしいな。
どれ、様子を見に行くか。
「おい爺、見に行くぞ」
「はい、ぼっちゃま」
ふぅ、やはり一番前の席に座っていたのは失敗か。入り口までが遠すぎる。
む。騒ぎの中心が体育館の中になったな。
なっ…、あれは誰だ?
「おい爺、あれはどこの誰だ?」
「すいません、ぼっちゃま。私も存じ上げません」
ちっ。まぁいいか。
それよりもだ、
あの艶やかな銀髪、整った愛くるしい顔立ち、すんだ瞳、
「おい、そこのお前、気に入った。俺の愛人にしてやろう。光栄だろう?」
まるで女神のようなやつだ…。
こんなふうに思ったのは魔王様以来だな。
むっ、なぜこいつは首をかしげているのだ。
「おい貴様。返事はどうした」
「いえ、なぜ私があなたの愛人などにならなくてはならないのでしょうか?」
「は?何を言っている?この『青雷族』の次期族長の愛人にしてやると言っているのだぞ」
なっ!なぜまた首をかしげる!
「あの…、すいません。それどこの魔族ですか?」
な、なんだと!?
「貴様!『青雷族』を愚弄するきか!」
「いえ、違います…。あっ!あれですか?この国を造るのに最後まで反対した魔族でしたっけ?」
言ってはならんことを言ったな!
「貴様!殺してやる!《蒼き雷光》!」
我が魔族最高威力の魔法だ!
消し炭になれ!
入学式の話はたぶん次の話までです。
しばらくは平和な日常を書くことになると思います。