表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流し雛  作者: 一条 灯夜
序章
3/24

~3~

 中指が触れる。

 と、思った刹那、パチ、と、静電気を受けたような音と衝撃が指先に走り、弾かれた。

 彼女に視線を向けるけど、俯いたまま微動だにしていなかった。

 特になにかをしたり、された様子はない。

 もう一度、確かめるように掌全体で触れてみる。

 今度は衝撃はなかった。手には。

 晴れた日の青を空を見続けている時のような、小さくちかちか光るような点が、視界を埋め尽くしてゆき……。ざあっと、一瞬で――まるで、今まで見ていたものが書割だったかのように視界の全てが千切れて後方へと流れ去る。

 暗い風景の中、僕の知人でも、目の前の女性とも違う誰かが、自傷している最中の断片的な幾つかの映像が目の前に走り――。

 次の瞬間、僕は真っ白な折り紙で織ったような、四メートルほどの紙の船の上にいた。明るくも暗くもない空は曇りで、辺りには霧が出ている。左右を見れば二十メートルほどの川の中央にこの船は浮いているようだった。岸の近くには、背の高い葦も生えている。


 これは、いつも見る夢だ。

 すぐにそう気付き、背後を振り返る。

 これまでの夢と同じなら、そこには――。

「瀬織津比売」

 これまでの夢と同じように、高貴な笠を被り、純白の古風な旅装束に身を包んだ女の人が居た。ただ、僕は、その女の人の名前を――どうしてだか分からないけど――、この瞬間だけは頭の中にはっきりと浮べることが出来た。

 罪や穢れを、清流に乗せて海へと放つ女神。

 その御方の口元が、微かに綻び――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ