第六話「私ってすごい!?」
「改めましておはよう」
「……」
「俺の提案に乗ってくれて感謝するよ」
「……」
「医者にも相談しに行った」
「……」
「とりあえず君とのノートのやり取りは続けるように言われたよ」
「……」
「あとこれも君に伝えて置こう」
「何かしら?」
「どうやら君と俺は毎日入れ替わるみたいだ」
「……」
「まだ俺がこの体に宿ってから日が浅いから確証はないけどね」
「……」
「それじゃあ、ここから進展があることを望むよ、マルス・クレーより」
「……」
「P・S安心しろ、お前の体に興味はない」
これが前回のあらすじ
それにしてもこいつムカつく
「お母さんおはよう」
私は2階から降りお母さんに挨拶した
それにしても最近私は7時ぴったりに起きれるようになった
いつもならお母さんが起こしてくれるのに
「今日は姫子なのね」
母が変に納得したかのような口調で言う
それを聞いて昨日の私の人格はマルスだったんだなあと
自分の中で納得した
私は食事を取り制服に着替えて学校に向かった
「あっ!!」
道中私はあることに気づいた
今日はテストの日だ
「あいつのせいで勉強できなかったじゃない!!」
そうこうしているうちに学校についた
それにしても妙に周りの視線を感じた
2-Cのクラスに向かっている途中
目の前を四人のヤンキーを通りかかった
私は端に寄りつつそのまま通り過ぎようとする
すると
「姫子さん!! 俺たちを弟子にしてください!!!」
「え? えええ!?」
私は戸惑った
ヤンキーたちが私に土下座してきたのだ
”あれから俺たち反省したっす”だの
”姫子さんのあの技素晴らしかったす”だの
”姫子さんあの技教えてください”だの
言ってきた
「ご、ご、ごめんなさああああい」
「ちょっ、姫子さああああああん」
私は走り去るようにして2-Cクラスへ向かった
全く今のはなんだったの!?
そして2-Cクラスの扉を開ける
中に入ると皆が私に視線を移した
おかしい
今日は何かがおかしい
「姫子博士、おはよう」
「姫子博士!?」
え? え? 何!?
私にそんなあだ名あったっけ?
「あれ?今日は外人さんじゃないんだね」
皐月が言う
「外人さん?なんのこと!?」
「あれ?覚えてないの、姫子前外人さんのふりしてたのよ」
それを聞いて私はやっと勘づいた
あいつの仕業だ
「それより姫子博士、ここ教えて」
皐月が私に言い寄ってくる
「ご、ごめんなさい、分からないわ」
「あれ?姫子博士ならこの問題分かると思ったんだけどなあ」
「その呼び方やめてちょうだい!」
私は半ば切れて言った
休み時間のたびに
私の周りに人が集まり
”姫子博士ここ教えて”と声をかけられた
私は困り果てた
放課後、私は真っ先に家に帰った
周りから話しかけられたりしたが無視して家に帰った
家に帰りたかった
「もう、なんなのよ!! 今日!!!」
夜
私はいつもどおりノートに文字を書き
机の上にそのページを開いて置いた
そして私はベッドに入り眠りについた
朝
俺は目を覚ます
そして携帯で日付を確認する
「やはりか」
携帯の日付は一日過ぎていた
つまり昨日は元の人格だったってわけだ
「さてと」
俺は視線を机の上に向けた
ノートが開いたまま置いてある
俺はノートの内容を確認した
「おはようマルス・クレー」
「おはよう入江姫子さん」
「確かにあなたの言う通り私たちは一日置きに入れ替わるみたいね」
「……」
「最近、気づいたんだけど私いつも7時丁度に起きるようになったの」
やはりか
俺たちの人格が毎日朝7時に入れ替わることに信憑性が出てきた
「いつもは母に起こしてもらうんだけどね」
この子、ねぼすけさんなのかな?
「今のところ、気づいた点はこれぐらいかしら」
「……」
「それじゃあ私からの報告を終わるね」
「……」
「P・Sちょっと何なのよ!!!」
俺たちの人格の本題である話よりもP・Sのほうが長かった
やれ”姫子博士”がどうだの
やれヤンキー共に土下座されただの
やれ周りの視線がきつかっただの
やれ周りから教えを請われて戸惑っただの
どうしてくれるのよ!!! と言った内容だった
「どうしてくれるのよって言われてもなあ」
そう思いつつ俺の一日は始まった